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平成22年度1次試験問題:企業経営理論

設問1

 これまで高い評判を受けていたメーカーの製品が、あるとき、急にその評判を落としてしまうことがある。評判を落とす直接的な原因は、顧客からのクレームの多発やクレーム対応のまずさなどであるが、クレームが発生までに、しばしば既に企業内部に幾多の問題が潜んでいることがある。また、問題が発生する状況は業種によって異なることが多い。次の記述のうち、クレームを発生させる可能性が最も高いものはどれか。

【解答群】
(ア) ある家電メーカーでは、部品の標準化やモジュール化を徹底して製品の構造設計の簡素化を推し進めながら、製品検査とクレーム対応の現地化を図るために、海外の生産拠点での仕様の一部変更を認めるようにした。
(イ) 技術の分かるマネジャーによる市場対応を図るために、生産技術に支障がないように注意して、エンジニアリング部門から営業部門や事務部門への配置転換を進めている。
(ウ) これまでクレーム等の消費者対応はすべて本社での対応であったが、販売増大とともに事務処理が滞るようになったので、クレーム情報は本社に報告するが、重大なクレーム以外の日常的な消費者対応は営業拠点に委ねることにした。
(工) 自社の清涼飲料水の売り上げが急拡大しているので、自動化ラインの工場を立ち上げて、従業員を募って量産体制に入った。
(オ) 高い品質で知られる中堅部品メーカーでは、収益性をさらに高めるべく、手間とコストのかかる品質検査を公的検査機関に依頼するとともに、賃金の高い熟練技術者に代わって若手従業員を新規に雇用し、個々の業績評価を賃金に連動させるように人的資源戦略を転換した。

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設問2

 どの業種にもいわゆる勝ち組と負け組が見られる。激しい競争にもかかわらず他社よりも優れた業績をあげている企業の特徴に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) ある通信機器メーカーでは、生産を国内工場に集約して生産現場で厳格な品質管理体制をとり、堅牢な機器と先進的なデータ処理を売りに、顧客の信頼を得ながら業界水準よりも高い価格で売り上げを伸ばしている。
(イ) ある町工場では単品物の受注に特化しているが、熟練を活かした加工技術を武器に、あらゆる注文に応えられる受注生産体制を敷いて、特定業種にこだわらない受注先を確保している。

(ウ) 健康食品を製造販売しているある企業では、顧客からのダイレクトな注文や問い合わせに応えるべく、コールセンターの充実を図るとともに、それを基にした顧客データベースを活かして、逆に顧客への情報発信を行い、顧客との強い信頼関係の構築を目指している。

(工) 創業間もない中小化粧品メーカーでは、肌に潤いを与える希少な天然素材を活用した高価な基礎化粧品に絞り込んで、全国的な広告宣伝と大手百貨店や量販店への出店を目指してる。
(オ) 激しい価格競争と急激な利益率低下のため大手の電子機器メーカーが撤退した市場で、ある中堅メーカーでは海外企業からの低価格な中間財の調達と自社が得意とする実装技術を活かして、実用本位の機能に絞り込んだ低価格製品で安定した売り上げを確保している。

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設問3

 企業に固有な能力は、自社独特の戦略展開を可能にするものとして重要である。企業が生産技術にかかわる固有能力を維持したり構築しようとする試みに関する記述として最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 業界に普及している汎用設備の導入を進めて、資本装備率の向上を目指している。
(イ) 現場からの改善提案のうち、全社QC大会で表彰を受けたものだけを実行している。
(ウ) 現場への新人の投入時に技術指導を中心に導入教育にも時間をかけている。
(工) 自社の生産技術を守るべく、生産部門での人事異動も新規採用も行わないことにしている。
(オ) 他社の優れた生産技術を積極的に導入して自社技術を常に一新するようにしている。

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設問4

 企業は技術の発展にともなって、しばしば研究開発組織をダイナミックに組み替えたり、研究開発の仕組みに工夫をしている。そのような状況に関する記述のうち、製品開発戦略の展開に結びつく研究開発組織のあり方として、最も不適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 技術ごとの機能分化が進み過ぎたので、市場が求める製品のニーズに沿って技術部門を再編するとともに、営業部門との協議を開くことにしている。
(イ) 技術的に複雑な製品が増えてきたので、プロダクトチームのほかに技術分野ごとの機能別チームを再び編成し、開発段階に沿って機能別チームがプロダクトチームと連携することにしている。
(ウ) 製品開発のプロジェクトリーダーには、専門的な技術知識とともにチームをまとめるマネジメント能力や人間性を重視して任命している。
(工) 製品ごとに開発担当者をおき、その下に開発チームを編成し、開発が終わった段階で担当者及びチーム参加者は解散することにしている。
(オ) 中央研究所を見直して担当を開発研究に絞り込み、外部と取引や技術交流のある生産技術部門や営業部門に基礎研究を移管している。

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設問5

 企業は経済社会の一員として多面的に社会的な責任や期待を負いつつ、経済活動を展開している。そのような社会的存在としての企業の経営行動に関する記述として最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 企業価値は株式時価を中心に測定されるが、株価は企業が直接操作できない証券市場で形成されるため、企業価値は具体的な数値目標で表される目的にはなりにくいので、株価にとらわれない自社のビジョンに基づく経営を維持するべく上場を廃止する例が見られるようになった。
(イ) 企業の利益極大化の追求は、納品業者や販売業者さらには労働者に厳しいコスト削減を強いることになるので、利益計画は公表しないことにしている。
(ウ) 長期の不況の中で賃金コストの抑制が図られ、安価な労働力として非正規雇用が増えたが、企業は雇用不安を抑えるべく、近年ではワークシェアリングを盛んに導入している。
(工) 日本では同業者間で同質な技術や商品の開発競争が激化しやすく、その競争を一挙に海外でも展開する傾向があり、集中豪雨的な進出として批判されることがあるばかりか、技術力の低下が起こっている。

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