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平成26年度1次試験問題:企業経営理論

設問26

 企業が従業員の能力開発を目的として行うOJT、Off-JT、自己啓発に関する記述として、最も適切なものはどれか。
【解答群】
(ア) Off-JTとOJTは、それぞれの目的と役割がある。Off-JTは、主として社外の技術や知識、ノウハウを社内に取り入れることを目的としたものであり、OJT  は、社内の技術やノウハウ、仕事の進め方などを社内に定着させることを目的としたものである。
(イ) Off-JTは、階層別教育と職能別教育が柱であるといわれているが、Off-JTが  実際に効果があるのは、外部から企業に新たに参加してきた新入社員やマンネリ  ズムに陥った管理職(者)など同質の集団を対象として行う階層別教育であって、  営業や製造などのラインの業務に関して行う職能別教育においては、Off-JTは  あまり効果がない。
(ウ) OJTは、管理職等が日常の活動の中で指揮命令を通して行うものであるから、  OJTを計画的に実施したり、マニュアルに基づいてOJTを行うなどということ  は、実際には困難であり、あまり現実的ではない。
(工) 自己啓発は本来自主的に行うものであるから、テーマや内容について他から強  制されるべきものではないが、企業が設ける自己啓発支援制度においては、一般  的には、業務に役立つ知識を習得したり、業務スキルを磨くものなど、自己啓発のテーマや内容を業務に関連のあるものが対象とされる。

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設問27

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
 家業の果物農家を継いだS氏は、父親の代から取り組んできた大手小売チェーンへの完全直販体制をさらに強化するために、地域の若手農家とともに、この小売チェーンとの間で自らが生産する果物の@ブランド化を図る準備を進めている。各種の調査結果からは、消費者の年齢と果物の消費量との間には強い正の相関があることが明らかにされている。そこで、S氏はこの取り組みのメンバーとAマーケティング・リサーチ検討会を立ち上げ、今後とるべき方策の判断材料を集めることにした。

(設問1)
 文中の下線部@に示す「ブランド化」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 一般的に果物の成分効用は明確に識別することが可能である。おのおのの果物の成分効用という情緒的属性をベースとしたブランド・アイデンティティをデザインすれば、大きな効果を得ることができる。
(イ) 果物のブランド化においては、取引先小売チェーンも顧客データや販売データを分析し、より廃棄ロスの少ない形でのブランド育成の方法を探索することが望まれる。
(ウ) この果物のブランド化の取り組みは、少なからず作柄の影響を受ける。作柄に応じて、生産者側が出荷制限を行ったり、小売チェーン側が卸売市場を通した機動的な仕入れを行ったりすることが商品の安定的供給の上で不可欠である。
(工) 取引相手となる小売チェーンの店頭で展開する果物商品を通じて消費者の欲求理想点に近いポジションを獲得することができれば、このブランド化の構想は、強力なプッシュ効果による指名買い行動を生み出すことが可能となる。

(設問2)
 文中の下線部Aに示す「マーケティング・リサーチ」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) S氏らは、果物を購買し消費する人々の行動原理がどうなっているのか、そしてそれらの行動の背景にはどのような気持ちがあるのかを知りたいと思っている。そうした「消費者の潜在意識的な部分」のことをコンシューマー・マインドマップと呼ぶ。
(イ) S氏らは、取引先小売チェーンの協力のもと、果物の消費量の異なる複数のセグメントに属する消費者を集めてデプス・インタビューを継続的に実施している。グループダイナミクスの効果によって、思いもかけない果物の消費体験例を知ることができる。
(ウ) S氏らは、取引先の小売チェーンにPOSデータの分析を依頼している。その中でもとくに陳列情報、販促情報やその他果物の販売量に影響を与えるコーザルデータの分析を重視している。この種のデータはPOSデータから直接、簡単に取得できるものであり、迅速な意思決定を支援する。
(工) S氏らは、年齢と果物消費量の関係をさらに深堀りして把握するために、調査設計において被験者の「年齢」、「時代」、「世代」からなる3つの要因を分解して分析可能なアプローチを設計した。これは、有効な方法である。

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設問28

  次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 Y氏は、国内外の生産者への特別発注で仕入れたカジュアル衣料品と雑貨を品揃えする小売店15店舗を、地方都市の商店街やショッピングセンター(SC)の中で、チェーンストア・オペレーションによって経営している。近年、自店舗で取り扱う商品カテゴリーにおけるe-コマース比率が上昇していることを受け、Y氏はオンライン・ショッピングモールへの出店を行っている。実店舗の商圏ではなかなか売り切ることのできなかった商品も遠隔地の消費者が購買してくれるケースが目立ち、今やインターネット店舗事業の販売額が実店舗の販売額を上回るようになっており、顧客の購買履歴を活用した商品提案も好評である。

