トップページ企業経営理論トップページ過去問題 >平成22年度問題

平成22年度1次試験問題:企業経営理論

設問26

 インターネット上で各種カテゴリの製品に対する膨大な数の消費者からの評価やコメントを収集し、分析結果を販売するC社は、いち早く現代におけるマーケティング・コミュニケーションの変化に着目した企業のひとつとして知られている。C社の事業活動をとりまく、現代のマーケティング・コミュニケーション環境に関する記述として、最も不適切なものはどれか

【解答群】
(ア) 4大マス媒体には、テレビ、新聞、雑誌、ラジオが挙げられるが、インターネット広告は、すでにその広告費において、4大マス媒体のうちの3つを凌いでいる。
(イ) 広告の効果は伝統的にAIDMA(注目→興味→欲求→記憶→購買)モデルによって説明されてきたが、インターネットの普及にともなって、AISAS(注目→興味→検索→行動→共有)モデルの妥当性が提唱されるようになった。
(ウ) 標的とするオーディエンスに対して長期的に、バランスがよく、測定可能で、 説得力の高いブランド・コミュニケーション・プログラムを計画、開発、実施し、さらにそれを評価するために用いる戦略的なビジネス・プロセスのことを統合マーケティング・コミュニケーションと呼ぶ。
(工) プロモーション・ミックスとは、メッセージの送り手によってコントロールされるマーケティング・コミュニケーション要素のことであり、広告、販売促進、PR、対面販売などが含まれる。
(オ) マーケティング・コミュニケーションの主な役割のひとつは、同一カテゴリの製品・サービスの中から特定のものを購入してもらえるよう消費者(ないし最終使用者)に対するプッシュ活動を遂行することである。

解答を確認する

設問27

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 消費者行動論の領域では、購買プロセスは、消費者が内部および外部からの刺激によって問題やニーズを認識した時に始まるとされている。こうした視点から消費者の購買行動をとらえると、消費者は一回一回の購買において、「問題認識」→「情報探索」→「代替案の評価」→「選択」→「結果の評価」からなる5段階の意思決定プロセスのすべて(または一部)を経由することになる。

(設問1)
 情報探索段階において消費者は、次のような情報源に依拠した探索行動を行う。空欄AとBにあてはまる語句の組み合わせとして最も適切なものを下記の解答群から選べ。

商 業 的 情 報 源 - 広告、ウェブサイト、販売員、商品パッケージ、店頭の実物展示など
【 A 】情 報 源 - マスメディア、製品評価を行う消費者団体など
個 人 的 情 報 源 - 家族、友人、隣人、職場の同僚、知人など
【 B 】情 報 源 - 製品の操作、検討、使用など
【解答群】
(ア) A:公共的 B:経験的
(イ) A:社会的 B:行動的
(ウ) A:社会的 B:実物的
(工) A:操作的 B:行動的
(オ) A:操作的 B:能動的

(設問2)
 消費者の購買意思決定に関する理論の諸仮説の記述として、最も不適切なものはどれか

【解答群】
(ア) 消費者は聞いたことのない小売業者のウェブサイトから製品を購買する際、しばしば意思決定の内容を変更したり、延期したりすることがあるが、その一因は、さまざまな知覚リスクを回避しようという行動にあるといえる。
(イ) 消費者は購買意思決定プロセスの中で、完全情報の獲得に基づいて行動するわけではなく、情報処理や意思決定は経験則、つまりヒューリスティクスに左右されることがある。
(ウ) 精緻化見込みモデルによると、十分な「動機」、「能力」、「機会」をもたない消費者は、製品・サービスやブランドに対して、あまり深い考察を伴わずに態度を形成したり、変容させたりする。
(工) 低関与製品を高関与製品に転換するためのひとつの手法は、製品を関与度の高い問題と関連付けることである。
(オ) バラエティ・シーキングとは、低関与製品のうち、ブランド間の差異が小さい場合に見られる頻繁なブランド・スイッチングのことをいう。

