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平成23年度1次試験問題:企業経営理論

設問6

 中小企業ではニッチ市場に特化したり、特定の市場セグメントに自社の事業領域を絞り込んだりする集中戦略がとられることが多い。そのような集中戦略をとる企業の戦略対応として、最も不適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 自社が強みを発揮している市場セグメントに他社が参入してきた場合、自社のコンピタンスをより強力に発揮できるようにビジネスの仕組みを見直す。
(イ) 自社製品の特性を高く評価する顧客層に事業領域を絞り込むことによって、これまでの価格政策を見直し、プレミアム価格を設定して差別化戦略に取り組む。
(ウ) 自社の得意とする市場セグメントに事業領域を絞り込むことによって、業界大手の追随を振り切ることができるばかりか、好業績を長期に維持できる。
(工) 絞り込みをかけた事業領域の顧客ニーズが、時間の経過とともに、業界全体のニーズと似通ったものにならないように監視するとともに、顧客が評価する独自な製品の提供を怠らないようにする。
(オ) 絞り込んだ事業領域で独自な戦略で業績を回復させることができたが、そのことによって自社技術も狭くなる可能性があるので、新製品の開発やそのための技術開発への投資を強めることを検討する。

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設問7

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 単一の事業を営む企業が多角化によって事業構造を変革し、持続的な成長を実現る行動は、「範囲の経済」の視点から説明できる。「範囲の経済」が存在すれば、企業が複数の事業を展開することによって。それぞれの事業を独立に営むときよりも、より経済的な事業運営が可能になる。

(設問1)
  文中の下線部に関する以下の文章の空欄A〜Cにあてはまるものの最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。

 2つの製品の生産量をそれぞれ x1、x2で表し、その費用関数をC(x1, x2)で表したとき、「範囲の経済」の関係は以下のように示すことができる。

    C(x1, x2)【 A 】C(x1, 0)□ B 】C(0, x2)

  この関係が成立すれば「範囲の経済」が存在する。この式のC(x1, x2)がx1、x2を同時に生産、販売するときの【 C 】)であり、C(x1, 0)が第1製品だけを生産、販売するときの【 C 】、C(0, x2)が第2製品だけを生産、販売するときの【 C 】である。

【解答群】
(ア) A:> B:+ C:総費用
(イ) A:> B:− C:平均費用
(ウ) A:< B:− C:総費用
(工) A:> B:+ C:平均費用
(オ) A:< B:+ C:総費用

(設問2)
 文中の下線部に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 2つの事業がお互いに補い合って1つの物的資源をより完全に利用して生まれる効果は、範囲の経済の効果である。
(イ) 2つの事業がお互いに情報的資源を使い合うと、資源の特質から使用量の限界がなく他の分野で同時多量利用できるため、物的資源を使い合うよりも効率性の高い範囲の経済を生み出せる。
(ウ) 合成繊維企業が蓄積した自らの化学技術を使用し、本業の補完・関連分野の事業に進出するのは範囲の経済の例である。
(工) 範囲の経済が生まれるのは、基本的には未利用資源の活用が原因であり、企業規模が大きいほど経済効果が良くなることを意味する。
(オ) 範囲の経済は、多角化が進みすぎると新たに進出した事業と企業の保持しているコア・コンピタンスとの関連性が希薄になって生じなくなる。

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設問8

  完成品メーカーと部品供給メーカーとの企業間の取引には、常に競争と協調の両面が存在する。そのような企業間の取引で発生する事態についての記述として、最も不適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 過剰な生産能力を持つ業界の部品メーカーA社は、過小な生産能力の業界の部品メーカーB社に比べて、高い利益率を獲得できる可能性は低くなる。
(イ) 部品メーカーC社は、4社の完成品メーカー各社に同じ量の部品を独占的に供給しているが、その部品の生産ラインにトラブルが発生したため、生産量を長期にわたって減らさざるを得なくなったにもかかわらず、利益率はむしろ増加傾向に転じた。
(ウ) 部品メーカーD社は、供給先の完成品メーカーE社との取引契約に、E社が他の部品メーカーに乗り換える場合D社に打診するという条項を結んでいるので、値引き要求や競合他社との受注争奪で有利になる可能性が高くなった。
(工) 部品メーカーF社は、自社のみが生産できるある部品について取引の大きな完成品メーカーG社と最も有利な条件を自動的に適用するという契約書を結んでいるが、このことが他の完成品メーカーにも知られた結果、各社の値引き要求に屈して利益が激減してしまった。

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設問9

 技術開発に必要な経営資源を「技術革新において中核となる技術上のノウハウ」とその「補完資産」とに分けて考えた場合、ハイテク・ベンチャー企業に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 多くの顧客に対して販売促進活動を行い、顧客からの注文を受けて製品を届け、対価を受け取っている企業は、補完資産としての販売力を自社で保有している。
(イ) 技術革新を商業化して経営成果として結実させるために必要なマーケティングやアフターサービスの活動に関する能力は補完資産として重要である。
(ウ) 少数の特定の顧客企業が自社の大部分の製品を購入している場合、補完資産としての販売力を自社で保有している。
(工) ハイテク・ベンチャー企業の「技術革新において中核となる技術上のノウハウ」は中核能力として位置づけられ、その獲得は技術革新実現の必要条件である。
(オ) ハイテク・ベンチャー企業の「技術革新において中核となる技術上のノウハウ」を価値連鎖として完結するために、補完資産の外部への依存を考慮することは重要である。

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設問10

 ベンチャー企業と大学や研究機関が連携を図り、イノベーションに取り組む動きが多く見られるようになった。そのような状況や提携に際して考慮するべき問題点についての記述として最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) オープン・イノベーションを推進するために、大学とベンチャー企業が連携して、大学から独立した研究機関を設ける試みが行われているが、ベンチャー企業の資金力が弱いので、そのような研究機関から技術イノベーションが生まれることはほとんど見られない。
(イ) 行政による産業クラスター等の技術支援施策を受けて、わが国では大学や研究機関の技術の民間への移転が活発であり、その結果株式公開に至るベンチャー企業が多く生まれている。
(ウ) 国立大学法人が他機関との技術連携をする場合、知財本部やTLOを通じることが義務づけられているため、技術提携コストや調整の負担がかさむことになるが、そのことがベンチャー企業の国立大学との連携を難しくしている。
(工) 大学発ベンチャーが大学や研究機関と連携しながら、自前の技術を進化させたり、不足する技術力を補うことが行われているが、事業として発展するには企業者能力が重要になる。
(オ) 米国に比べてわが国では大学発ベンチャーはあまり成功していないが、その理由として技術開発者の大学教員が経営に直接関与することが禁じられていることを指摘できる。

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