平成14年度1次試験解答:企業経営理論
設問11
解答:設問1:エ 設問2:エ 設問3:イ 設問4:エ
(設問1)
リーダシップ理論に関する問題である。
【 A 】 :レビンは、またリーダシップのタイプを民主型(リーダーは援助し、集団で討議し決定する)、独裁型リーダシップ(リーダーがすべてを独裁的に決定する)、放任型(すべてを個々人で自由決定する)の3つに分け民主型のリーダシップが最も優れているとした。
【 B 】:集団規範の形成と自発的意思決定が個人行動の変容とその定着に大きく作用することも明らかにされた。
(設問2)
【 C 】 :マクレガーの「X 理論―Y 理論」に関する問題である。マクレガーは、命令と統制(X理論)の管理から自己統制(Y理論)へと管理システムを変化させるべきであると説いた。
【 D 】:ハーツバーグの「動機づけ―衛生理論」に関する問題である。ハーツバーグは、動機づけ要因を積極的な改善を推奨している。動機づけ要因とは、組織構成員の積極的態度を引き出すもの満足をもたらす要因のことであり、達成感,承認,仕事そのもの,仕事への責任,昇進などがそれに該当する。
(設問3)
マズローの欲求の5段階説に関する問題である。
【 E 】:マズローは、人間の欲求階層を、低次から高次にかけて@生理的欲求、A安全欲求、B社会的欲求、C尊敬(自尊)欲求、D自己実現欲求に区分している。
(設問4)
【 F 】:自己実現が、自ら設定した目標、目的、課題を実現し社会的に認知されたいという欲求であることから、(エ)目標による管理が入る。
設問12
解答:設問1:ウ 設問2:イ
(設問1)
社会的勢力とは一般に「影響力を行使できる潜在能力」のことである。
また、
社会的勢力の6つのタイプとは次のものである。
- (1)報酬勢力
- 昇給、昇進、やりがいのある仕事などの報酬(報償)を与える力
- (2)強制勢力
- 役職から外す、仕事を取り上げるなどの意向に反する場合に罰を与える力
- (3)参照(準拠)勢力
- 個人的魅力・カリスマ性など尊敬や魅力を感じ同一化したい気持ちにさせる力
- (4)正当勢力
- それがもつ社会的・集団的地位から生じる力
- (5)専門勢力
- 専門的な知識・資格・知的権威にもとづく力
- (6)情報勢力
- 情報を収集し提供する力
(ア) | 「情報勢力」 →○:6に該当 |
(イ) | 「専門勢力」 →○:5に該当 |
(ウ) | 「疎外勢力」 →×:該当しない |
(工) | 「報酬勢力」 →○:1に該当 |
(設問2)
強制勢力とは、罰を与える力である。また、賞、庇護、名誉などは、一定の強制的な力が働いて付与されるものではない。よって解答はイの罰である。
設問13
解答:イ
ナレッジ・マネジメントとは、企業その他において知らず知らずのうちに蓄積された知識や情報を一定の原則にもとづいて再構成し、データベースを構築することで組織のメンバーが必要なときに必要な知識を取り出し、新しい価値を創造していくシステムのことである。
また、ナレッジマネジメントは、次のプロセスから成り立つ。(知識変換プロセス(SECIモデル))
- @共同化(Socialization)
- 組織内の個人、または小グループでの暗黙知共有、およびそれを基にした新たな暗黙知の創造である。
- A表出化(Externalization)
- 各個人、小グループが有する暗黙知を形式知として洗い出すことである。
- B結合化(Combination)
- 洗い出された形式知を組み合わせ、それを基に新たな知識を創造することである。
- C内面化(Internalization)
- 新たに創造された知識を組織に広め、新たな暗黙知として習得することである。
(イ) | 危機管理の観点から、知識や情報の記憶・蓄積の面で急速に進んできたコンピュータ利用に一定の歯止めをかけ、必ずしもコンピュータに頼らない知識労働者を育成することをねらいとする革新的経営手法である。 →×:ナレッジ・マネジメントはデータベースを構築するなどのIT技術などを活用して、暗黙知を形式知に変換する。またナレッジ・マネジメントを実務面から推進してきたのが情報関連技術であることからも誤りである。 |
設問14
解答:ウ
(ア) | 企業が需要の不確実性に直面する場合には、アウトソーシングは極力回避される。 →×:一般的に、アウトソーシングは需要の不確実な場合に採用されることが多い。 |
(イ) | 企業の戦略に密接に関与している場合には、より高いレベルを求めてアウトソーシングに依存する度合いが高くなる。 →×:企業の戦略に密接に関与している場合(コア業務)には、一般的にはアウトソーシングを避ける。 |
(ウ) | 人事部門のもつノウハウの確保や保全、あるいは流出の問題が深刻な意味をもつことがある。 →○:自社企業のもつノウハウ流出の可能性はある。 |
(工) | 福利厚生の分野では、企業はその事業を外部委託することで資産を圧縮すると同時に、これまでの従業員の選択の幅を圧縮することで、企業丸抱えの実態を改めようという意図がある。 →×:福利厚生の分野でアウトソーシングすることは、資産を圧縮でき、選択の幅を拡大することで、企業丸抱えの実態を改めようという意図がある。 |
設問15
解答:イ