解答を確認する

設問28

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 マーケティングは、極めて実践的な概念であるため、マーケティングの活動主体となる組織・機関の範囲や、それらを取り巻く環境の変化を受け、これまでにもその定義がしばしば改定されてきた。アメリカ・マーケティング協会による近年の定義として、以下2004年のものと2007年のものが挙げられる。
(2004年の定義)
  「マーケティングとは、顧客価値を創造・伝達・提供し、組織とその【 A 】の双方を利する形で顧客との関係性を管理するための組織機能と一連のプロセスのことを指す」
(2007年の定義)
  「マーケティングとは、顧客やクライアント、パートナー、さらには広く【 B 】一般にとって価値あるオファリングスを創造・伝達・提供・交換するための活動とそれに関わる組織・機関、および一連のプロセスのことを指す」

(設問1)
 文中の空欄Aにあてはまる最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) エンプロイー
(イ) カスタマー・リレーションシップ
(ウ) ステークホルダー
(工) セールス・エージェント
(オ) マーチャント・ホールセラー

(設問2)
 文中の空欄Bにあてはまる最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 環 境
(イ) 国民経済
(ウ) 社 会
(工) 組織・個人
(オ) 文 化

(設問3)
 以下のア〜エは、2004年の定義と比べたとき、2007年の定義にはどのような特徴があるかを記述したものである。このうち、最も不適切なものはどれか

【解答群】
(ア) 2007年の定義に含まれる「交換」という言葉は、単発的な取引を通じて、組織や機関が収益をあげることを意味する。
(イ) 2007年の定義は、「透明性」・「より広い参加者」・「継続性」の3つの観点の重要性を示唆している。
(ウ) 2007年の定義は、持続可能性の視点を、より明確に示したものである。
(工) 2007年の定義は、マーケティングを「組織・機関の中の一部門による機能」ではなく、「より広い組織・機関全体の活動」として位置付けている。

解答を確認する

設問29

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 新興のデザイン家電メーカーX社は、パソコンの基幹部品の標準化・汎用化が 高度に進み、消費者のパソコン使用経験が深まっている現状を潜在機会としてとら え、革新的な製品によるパソコン市場への参入を計画している。ただし、パソコン 市場を概観すると製品ライフサイクルの成熟化段階に達しているため、同社の新製 品開発に先駆けたマーケティング計画の策定段階では、構想力に満ちた魅力的な製 品コンセプト・アイデアの創出に加え、@消費者の知覚の立場からの市場分析が重要 な課題となる。そこで同社は、社内の関連部署のスタッフによって構成されるブラ ンド・チームをつくり、A製品(ブランド)ポジショニングに関する検討を行ってい る。

(設問1)
 文中の下線部@に関する以下の文章の空欄A〜Cにあてはまる語句の組み合わせとして最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 知覚品質とは、消費者が【 A 】にとらえる品質のことである。消費者が高品質を知覚する製品は、その品質連想によって価格【 B 】が生み出されるため、その価格を下げたとしても需要数量に大きな変化が生じないことがある。
 このことは同製品の需要の価格【 C 】が小さい状況を意味する。また、同種製品市場で事業を展開する他社が類似製品の値下げを行ったとしても、同製品の需要数量に大きな変化が生じないことがある。これは、同製品の交差(交叉)【 C 】の低さを示しているといえる。

【解答群】
(ア) A:社会的 B:エクイティ C:弾力性
(イ) A:主観的 B:ノベルティ C:有効性
(ウ) A:主観的 B:プレミアム C:弾力性
(工) A:主体的 B:レバレッジ C:有効性
(オ) A:能動的 B:レバレッジ C:差別性

(設問2)
 文中の下線部Aに関する以下の文章の空欄A〜Dにあてはまる語句の組み合わせとして最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 市場が成熟し、ひとつの製品市場に多くのブランドが登場するようになると、競争関係にあるブランドの製品との【 A 】を保ちながら、多くの消費者の【 B 】に近接したポジションを見出すことは難しくなる。つまり、有効な【 C 】を行うことのできるブランド・ポジショニングが、ますます困難になるということである。このような状況を打開するためには、【 D 】の活用が必要になってくる。

【解答群】
(ア) A:カテゴリ同調性 B:カテゴリ認識点
  C:市場細分化 D:製品差別化
(イ) A:関 連  B:欲求充足点
  C:製品差別化 D:ライフスタイル・セグメンテーション
(ウ) A:競合性  B:関与増加点
  C:顧客指向化 D:機動的な営業力
(工) A:距 離  B:欲求理想点
  C:製品差別化 D:市場細分化
(オ) A:類似性  B:カテゴリ認識点
  C:市場細分化  D:異質需要に関する知識

