平成17年度1次試験解答:企業経営理論
設問31
解答:エ
(ア) | CRP(Continuous Replenishment Program)では、補充発注は顧客企業側が行う。 →×:CRP(Continuous Replenishment Program:連続補充方式)とは、 消費者が購入した数量などに基づいて、必要在庫数量を算出し、自動的に補充する仕組みである。よって顧客企業側が補充発注を行なうわけではない。 |
(イ) | サードパーティ・ロジスティクスは、荷主や荷受人と物流業者が共同して行う物流である。 →×:サードパーティ・ロジスティクス(3PL)とは、ある企業のロジスティクスの全体もしくは一部を、第三の企業に委託することで実現するという、物流業務形態のことである。 荷主や荷受人と物流業者が共同して行う物流のことではない。 |
(ウ) | サプライチェーン・マネジメントでは、各企業内という視点で最適化が図られる。 →×:サプライチェーン・マネジメントとは、物流システムをある一つの企業の内部に限定することなく、複数の企業間で統合的な物流システムを構築し、経営の成果を高めるためのマネジメントのことである。各企業内レベルでの最適化を図るものではなく、企業の枠をこえたサプライチェーン全体での最適化を図るものである。 |
(工) | モーダルシフトとは、トラックから鉄道や内航海運への移行を意味している。 →○:モーダルシフトとは、貨物の輸送手段をトラックや航空機から鉄道や船舶に転換を図ることである。モーダルシフトによって、 @省エネ効果、 A交通渋滞の緩和、 B窒素酸化物などの排気ガスによる大気汚染の削減、 C二酸化炭素(CO2)排出削減による地球温暖化防止、 D少子高齢化による労働力不足の緩和 などの効果が見込まれる。 |
設問32
解答:オ
(オ) | 製品群を増やすと、既存ブランドの持っていた位置づけがより明確になる。 →×:製品群を増やすと、既存ブランドの持っていたブランドイメージが失われ、位置づけが不明確になる。 |
設問33
解答:ア
最寄品・買回り品・専門店 とは商品の特徴を分類したものである。
- 最寄品
- 日常的に高頻度で購入される商品のことである。
一般的に 野菜・魚・肉といったものがそれに該当する。 - 買回り品
- その商品を買うために複数の店を見て回り、価格、スペック、デザインなどを比較して決める商品のことである。
一般的に家具や電化製品がそれに該当する。 - 専門品
- 消費者が商品を販売している店まで、時間をかけわざわざ買いに来てくれるような商品のことである。
一般的に高級ブランドの時計や財布などがそれに該当する。
(ア) | 買回品は購買においてブランドが事前に決定される。 →×:購買においてブランドが事前に決定されるのは、ブランドを信用して購入することが多い専門品である。買回品においてはブランドが事前に決定されることは少ない。 |
(イ) | 買回品は同種の商品の販売店が近接することがある。 →○:買回品は消費者がいくつかの商品を見て回り、価格・品質・デザインなどを比較・検討する傾向があるので、同種の商品の販売店が近接することがある。 |
(ウ) | 専門品は購買についての努力をいとわない。 →○:専門品は一般的に高額であり、商品に関する情報を得るための努力をいとわない。 |
(工) | 専門品は購買頻度が低い。 →○:専門品は一般的に高額であり、計画的に購買が行われるので、購買頻度は低い。 |
(オ) | 最寄品は最小限の努力で購買しようとする。 →○:最寄品は頻繁に購入する上に、低価格なので最小限の努力で購買しようとする。 |
設問34
解答:オ
(ア) | 一過性であるため、メッセージ生命は短い。 →○:ラジオ広告は短時間かつ聴覚のみへの訴求のため、メッセージ生命は短い。 |
(イ) | 時間帯などによりターゲットを限定しやすい。 →○:時間帯によって中心となる聞き手が異なるので、ターゲットを限定しやすい。 |
(ウ) | ドライバーが聴取するので自動車関連広告に適している。 →○:ラジオは運転中に聴取されるケースが多いので、自動車関連広告に適している。 |
(工) | 番組と連動したキャンペーンなど広告主の要望を取り込みやすい。 →○:広告主の要望を取り込むなどして番組内容を変更するのが容易である。 |
(オ) | パーソナル媒体であるので広告効果を測定しやすい。 →×:ラジオ広告はマス媒体であるので、広告効果を測定しにくい。 |
設問35
解答:エ
広告は企業広告と製品広告に分類することができる。
- 企業広告
- 商品やサービスの販売、訴求を目的とした広告
- 商品広告
- 企業のポリシー、姿勢などを告知して、企業ブランドを告知しようとする広告
(ア) | 新しいマークの採用などCI活動の一環として利用される。 →○:CI(コーポレート アイデンティティ)活動とは、その企業が何をする会社で、どんなビジョンを持った会社なのかを会社内外にアピールし好ましい企業イメージを作り出すことです。企業広告はCI活動の一環として利用される。 |
(イ) | 企業イメージの形成や向上を目的としている。 →○:正しい。 |
(ウ) | 経営理念や新事業の告知として利用される。 →○:正しい。 |
(工) | ビジネスの一環として商品・サービスを購買する主体を訴求対象としている。 →×:商品・サービスを購買する主体を訴求対象としているのは、製品広告である。 |
