平成23年度1次試験問題:企業経営理論
設問26
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
近年、具体的な製品価格の決定に当たり、PSM(Price Sensitivity Measurement)調査という方法が利用されるようになっている。PSMの基本的な考え方は以下のとおりである。
まず、消費者の受容価格に関する次の4つの質問がなされる。
@ | どの価格で、その製品があまりにも安いので品質に不安を感じ始めますか。 | |
A | どの価格で、品質に不安はないが、安いと感じますか。 | |
B | どの価格で、その品質ゆえ、買う価値があるが、高いと感じ始めますか。 | |
C | どの価格で、その製品があまりにも高いので品質が良いにもかかわらず、買う価値がないと感じますか。 |
下図の曲線a〜dは、この4つの質問に対する回答を示しており、aとbは価格の低い方からの、cとdは価格の高い方からの累積回答率でグラフ化されている。
(設問1)
調査の質問@〜Cと、それぞれの回答率を示した図中の曲線a〜dの組み合わせとして最も適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) @:a A:b B:c C:d (イ) @:a A:c B:b C:d (ウ) @:b A:a B:d C:c (工) @:c A:d B:b C:a (オ) @:d A:c B:a C:b
(設問2)
この図から読み取ることのできる消費者の受容価格帯として最も適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) AB (イ) AC (ウ) AD (工) BC (オ) BD
設問27
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
多くの製品がコモディティ化している今日の成熟市場では、消費者にとって価値 ある@ブランドを創造・提供することが重要である。顧客ベースのブランド・エクイ ティという概念によれば、ブランドの強さは消費者の【 A 】によって決まる。 【 A 】は、【 B 】と【 C 】という2つの次元から構成される。強い ブランドを構築するためには、Aブランド要素の選択、支援的マーケティング・プロ グラムの開発、二次的な連想の活用によって、深く広い【 B 】と、強く、好ま しく、ユニークな【 C 】を獲得する必要がある。
(設問1)
文中の空欄A〜Cにあてはまる語句の組み合わせとして最も適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) A:ブランド・アイデンティティ B:ブランド知識 C:ブランド・イメージ (イ) A:ブランド・イメージ B:ブランド知識 C:ブランド・ロイヤルティ (ウ) A:ブランド・ロイヤルティ B:ブランド認知 C:ブランド知識 (工) A:ブランド知識 B:ブランド認知 C:ブランド・イメージ (オ) A:ブランド認知 B:ブランド・アイデンティティ C:ブランド・ロイヤルティ
(設問2)
文中の下線部@に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) 成功している既存ブランドを利用することで、迅速かつ低コストで新製品を導入することができる。 (イ) 製品ミックスの整合性が低下するほど、企業ブランドによって製品の意味を明確化する必要がある。 (ウ) プライベート・ブランドは、ナショナル・ブランドと比べて、売上高に占める販売管理費が低いため、相対的に高い粗利益率を確保できる。 (工) ブランドによって、製品に対する消費者の知覚が変化することがある。 (オ) ブランドの最も基本的な機能は、ある企業の製品を他の企業の製品から区別する識別機能である。
(設問3)
文中の下線部Aに関する以下の文章の空欄A〜Cにあてはまる語句の組み合わせとして最も適切なものを下記の解答群から選べ。
ブランドは様々な要素から構成され、それらによって消費者はブランドを知覚する。
【 A 】は視覚と聴覚に訴求することができるとともに、言語的な意味性も備えることができる。
【 B 】は聴覚のみへの訴求だが、言語的な意味性は高い。
【 C 】は、視覚だけでなく触覚にも訴求できる点に特徴がある。
【解答群】 (ア) A:キャラクター B:パッケージ C:スローガン (イ) A:ジングル B:キャラクター C:ロゴ (ウ) A:パッケージ B:スローガン C:ジングル (工) A:ブランド・ネーム B:ジングル C:スローガン (オ) A:ブランド・ネーム B:スローガン C:パッケージ
設問28
市場調査において一次データを収集するための調査方法に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
