商標法
商標法とは、商標(商品やサービスにつける目印(ブランド)のこと)に関する法律である。
(目的)
この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
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登録主義と使用主義
現実の使用により権利が発生することを重視する使用主義と、登録により権利を発生させる登録主義の考え方とがあります。
日本やヨーロッパ等は登録主義、米国やカナダ等は使用主義を採用している。
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先願主義
同一の商品について複数の出願がされた場合、我が国では先願主義が採用されている。
先願主義とは、複数の出願のうち、最初に出願した者に商標権を付与する考え方である。
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登録要件
商標法による保護を受けるためには、次の要件を満たす必要がある。
「自他商品・役務の識別力」があること
「自他商品・役務の識別力」とは、自社の商品または役務を他社の商品または役務と区別させる商標の基本的機能のことである。
商標とは、本来、自社の商品・役務に付して、需要者が自社の商品・役務と他社の商品・役務とを区別できるようにし、営業努力によって信用を蓄積して、顧客 を引きつけるために使用されるものです。そのため、自他商品・サービスを区別させる機能を有さない商標は、商標としての本来の目的を果たし得ないため、登録できない。
(商標登録の要件)
第3条
1 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。
1.その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
2.その商品又は役務について慣用されている商標
3.その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
4.ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
5.極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標
6.前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標
2 前項第3号から第5号までに該当する商標であつても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。
使用による自他商品・役務の識別力の発生した場合
商標の構成において、本来、識別力を有しない商標でも、使用により識別力を生じた商標は商標登録をうけることができる。
商品が類似しないこと
比較される複数の商標が同一・類似の商品に使用されたとき誤認や混同を生じる恐れがあるため商標登録をうけることができない。
公の利益を害さないこと
商標権は私権であり、公の利益を害してまで登録は認められない。
次の場合がそれに該当する。
- 国・行政・国際機関などに関するものと同一・類似
- 公序良俗に反する商標
- 商品の品質、サービスの質の誤認を起こすおそれがある商標
存続期間
商標権の存続期間は登録から10年間である。ただし更新申請を行い更新登録を受ければ何回でも更新することができる。
商標権の侵害
権原のない第三者が登録商標と同一または類似の商標を、登録商標の指定商品または指定役務と同一または類似の商品・役務に使用した場合、商標権を侵害することとなり、以下の権利行使ができる。
- (1)差止請求権
- 侵害行為を止めさせることができる
- (2)損害賠償請求権
- 侵害行為により受けた損害の賠償を請求できる
- (3)不当利得返還請求権
- 侵害によって第三者が不当な利得を得ているときは、その返還を請求できる
- (4)信用回復措置請求権
- 侵害行為によって特許権者の信用が傷つけられたとき、その信用を回復する為の措置を講ずることを求めることができる
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