平成16年度1次試験解答:企業経営理論
設問31
解答:オ
(オ) | 労使委員会の設置にかかる行政官庁に対する届出が義務づけられたこと。 →○:労使委員会の設置にかかる行政官庁に対する届出は、廃止となった。 |
設問32
解答:イ
(ア) | 65歳未満の定年の定めをしている事業主は、その定年年齢の引き上げ、継続雇用制鹿の導入または改善など65歳までの安定した雇用の確保を図るために必要な措置を講ずるように努めなければならない。 →○:65歳未満の定年を定める事業主に対しては、定年の引上げに関して必要な措置を講ずる旨の努力義務が課されている。(高年齢者雇用安定法付則第4条2項) 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第4条 2 事業主は、その雇用する労働者が高齢期においてその意欲及び能力に応じて就業することにより職業生活の充実を図ることができるようにするため、その高齢期における職業生活の設計について必要な援助を行うよう努めるものとする。 |
(イ) | 「高年齢者」とは65歳以上の者をいう。 →×:「高年齢者」とは55歳以上の者を指す。 |
(ウ) | 「中高年齢者」とは45歳以上の者をいう。 →○:「中高年齢者」とは45歳以上の者を指す。 |
(工) | 事業主は、高年齢者雇用確保措置を推進するため、作業施設の改善その他の諸条件の整備を図るための業務を担当する者を選任するように努めなければならない。
→○:正しい。(高年齢者雇用安定法 第5条参照) 高年齢者雇用安定法 第5条 (高年齢者雇用推進者) 第5条 事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、高年齢者雇用確保措置を推進するため、作業施設の改善その他の諸条件の整備を図るための業務を担当する者を選任するように努めなければならない。 |
設問33
解答:エ
(ア) | 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について8時間を超えて、労働させてはならない。 →○:労働基準法では労働時間は原則として1日8時間と定められている。 ▼労働基準法 第32条2項 労働時間 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。 |
(イ) | 使用者は、賃金台帳に、労働者各人別に労働時間数を記入しておかなければならない。 →○:使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。 |
(ウ) | 使用者は、満18才に満たない者を午後10時から午前5時までの間において使用してはならない(交替制によって使用する満16才以上の男性を除く。 →○:使用者は、満18才に満たない者を午後10時から午前5時までの間において使用してはならない。ただし、交替制によって使用する満16才以上の男性については、この限りでない。 ▼労働基準法 第61条 深夜業 使用者は、満18歳に満たない者を午後10時から午前5時までの間において使用してはならない。ただし、交替制によつて使用する満16歳以上の男性については、この限りでない。 |
(工) | 使用者は、労働時間が6時間を超える場合は、1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。 →×:労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においでは少くとも1時間の休憩時問を労働時間の途中に与えなければならない。 ▼労働基準法 第34条2項 休息 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。 |
(オ) | 使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも一回の休日を与えなければならない。 →○:使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。 ▼労働基準法 第35条 休日 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。 |
設問34
解答:オ
(ア) | 商品の価格が変動すると、需要量も変動する。需要の価格弾力性は、特に生活必需品においては大きくなる。 →×:価格の弾力性とは、価格の変動によって、ある製品の需要や供給が変化する度合いを示す数値である。価格弾力性が高いほど、価格の変化に対する需要量の変化は大きくなる。生活必需品の場合、価格が高くても購買を大きく変えることはできないので価格弾力性は小さくなる。 |
