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平成22年度1次試験問題:企業経営理論

設問11

 次の文章を読んで、以下の設問に答えよ。

 地球温暖化防止をめぐって、@様々な提案や取り組みが国際的に展開されている が、その動向は企業の戦略行動や国の環境対応に影響を与えている。特に二酸化炭 素の排出量が問題となっている産業では、企業はA二酸化炭素の排出を削減したりエ ネルギー消費を抑える技術の開発に熱心であるB二酸化炭素排出量を削減する努力 は企業に新たなコスト負担を強いることになるが、他方では開発された環境技術を 活かして新たな市場が生まれつつある

 

(設問1)
 文中の下線部@で指摘するような地球温暖化防止の試みとして、1997年の京都議定書では排出量取引が認められた。排出量取引に関する記述として、最も不適切なものはどれか

【解答群】
(ア) 一般に排出量取引のコストは環境技術やシステムの開発コストより低いため、排出量取引が選考されて、温室効果ガスの排出削減が進まないことが懸念されている。
(イ) 開発途上国の企業は先進国が開発した環境技術を導入することで、その開発コストを負担しないですむため、先進国と開発途上国の間でコスト負担にインバランスが生じることになる。
(ウ) 日本では排出量取引は全産業を対象にして自主参加型のものが試行されている段階である。
(工) 排出量取引では、排出量を排出枠内に抑えて発生した余剰(炭素クレジット)を、排出枠を超えて排出してしまった国が買い取れば、排出枠を遵守したと見なされる。

(設問2)
 文中の下線部Aの企業の環境技術の開発をめぐる動向に関する記述として、最も不適切なものはどれか

【解答群】
(ア) 2009年4月に開始されたエコカー減税は、特例措置として低燃費・低排出ガスを設定された自動車の取得税や重量税に減免措置が適用されるので、自動車メーカーにはエコカー開発のインセンティブになっている
(イ) 2009年5月に開始された家電エコポイントは、企業に対してグリーン家電の開発を促し、消費者には購買意欲を駆り立てている。
(ウ) 2次電池の開発に取り組んでいる企業では、電極のレアメタルの高騰が電池価格に反映することが隘路のひとつになっている。
(工) 電気自動車は構造が比較的単純であるので、充電システムについては自動車業界で統一した方法が確立している。
(オ) バイオ燃料は環境配慮型エネルギーとしてトウモロコシや大豆、菜種などから代替燃料が開発されており、欧州ではバイオディーゼルにも使用されているが、ディーゼル車が普及していない日本ではそのようなディーゼルの開発は低調である。

(設問3)
 文中の下線部Bのように環境技術を活かした市場とエコ産業をめぐる中小中堅企業の取り組みに関する記述として、最も不適切なものはどれか

【解答群】
(ア) 各種のリサイクル法が制定されるにつれて、容器包装、家電、建設資材、食品、自動車などの再商品化や解体リサイクルに新規参入の機会が生まれ、静脈産業にベンチャー企業が誕生している。
(イ) 古紙などの回収資源は天然資源に対して価格競争力をもっているので、古紙回収事業に多くの中小事業者が新規に参入している。
(ウ) 資源循環型社会のエコタウン事業では、ゼロ・エミッションを目指して、各地の特性を活かして誘致企業とともにリサイクル技術の開発を進めている。
(工) 消費者のエコ意識とともに製品の安全性への関心が強くなるにつれて、安くても安全性に疑念がある製品よりも少し高くても信頼できる製品を求める傾向が見られ、生産技術の確かな中小企業にビジネスチャンスが生まれる例が見られる。
(オ) リサイクル企業には貴金属鉱石よりも含有率が高い破棄家電等からレアメタルを抽出する独自技術を工夫する例があり、都市からレアメタルが生産される様を都市鉱山ということがある。

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設問12

 リーダーシップの諸学説に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) ハウスによるパス・ゴール理論は、リーダーの職務は部下の業務目標の達成を助けることであり、そのために必要な方向性や支援を与えることにあるとした。
(イ) フィードラーによるコンティンジェンシー理論では、環境の不確実性が高い場合には有機的なリーダーシップが、不確実性が低い場合には機械的リーダーシップが望ましいとした。
(ウ) ブレイクとムートンによるマネジリアル・グリッドは、「構造作り」と「配慮」という二軸でリーダーシップ特性を分類し、9−9型が最も高い成果を生むとした。
(工) リッカートによる参加型リーダーシップでは、リーダーは部下の意思決定に積極的に参加し、影響力を行使することが重要であるとした。