労働基準法第41条により、管理監督の地位ある者については、労働時間、休憩、休日の規定が適用されないこととされている。
(ア) | 管理監督者とは、一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいう。 →○:管理監督者とは、厚生労働省によると「一般的には部長、工場長など労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあるものの意であり、名称にとらわれず実態に即して判断すべきもの」とされている。 |
(イ) | 企業が人事管理上あるいは営業政策上の必要等から任命する職制上の役付者のすべてが管理監督者と認められる。 →×:企業が人事管理上あるいは営業政策上の必要等から任命する職制上の役付者のすべてが管理監督者と認められるわけではない。 |
(ウ) | 職制上の役付者のうち、労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も労働時間等の規制になじまないような立場にある者に限り管理監督者と認められる。 →○:管理監督者は、経営の管理者的立場にある者又はこれと一体をなす者であり、労働時間や休憩、休日についての規制を超えて活動しなければならないという事業経営上の必要から労働時間などの適用除外が認められる。 |
(工) | 管理監督者の範囲を決めるに当たっては、資格、職位の名称にとらわれることなく、職務内容、責任と権限、勤務態様に着目する必要がある。 →○:管理監督者は名称にとらわれるのではなく、実態による職務内容や責任、権限、勤務態様により判断される。 |
設問16
解答:設問1:ア 設問2:エ
(ア) | 経理事務の選考方法を、男性は筆記試験と面接、女性は面接のみとする。 →×:男女間に明らかに異なる方法で選考しているので不法行為となる。 |
(イ) | 現在、男性が17人、女性が3人いる職務の募集に当たって、女性に有利な取り扱いをする。 →○:、男性にくらべて女性の数が相当程度少ない職場では、募集採用にあたって女性に有利な取り扱いをすることは不法行為にならない。 |
(ウ) | 防犯上の要請から警備員を男性のみ募集する。 →○:守衛、警備員などの防犯上の要請から男性に従事させることが必要である職業は男女雇用機会均等法の除外対象である。よって不法行為にならない。 |
(工) | 募集・採用の対象に女性が含まれ、公正な募集・採用、選考を行った結果、男性のみの採用となった。 →○:男女を募集・採用の対象とし、公正な募集・採用、選考を行った結果ならば、不法行為にならない。 |
(ア) | 受付および秘書は職務の性格上、女性とする。 →×:配置の公平性に欠ける。 |
(イ) | 営業力強化のため、営業の職務への配置を男性のみとする。 →×:配置の公平性に欠ける。 |
(ウ) | 教育訓練の期間は男性・女性同じとするが、女性については接遇訓練を加える。 →×:女性のみの教育訓練を行うことは認められない。 |
(工) | 現在の課長職はほとんど男性であるので、その昇進のための試験の受験を女性労働者のみに奨励する。 →○:ポジティブアクション(ポジティブ・アクションとは、女性の能力発揮を進めるために企業が行う積極的な取組のこと)とみなすことができる。ポジティブアクションを男女雇用機会均等法では奨励している。 |
設問17
解答:ウ
キャリア・ディベロップメント・プログラム(Career Development Program(CDP):キャリア開発)とは、 企業ニーズに合致した能力を持つ人材の育成と、社員のキャリアプランの実現を目指して行われる長期的、計画的な職務開発および能力開発のことである。
(ア) | キャリアレベルの設定、キャリアパスの明示、評価とカウンセリングの実施、研修計画の策定がそのポイントである。 →○:キャリア・ディベロップメント・プログラム導入にあたっての留意点である。 |
(イ) | この制度を組織に定着させるためには、明確な経営理念や方針に基づく、人事労務管理に関する諸制度が整備されていることが重要である。 →○:人事労務管理に関する諸制度の整備が必要である。 |
(ウ) | 従業員個々のライフ・スタイルにとらわれることなく、企業が従業員のキャリアを管理できる人事労務管理上の利点がある。 →×:キャリア・ディベロップメント・プログラムでは従業員の希望、目標、ライフ・プラン(生涯計画)を尊重する。 |
(工) | 長期的な視点に立ち、個々人の目標に沿った育成を考えていく制度で、能力開発の手段、人材開発活動に関わる施策などの統合された人材育成のためのプランである。 →○:キャリア・ディベロップメント・プログラム導入にあたっての留意点である。 |
設問18
解答:エ
コンピテンシーとは、ある職務や状況において、期待される業績を安定的・継続的に達成している人材に、一貫して見られる行動・態度・思考・判断・選択などにおける傾向や特性のこと。
このような能力を明確にし、向上させていくことがコンピテンシー・マネジメントです。
(ア) | アメリカにおけるワーカーについては職務給が支配的であるので、労働市場の賃金水準と比較しにくいコンピテンシーを反映させた賃金はあまり導入されていない。 →○:アメリカでは、ホワイトカラーを中心としてコンピテンシーを反映させた賃金も導入されているが、職務給が一般的である。 |