(イ) | 所得水準が上昇するとき、食料品への支出が家計消費支出に占める割合は上昇する。 →×:「食料品への支出が家計消費支出に占める割合」というのは、エンゲル係数のことを指している。 エンゲル係数とは、家計全体に対して食費の占める割合のことである。食費はどんなに貧しくても欠かせないために、所得が低いほどその割合が大きくなり、エンゲル係数は上がる。逆に、所得が増えるにつれて、エンゲル係数は低下する。 |
(ウ) | 新規購入と買い替えによって、ある特定の品目の保有量の水準が高まる。 →×:新規購入によって保有量の水準を高めるが、買い替えの場合は保有する新旧の品目が入れ替わるだけであり、保有量の水準は高まらない。 |
(工) | 他人の生活様式の変化に接して本人の生活様式が影響を受けることは、「ハロー効果」といわれている。 →×:ハロー効果とは「一部の好ましい、あるいは好ましくない印象への評価が、全体に及ぼす影響ないし効果」のことである。設問のような効果は「デモンストレーション効果」のことである。デモンストレーション効果とは、他者からの影響による購買活動の変化のことである。 デモンストレーション効果の例)他の人が持っている流行の品が欲しい、他の人に対する見栄からブランド品が欲しい、あこがれの人が持っているものと同じ物が欲しいといった影響のこと。 |
(オ) | プロモーションによって需要が増大することは、「依存効果」といわれている。 →○:依存効果とは、消費者の欲望が生産者側に依存すること、つまり消費者の自律的な欲望から需要が発生するのではなく、供給サイドである企業の広告・宣伝、販売術によって他律的に需要が形成され、消費行動が生じるということである。 |
設問35
解答:ア
以下に選択肢の各用語の説明を記す。
- 定型的問題解決行動(日常的反応行動)
- 消費者が製品やブランドについての知識を十分に持っている場合の購買行動
- 限定的問題解決行動
- 製品については熟知しているが、そのブランドについての知識が乏しい場合の購買行動
- 拡大的問題解決(包括的問題解決行動)
- 消費者が製品やブランドについての知識が十分でない製品を購買する時の購買行動
(ア) | 限定的問題解決行動では、消費者にその製品群の評価基準があるので、新たに市場に登場した製品に対して、簡単に評価を下すことができる。 →×:限定的問題解決行動ではブランドに対する知識が乏しいので簡単に評価を下すことはできない。また「製品群の評価基準がある」、「簡単に評価を下すことができる。」のは定型的問題解決行動である。 |
(イ) | 限定的問題解決行動は、プロダクトライフサイクルの成長期にある製品の購買の際に多い。 →○:限定的問題解決行動は、製品について消費者が認知し始めているので、成長期に多い。 |
(ウ) | 定型的問題解決行動は、消費者が当該製品や当該ブランドを良く知っている際にみられる。 →○:定型的間垣解決行動は消費者が製品やブランドについての知識を十分に持っている場合の購買行動である。 |
(工) | 定型的問題解決行動をとり続けると、他の製品をますます考慮しなくなる。 →○:ブランドで選考しているので他の製品を考慮しなくなる。 |
(オ) | 包括的問題解決行動では、消費者は購買意思決定に必要な情報の探索に時間を多く使う。 →○:消費者が、製品やブランドについての知識が不十分なので、製品に対する知識を得ようとする。その為、消費者は購買意思決定に必要な情報の探索に時間を多く使う |
設問36
解答:設問1:エ 設問2:エ 設問3:ウ
(設問1)
ファミリーブランドと個別ブランドに関する問題である。
- 個別ブランド
- 製品1つひとつに対して、異なるプランドを設定する手法
- ファミリーブランド
- 企業の特定の製品郡に対して共通のブランドを設定する手法
(ア) | 企業名と個別ブランドを組み合わせる方法では、新商品であっても個別ブランド部分でその商品の信用を示すことができ、市場浸透を容易に行うことが可能である。 →×:個別ブランドでは、新たなブランドを導入するので、ブランドに対する認知度は全く無いと考えられるので商品の信用を示すことはできない。ただし企業名でその商品の信用を示すことは可能である。 |
(イ) | 個別ブラントネームは、既存の商品で培ってきたブランド・イメージを活用して、例えば低価格市場といった新しい市場に進出する時などに利用される。 →×:個別ブラントネームは、製品1つひとつに対して、異なるプランドを設定する手法である。その為、既存の商品で培ってきたブランド・イメージを活用できない。 |