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設問13

 あなたがコンサルタントとしてアドバイスしている家庭用品メーカーA社には、 以下のような特徴がある。これを読んで下記の設問に答えよ。

 A社は40年の歴史があり、主力事業は既に成熟期に入っていて、その事業を展 開する部門では安定的な利益率を確保していた。社員は部品レベルでの品質改善に 取り組んでおり、皆忙しいと言っているが、市場シェアはほとんど変わらない。全 体的に現状に満足している社員が多く、職場は比較的和気あいあいとしている。 社長が主力事業部の従業員を活性化しようと、工場やマーケティング部門に権限 を委譲し、生産コストや市場シェアによって評価する人事管理システムを導入し た。しかし、@その結果。市場シェアは増大したが、歩留りが悪化し、利益率は低下 してしまった

 その一方で、トップマネジメントはA新規事業に対して積極的に取り組むことを指 示したが、部門管理者たちは最初は綿密な計画を立てるものの、実行段階になると 業務がスムーズに運ばなくなり、いつのまにか撤退を余儀なくされてしまうことを 繰り返してきた

(設問1)
 文中の下線部@のような結果は、なぜ生まれたのか。考えられうる可能性として最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) この事業部が扱う家庭用品市場がすでに成熟しており、価格競争でしかシェア拡大が難しくなっていたため、コスト削減をトップが指示した可能性があるから。
(イ) 事業部によって異なる目標管理制度が導入されたため、当該事業部の従業員が公平性を欠くと認識しこれに反発した可能性があるから。
(ウ) 市場シェア目標やコスト管理目標が、事業部の投資利益率目標とは連携していても、A社全体の利益率目標と合理的に連携していなかった可能性があるから。
(工) 市場シェア目標を達成するために、マーケティング部門は価格を低く設定し、その結果、販売数量が増加し、生産部門はコスト管理を徹底したために品質を犠牲にすることになった可能性があるから。
(オ) 市場シェアや生産コスト管理のような、成果主義による管理方針に対して、従業員が反発した可能性があるから。

(設問2)
 A社が下線部Aのような組織になってしまう理由として考えられうる可能性として、最も不適切なものはどれか

【解答群】
(ア) 従業員の間で意思決定権限が細分化されており、多くの管理者の同意を得なければならない可能性があるから。
(イ) 従業員の業績評価システムが、ミスや失敗による減点方式になっている可能性があるから。
(ウ) 従業員の職務と責任・権限が、会社の利益と関係づけて理解されていない可能性があるから。
(工) 主力事業部の規模や資産等のスラックが大きく、従業員が市場における変化や競争圧力を感じにくくなっている可能性があるから。
(オ) 新規事業開発についてミドルマネジメントに十分な権限を委譲していないため、彼らの知識創造力を十分活用できていない可能性があるから。

(設問3)
 A社の組織全体が抱えている問題点を改善する方策として、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 市場の動向に関する情報をもつ現場の従業員に権限を与え、ボトムアップで変革案を作成させる。
(イ) 従業員に業績連動型の報酬制度を導入し、企業の利益と職務の関係を明確にする。
(ウ) 中間管理職に権限を委譲し、彼らの自主性を重視したチーム運営ができるようにする。
(工) 中間管理職を横断する組織を作って、合議による変革プランを作成させる。
(オ) トップマネジメントによる方針決定と執行担当管理者の意思決定権限の所在を明確に定義する。

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設問14

 従業員の動機づけ理論と、報酬制度との関係についての記述として、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 時間給のような固定給制度は、個人の特性による差異を反映した公平理論と整合性が高い。
(イ) 職能資格制度のような能力給は、仕事そのものにやりがいを見いだそうとする内発的動機づけ理論と整合性が高い。
(ウ) 職務給制度は、その職務をよりよく遂行することを通じて自己実現を達成しようとする欲求階層説と整合性が高い。
(工) 年功給与制度は、年齢の上昇とともにそれに見合った能力を身につけようとする人間の達成動機と整合性が高い。
(オ) 利益分配制度のような変動給与制は、個人の業績とモチベーションが最大になったときに受け取る報酬との間に強い関係があるとする期待理論と整合性が高い。

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設問15

 新規事業に進出する際の手法は、本業との技術面での関連性と市場面での関連性を考慮する必要がある。下図は、縦軸に市場面での関連性を、横軸に技術面での関連性を、それぞれ本業、関連事業、非関連事業として、新規事業を分類したものである。B、D、Eに該当する新規事業に進出する際に適切な手法の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

  組織における個人のコンピテンシーを高め、自発的に職務にコミットさせるようにするためのプロセスとして、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) B:社内計画的開発 D:社内ベンチャー
  E:ジョイントベンチャー(合併)  
(イ) B:社内ベンチャー D:社内計画的開発
  E:ジョイントベンチャー(合併)  
(ウ) B:社内ベンチャー D:ジョイントベンチャー(合併)
  E:買 収  
(工) B:ジョイントベンチャー(合併) D:社内計画的開発
  E:買 収  
(オ) B:ジョイントベンチャー(合併) D:社内ベンチャー
  E:買 収  

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