(ア) インターネットによるサーベイ調査は低コストで短期間にデータを回収できるが、面接法や電話法ほど正直な回答が得られない。 (イ) 観察調査は客観性と正確性に優れているが、収集できるデータのタイプには制約がある。 (ウ) グループ・インタビューでは、回答者の反応に応じて機動的な質問ができるが、調査の成否がインタビュアーの力量に大きく左右される。 (工) 実験法によって、特定の要因間の因果関係を明らかにすることができるが、その他の要因の影響を統制できなければ実験結果を信頼することはできない。 (オ) 留置法によってサーベイ調査を行うことによって質問票の回収率と調査結果の信頼性を高めることができるが、調査コストは高くなってしまう。
設問29
ある地方都市の小規模菓子メーカーA社(資本金3,000万円)は、クッキー、ビスケットを中心に安心、安全な菓子作りに取り組んできた。低カロリーのクッキーは同社の主力商品であるが、健康志向の高まりによって大手メーカーも同様のクッキーを製造・販売するようになっており、売上は伸び悩んでいた。また、低カロリーのクッキーは、カロリーを抑えるために砂糖を使わず、乳脂肪分を控えているため、従来のクッキーに比べてどうしても甘みや口当たりに劣っており、その購買者は限られていた。
しかし最近A社は長年の努力の結果、低カロリーながら従来のクッキーに勝るとも劣らない味を実現する新技術の開発に成功した。同社ではこの画期的な技術による新製品を今後の存続・成長の柱として育てるために、慎重にその市場導入の方法を検討している。この新製品の「低カロリーでおいしい」というベネフィットは、十分に消費者に知覚されるものであることが調査によって確認されていたので、価格は1箱380円(20枚、80グラム)と従来製品よりも150円ほど高い価格を設定し、これを堅持したいと考えていた。
この新製品の流通経路政策として、最も不適切なものはどれか。
なお、現時点での同社の売上は9割が地元スーパーチェーン、1割が自社のホームページによるものである。
【解答群】 (ア) インターネットによる直接販売を強化するために、自社ホームページに加え、インターネット上のショッピングモールに出店する。 (イ) カロリー摂取に敏感な人が多くいると考えられる病院やホテルの売店で販売する。 (ウ) 新製品の付加価値をアピールするために、地元の洋菓子店を新たな販路として開拓する。 (工) 販売量を拡大するために、全国チェーンの大手スーパーにプライベート・ブランドとして供給する。
設問30
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
電通『2009年 日本の広告費』によれば、日本の2009年の総広告費は2年連続で
減少し、5兆9,222億円となった。特に@マスコミ4媒体の広告費は5年連続の減少
を記録した。こうした状況のなか、企業のマーケティングにおけるAコミュニケー
ション戦略の新たな考え方が登場してきている。
(設問1)
文中の下線部@に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) 新聞・雑誌といった印刷媒体は、広告変更の柔軟性は高いが、メッセージの寿命は短い。 (イ) ターゲットを絞り込んで説得的なメッセージを発信するためには、テレビよりもラジオや雑誌の方が適している。 (ウ) テレビ広告のコストは、そのリーチを勘案すれば必ずしも高いとはいえない。 (工) テレビ広告の場合、番組CMよりもスポットCMの方がタイミングやエリアについて柔軟な出稿が可能である。 (オ) ラジオはほぼ音声による訴求しかできないが、テレビよりもザッピングが少ない。
(設問2)
文中の下線部Aに関する記述として、最も不適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) CGM(Consumer Generated Media : 消費者生成型メディア)の普及に伴って、消費者が企業のマーケティング活動の成果に及ぼす影響は大きくなっている。 (イ) インターネット広告は、成果に応じた報酬を支払う取引が行われるため、費用対効果を追求する広告主のニーズに適合している。 (ウ) 検索サイトで検索されたときに、検索結果の上位に表示されるよう自社のウェブページの内容を調整することをアフィリエイト・プログラムという。 (工) ニュースサイトやブログ、マスコミ報道や消費者のクチコミなどは、企業やブランドに対する信用や評判を得ることができるため、「アーンド・メディア(earned media)」と呼ばれている。 (オ) 複数の広告媒体を活用し、パソコンや携帯電話を通じてインターネットでの検索や購買といった効果を発揮させることを目的とした媒体戦略は、クロス・メディアと呼ばれる。