(オ) | 文化芸術活動への支援などメセナ活動への取り組みを訴求する。 →○:正しい。 |
設問36
解答:エ
(ア) | 細分化することによって、製品の種類が増えるので、それに応じてコストがかかる。 →○:セグメントごとに製品を開発・投入することになるので製品の種類が増加しコストもかかる。 |
(イ) | 細分化することによって、それぞれのセグメントのニーズに応じた対応が必要である。 →○:市場を細分化することにより対象となる顧客ニーズが異なるのでニーズに対応したマーケティング活動が必要になる。 |
(ウ) | セグメントごとに、適切なマーケテイング・ミックスを形成する必要がある。 →○:セグメントごとのマーケテイング・ミックス |
(工) | セグメント内部では、あるマーケテイング活動に対して反応の差が大きい方がよい。 →×:セグメント内部では、あるマーケテイング活動に対して反応の差が小さいほうがよい。反応の差が大きい場合はさらに市場を細分化し反応の差を小さくしていくことが望ましい。 |
(オ) | それぞれのセグメントは、ある一定の市場規模が必要である。 →○:細分化された市場が十分な規模を持ち、対象とするに足る十分な利益を得られる必用がある。 |
設問37
解答:ウ
(ウ) | 自動販売機メーカーが、自社の負担で自動販売機を小売店に提供したから。 →×:自社の負担で自動販売機を小売店に提供したのは自動販売機メーカーではなく、製造メーカー(コカコーラ社やキリンといった飲料メーカー)である。 |
設問38
解答:エ
チャネルは次の様に分類される。
- 開放的チャネル政策
- メーカーができるだけ幅広くチャネルを網羅することにより、広く最終消費者に製品を供給していこうとする際に利用される政策である。 したがって、販売先の限定をせずに、取引を希望する販売店には信用の許す限り製品を販売する
- 選択的チャネル政策
- メーカーがチャネルの幅をある程度限定し、その限定した範囲の流通業者に対して優先的に製品を販売していくという政策である。
- 専属的チャネル政策
- メーカーがチャネルの幅を極端に限定し、その限られた流通業者に対して一定地域の専売制を付与していく政策である
- 統合的チャネル政策
- メーカー自らが直営の販売店網を保有する政策である。
(ア) | 競争企業の製品の取り扱いをさせない。 →×:「競争企業の製品の取り扱いをさせない」のは専属的チャネル戦略のことである。 |
(イ) | 自社の製品をどこでも買ってもらえるようにする。 →×:「自社の製品をどこでも買ってもらえるようにする」のは開放的チャネル戦略のことである。 |
(ウ) | 市場カバレッジは広いが、チャネルコントロールカが低い。 →×:「市場カバレッジ(適応範囲)は広いが、チャネルコントロールカが低い」のは、開放的チャネル戦略のことである。 |
(工) | 新規事業で流通業者を探しているときに採用される。 →○:「新規事業で流通業者を探しているとき」採用されやすいのは、選択的チャネル政策である。新規事業であるのでイメージやサービスは大切であり、そのイメージ・サービスに適したチャネル政策を行なうためにも選択的チャネルを選択するのが望ましい。 |
(オ) | メーカーと流通業者の間で強い結びつきが必要である。 →×:「メーカーと流通業者の間で強い結びつきが必要」なのは専属的チャネル戦略のことである。 |
設問39
解答:イ
(イ) | 選択的注意とは、自分の信念を裏付けてくれるような情報は覚えている傾向にあることを指している。 →×:選択的注意とは、多数の感覚情報の中から特定の情報を取り出して認識することである。例えば、人ごみの中から知り合いの顔を見つけ出すような、妨害物の中から意味のある標的を見つけ出すといった重要かつ基本的な認知機能のことである。従って、自分の信念を裏付けてくれるような情報は覚えている傾向にあることではない。 |
設問40
解答:ア
(ア) | 商店街組織のスタンプ事業で、消費者がスタンプを現金に交換するときの金額は、商店街組織が小売店などに販売したスタンプ金額と同一にすることが定石である。 →×:商店街組織が小売店などに販売したスタンプ金額と同一にしないことが定石である。もし同一にすれば商店街組織がスタンプ事業の費用を負担することになってしまう。 |
(イ) | スタンプの押印によるポイント制では、住所・氏名などを記入してもらう場合は、スタンプの台紙の配布時よりも特典交換時の方が効果的である。 →○:スタンプの台紙の配布時に住所・氏名を記入するのは、消費者にとって面倒なだけで、メリットがない。反対に特典交換時は消費者にとって住所・氏名を記入することで得点を得るというメリットがあるので住所・氏名を記入してもらいやすい。 |
(ウ) | 台紙にスタンプを押印したり、スタンプを貼ることによって、達成感をもたらすことができる。 →○:台紙にスタンプを押印したり、スタンプを貼ることによって、消費者に達成感を与えることができる。 |
(工) | 電子的にポイントを管理すると、顧客の購買履歴を得ることが容易となる。 →○電子的にポイントを管理すると、顧客の購買履歴を得ることができる。 |
(オ) | ポイントを特典に交換するのに足りない場合に、ポイントそのものを販売することがある。 →○:ポイントを特典に交換するのに足りない場合に、ポイントそのものを販売することがある。航空会社によるマイレージの販売などがそれに該当する。 |