(イ) | 企業の中の階層組織を超えて全員が共通に必要とする能力をモデルとしてまとめたものをコア・コンピテンシー・モデルといい、コミュニケーション、顧客サービス、チームワークなどが含まれる。 →○:コア・コンピテンシー・モデルとはどのような職務であれ共通して求められる特性のことである。 |
(ウ) | コンピテンシーという概念は、各職務を担当する高業績者が持続的に高い業績を上げる能力を行動特性によって表現したものである。 →○:正しい |
(工) | コンピテンシーは、目標管理制度における業績評価基準として生まれたものである。 →×:コンピテンシーは、目標管理制度における業績評価基準ではない。コンピテンシーはもともと職務分析の手法から生まれたものである。 |
設問19
解答:設問1:イ 設問2:イ
(設問1)
「専門業務型」裁量労働制の対象となる業務は次のとおりである。
詳細は厚生労働省ホームページの専門業務型裁量労働制
を参照して下さい。
- 新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
- 情報処理システムの分析又は設計の業務
- 新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法の制作のための取材若しくは編集の業務
- 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
- 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
- 広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務(いわゆるコピーライターの業務)
- 事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務(いわゆるシステムコンサルタントの業務)
- 建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務(いわゆるインテリアコーディネーターの業務)
- ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
- 有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務(いわゆる証券アナリストの業務)
- 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
- 学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)
- 公認会計士の業務
- 弁護士の業務
- 建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務
- 不動産鑑定士の業務
- 弁理士の業務
- 税理士の業務
- 中小企業診断士の業務
(ア) | 衣服等の新たなデザインの考案の業務 →○:専門型業務裁量型である。4に該当する。 |
(イ) | 高度専門的商品を扱う営業の業務 →×:該当するものがない |
(ウ) | 情報処理システムの分析または設計の業務 →○:専門型業務裁量型である。2に該当する。 |
(工) | 新商品または新技術の研究開発等の業務 →○:専門型業務裁量型である。1に該当する。 |
(設問2)
企画業務型裁量労働制の実施のために労使委員会で以下の1〜8の事項について、労使委員会の委員の5分の4以上の多数による議決により決議することが必要です。
詳細は厚生労働省ホームページの専門業務型裁量労働制 Q3を参照して下さい。
- 対象となる業務の具体的な範囲
- 対象労働者の具体的な範囲
- 労働したものとみなす時間
- 使用者が対象となる労働者の勤務状況に応じて実施する健康及び福祉を確保するための措置の具体的内容
- 苦情の処理のため措置の具体的内容
- 対象労働者の同意の取得と不同意者への不利益取り扱いの禁止
- 決議の有効期間
- 企画業務型裁量労働制の実施状況に係る記録を保存すること
(ア) | 対象労働者の健康・福祉確保の措置 →○:4に該当する |
(イ) | 本制度の適用について労働者本人が同意した場合に適用される評価制度の内容 →×:該当するものがない |
(ウ) | 本制度の適用に同意した労働者からの苦情の処理に関する措置 →○:5に該当する |
(工) | 本制度の適用に不同意の労働者に対する不利益取り扱い禁止 →○:6に該当する |
設問20
解答:イ
AMA(全米マーケテイング協会)のマーケティングの定義は、下記のものである。
よって【 設問 】には交換が入る。
(ア) | 相手方から提供されたものを、受け入れることも、拒絶することも自由である。 →○:正しい |
(イ) | 売り手から買い手への財やサービスの一方的な流れである。 →×:交換とは、売り手から買い手への一方的な流れではなく双方向の流れである。 |
(ウ) | 当事者にとって、よりよい状態を作り出すために行われる。 →○:正しい |
(工) | 何かを提供することによって、欲しいものを獲得することである。 →○:正しい |