(ウ) | 統一ファミリー・ネームとは、あらゆる商品に対して同じブランド・ネームを採用することである。過去の製品によって、顧客はすでにある程度ブランドに関する情報を得ているので、その商品の仕様を訴求するためのプロモーション・コストが節約できる。 →×:統一ファミリー・ネームは、あらゆる製品ラインに同じブランド・ネームを採用することである。過去の製品によって、顧客はすでにある程度ブランドに関する情報を得ているので、早期の市場浸透は可能になるが、商品の仕様を説明するためのプロモーション・コストまでは節約できない。 |
(工) | 複数ファミリー・ネームは、多様な商品を扱っている場合において、市場セグメントなどに応じてファミリー・ネームを複数使用することである。消費者は、 製品の位置付けを理解しやすく、商品選択が容易になる。 →○:正しい。複数ファミリー・ネームは、製品ライン群ごとに異なったブランドを使用するため、消費者は製品の位置づけを理解しやすくなり商品選択が容易になる。 |
(ア) | 小売業は、ナショナル・ブランドを低価格で販売することが容易なときに、その低価格を際立たせるために、プライベートブランドを導入することになる。 →×:プライベート・ブランドはナショナル・ブランドを低価格で販売することが困難な場合に行われる。またナショナルブランドの製品と比較して自店の利益を増大させるため、あるいは製品の特徴を訴求する場合に導入されるのであり、低価格を際立たせるために導入されるのではない。 |
(イ) | 生産者は、他のチャネル・メンバーのことを配慮するので、ある水準以下の価格の製品にプライベート・ブランドを設定するのは困難である。 →×:ナショナル・ブランドでは、他のチャネル・メンバーのことを配慮する必要がある。しかし、プライベート・ブランドは流通業者がつけた独自のブランドであるため、他のチャネル・メンバーのことを配慮する必要はない。 |
(ウ) | プライベートブランドは、生産者が行っている製品の仕様開発を小売業がすべて独自に行い、製造を委託するものである。 →×:プライベートブランドは小売業が製品の仕様開発のすべてを行うのは難しい。 |
(工) | プライベートブランドは、生産者に生産力の余剰がある場合に導入されやすく、そのためにより低価格が達成できる。 →○:正しい。 |
(オ) | プライベートブランドを導入することによって、低価格訴求のイメージ がついてまわるので、高付加価値の商品には導入されない。 →×:近年プライベートブランドの品質が向上し、消費者の信頼性を高めているので高付加価値の商品に導入されることはある。また、高付加価値の商品であっても、原材料や製法などの独自性を訴求するためにプライベートブランドが導入されることはある。 |
(ア) | 価格競争が発生しても、そこに巻き込まれにくい。 →○:ブランド価値が高い場合、価格競争が発生しても、回避し高価格での販売を維持しやすくなる。 |
(イ) | 高品質のイメージによって、高価格を設定できる。 →○:顧客からのブランドに対する高い評価がある場合、高価格の設定が可能になる。 |
(ウ) | 顧客のもつブランドへの期待を利用して、流通チャネルへのプル戦略が成立しやすい。
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(工) | 他の製品グループに新たに進出するときに、ブランド拡張しやすい。 →○:確立されたブランドのもつ力により、他の製品グループに新たに進出するときに、ブランド拡張しやすい。 |
(オ) | ブランド・ロイヤルティが高まるにつれて、マーケテイング・コストをかける必要性が低くなる。 →×:ブランド・ロイヤルティ(ブランドに対する忠誠心・執着心)が高まることにより、マーケテイング・コストをかける必要性が低くなる。ただしブランド・ロイヤルティを維持するためのマーケテイング・コストは発生する。 |
設問37
解答:エ
ユニバーサル・デザインとは、「すべての人のためのデザイン」を意味し、年齢や障害の有無などにかかわらず、最初からできるだけ多くの人が利用可能であるようにデザインすることをいいます。ユニバーサルデザインには、7つの原則がある。
- どんな人でも公平に使えること
- 使う上で自由度が高いこと
- 使い方が簡単で、すぐに分かること
- 必要な情報がすぐに分かること
- うっかりミスが危険につながらないこと
- 身体への負担(弱い力でも使えること)