(設問3)
 X社はパソコン市場への参入に際して、自社の資源・能力の特異性であるデザイン創造力を考慮し、パソコンの「本体サイズ」と「マルチメディア対応度」をもとに消費者の知覚マップを作成した。他のメーカーの製品導入状況を分析しながら、自社製品のポジショニングの検討を行っている。この段階で用いられている資料は下図のとおりである。この図をもとにX社が計画している新製品開発とそのポジショニングについての記述として、最も不適切なものを下記の解答群から選べ。
  なお、図中の小さな四角(■)は消費者の選好分布を、白抜きの大きな四角(□)は、他のメーカーによる既存製品のポジショニングを示している。X社が開発を検討している製品が想定するポジショニングは図中の大きな丸印(○)によって表示されている。図中の縦軸はマルチメディア対応度の高低を、横軸は本体サイズ(本体を設置した時の容積)の大小を指している。

【解答群】
(ア) X社が開発を検討している製品はインテリア性が高く、家庭のリビングルームに設置し、テレビの地上デジタル放送の視聴や音楽ファイルの再生、電子マネーをつかったインターネット・ショッピングが可能なだけでなく、仕事や勉強にも快適に活用できるスペックを備えている。
(イ) X社のポジショニング計画は、いわゆるブルー・オーシャン(Blue Ocean)戦略としてとらえられるが、その市場成果はここでのブランド化によって吸収可能な消費者の数に依存している。
(ウ) X社は、種々の汎用部品を用いてコンパクトでスタイリッシュなシェル(筐体)仕様にすることにしたが、その際の大幅な費用増を相殺するために、パソコン用液晶ディスプレイ・メーカーと長期契約を交わし、特定のモデルの液晶部品を割引価格で調達しようとしている。
(工) X社は競争相手による対応が行われていない未開拓のニーズに着目し、多機能がコンパクトにビルトインされた小型製品を開発し、象限Uの標的市場での早期の製品普及後、象限Tの大規模市場からの遷移顧客の獲得を企図している。
(オ) マップ上の象限Tに位置する企業は象限Uにも参入することが可能である。したがって、X社には先発の利益を獲得・維持するための工夫が必要とされる。

解答を確認する

設問30

 明治40年から続く豆腐製造業を継いだA氏は、豆腐市場における価格競争の激化や原料価格の高騰によって、ここ数年の間、減収減益に悩まされており、A氏の豆腐工場は、今や廃業の危機に直面している。そこでA氏は既存の製品分野である豆腐製品を脱コモディティ化させるとともに、自社の資源を有効に活用できそうな新たな製品分野として手作りドーナツの製造に目をつけ、事業の再建を目指している。現在、A氏は、自社製品のブランド化とそのための資金調達に向けて、日夜奔走している。
 以下はA氏が計画しているブランド構想についてのシナリオの一部であり、融資を相談している金融機関に対する説得材料でもある。このうち、最も不適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) A氏は、取引先の有力チェーン小売企業の棚の好位置により多くの新製品のフェイス獲得を図るため、その交換条件として同チェーンの安価なPB商品のための専用生産ライン増設への投資を検討している。
(イ) A氏は製品による差別化だけでなく、自社製品の販売経路(チャネル)や営業手法による差別化機会を検討しているが、経験価値が重要となるドーナツの製造販売ではフランチャイズ方式による小売店舗網の構築を計画している。
(ウ) 持続的な競争優位を確立するためには、自社の内部だけでなく、外部の環境をしっかり把握しないといけないが、後者を分析するにあたっては競合に加え、異業種の市場の観察から市場創造の構想を練ることが欠かせない。
(工) 消費者が、自社の製品の属性を識別し、明確に差別化されたものであるという知覚イメージをもつことがブランド化の要であるから、商品説明のためのコミュニケーションの基本として産業財の営業を参考にしようと計画している。
(オ) 豆腐の製造販売での新製品のブランド化を目指すにあたって、A氏は活気ある多くの商店街の空き店舗に簡易直営店を出店する計画を立てている。これは配送車両の積載率向上にもつながる。

解答を確認する

Copyright(C)Katana All right reserved.