- 接近や利用するための十分な大きさと空間を確保すること
(ア) | 多くの人が、操作を正しくできるように配慮すること。 →○:7つの原則の3,4,5に該当する。 |
(イ) | 体格にかかわりなく、利用できるようなサイズを採用すること。 →○:7つの原則の1に該当する。 |
(ウ) | 必要以上に無理な姿勢をとることが最小限であること。 →○:7つの原則の6に該当する。 |
(工) | 文字、音声、図形のうち、特定の障害に応じた一つの表示方法を選択すること。 →×:「特定の障害に応じた一つの表示方法を選択すること」では、「すべての人のためのデザイン」とはいえない。 |
(オ) | 利用者の予期せぬ行動に対して、リスクの発生が最小限であること。 →○:7つの原則の5に該当する。 |
設問38
解答:オ
(ア) | EDLP(エプリデイ・ロープライス)政策では、ハイ・ロー政策に比べて、特売を主目的とするチラシ配布は多い。 →×:EDLPは常に低価格で販売することであり、特売を告知する必要性が低いため、ハイ・ロー政策に比べてチラシ配布は少ない。 |
(イ) | 市場セグメント間の価格弾力性が等しい場合に、差別価格政策が有効である。 →×:差別化政策とは、製品、顧客あるいは市場セグメント間で同一製品に価格差などをつけることである。また、価格弾力性とは、価格の変動によって、商品に対する需要が変化する度合いのことである。価格弾力性が等しい場合は、差別化政策は無効である。むしろ、市場セグメント間の価格弾力性が異なる場合に差別化政策は有効である。 |
(ウ) | 知覚価格は、実際にかかったプロモーション・コストをもとに算出される。 →×:知覚価格とは、消費者がその商品やサービスの価値として感じる価格を基準に価格を設定する方法である。すなわち実際にかかったプロモーション・コストをもとに算出されるわけではない。 |
(工) | 端数を利用することによって、高品質のイメージを捷供できる。 →×:端数価格は低価格のイメージを提供するもので、高品質のイメージを提供するものではない。 |
(オ) | 名声価格は、ブランドカなどによって他社よりも高く設定された価格である。 →○:正しい。 |
設問39
解答:ア
(ア) | 管理型チャネル・システムでは、チャネル・キャプテンが全体を統括する。 →○:チャネル・キャプテンとは、流通経路の中で主導的な役割を果たし、商品や情報の流通をコントロールするものである。管理型チャネル・システムでは、チャネル・キャプテンが全体を統括する。 |
(イ) | 管理型チャネル・システムの代表的形態として、フランチャイズ・チェーン・システムがある。 →×:フランチャイズ・チェーン・システムは契約型チャネルシステムの代表的形態である。 |
(ウ) | 企業型チャネル・システムは、少額の資金でも運営できる。 →×:企業型チャネル・システムはメーカー、卸、小売の流通の各段階が単一の資本のもとに所有される形体である。すなわちチャネルの開発や維持のために多額の資金が必要になる。 |
(工) | 企業型チャネル・システムは、チャネル・コントロールカが弱い。 →×:企業型チャネル・システムは、流通の各段階が単一の資本のもとに所有される形体だから、チャネル・コントロールカは強い。 |
(オ) | 契約型チャネル・システムは、参加メンバーの資本的結合度が高い。 |
設問40
解答:イ
- クロスドッキング
- 入荷してきた商品を在庫することなく仕分して、出荷する形式のことである。
- 直接配送
- 流通センターを経由しないで、直接店舗に製品を配送することである。
(ア) | クロスドッキングは、倉庫内だけに高度な情報システムが構築されていれば可能である。 →×:クロスドッキングは、倉庫内だけでなく出荷拠点や仕入先、納入先にも高度な情報システムが構築されている必要がある。 |
(イ) | クロスドッキングは、大規模なロジスティクス・システムにおいて有効である。 →○:クロスドッキングは、倉庫内だけでなく出荷拠点や仕入先、納入先にも高度な情報システムが構築されている必要があり、大規模なロジスティクス・システムにおいて有効である。 |
(ウ) | 直接配送は、小型トラックを利用するので、輸送費を節約できる。 →×:小型トラックは積載効率が低い。よって小型トラックを利用した結果、配送の回数が増える恐れがあるので一概に、輸送費を節約できるとはいえない。 |
(工) | 直接配送は、需要者からの注文量が急激に変動しても、その変動に対応しやすい。 →×:直接配送は卸のような在庫調整機能が存在しないため、需要者からの注文量が急激に変動した場合、その変動に対応しにくい。 |