 今後の課題は、各シーズンの在庫を適切な時期に望ましい価格で販売し、常に新鮮な品揃えを提供することである。そのための手段としてY氏は各種の@価格・プロモーション施策を試み、その効果測定を通じた今後の展開の検討を行っている。 もうひとつの課題は、A買い物の目的・状況によって特定の実店舗で購買したり、インターネット店舗で購買したりする顧客の増加が顕著になってきていることである。この点についても今後、有効な対策を講じたいとY氏は考えている。

(設問1)
 文中の下線部@に示す「価格・プロモーション施策」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) Y氏の小売チェーンでは毎年夏、ヨーロッパのメーカーとの製販連携の取り組みを通して仕入れた高品質のポロシャツの販売強化を行っている。例年、3,500円から4,500円の範囲で価格設定をしていたが、需要数量に大きな差はなかった。今年、これを5,200円に設定すると需要数量は激減した。このような効果を、端数価格効果という。
(イ) Y氏の店舗の品揃えの多くは「こだわりの特注品」であるため、Y氏は過度の値引き販売は極力避けるようにしているが、過去3シーズンにおいては、商品ごとに大幅な値引き価格を表示したセールをしている。これらのセールによる消費者の内的参照価格の低下は起こりにくい。
(ウ) Y氏は以前、消費者吸引を意図して世界各国から仕入れた雑貨を100円均一で販売するキャンペーンを継続的に実施していた。日本ではほとんどみられない商品ばかりだったため、買い物客の多くは価格を品質判断の手段として用い、「これらは安かろう、悪かろうだろう」という結論に至る場合が目立った。これは、価格の品質バロメーター機能である。
(工) Y氏は顧客ひとりあたりの購買単価を上げるための施策として、キャンペーン期間中に一定数量(点数)以上の買い物を行った顧客に対して、次回以降に使用可能なバンドル販売型買い物クーポンを配布した。この種のバンドル販売の欠点は、消費者の内的参照価格が下がることである。

(設問2)
 文中の下線部Aに示す状況に対するY氏の対応策に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) インターネット小売事業と実店舗による小売事業との間の明確な線引きが今後より必要となってくる。そのため、顧客対応のための組織体制づくりにおいても両者の相乗り状況を排除して、それぞれの形態固有のサービス品質の向上に取り組んでいくことが望まれる。
(イ) 同じ顧客であっても、実店舗で購買する場合とインターネット店舗で購買する場合とでは買い物目的は大きく異なるので、顧客データ上の扱いとしては別々の個人として認識する方が有効である。
(ウ) 顧客データ分析の基盤がかなり整ってきている場合には、オムニ・チャネル化の推進が望ましい。そのプロセスでは、インターネット店舗とすべての実店舗を横断する形での顧客情報の統合や在庫データの共有によって、従来難しかったサービスの提供が視野に入ってくる。
(工) 消費者費用の観点から判断すると、インターネット店舗で購買した方が、顧客にとってより負担の少ないことが明らかである。したがって、今後はインターネット販売をさらに重視することが望ましい。

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設問29


 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 美容院を営む一家で育ったP氏は、美容専門学校に進学して美容師になった兄・姉とは異なり、高校卒業後、ある大学で企業経営理論を学んだ。大学卒業後、P氏は消費財メーカーでの営業やマーケティング調査部署などにおける数年間の勤務を経て、両親が経営する@フランチャイズ方式による美容院の成長を支援するために基幹スタッフとして入社した。そこで、P氏は将来の美容院チェーン経営者にとって不可欠なAサービスやサービス・マーケティングについて、フランチャイズ方式での事業拡大の構想と関連付けながら学ぶことにした。

(設問1)
 文中の下線部@に示す「フランチャイズ方式」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) P氏の兄と姉はともに美容師であり、資格取得後、家業の美容院に勤務していたが、法人を設立して独立するにあたってこの美容院とフランチャイズ契約を結び、第一号のフランチャイザー、つまり加盟店となった。
(イ) P氏は将来的に美容院事業の国際展開も視野に入れているが、国境を越えたフランチャイズ・システムの導入はサービス業においては先例がみられないため、代替的な参入様式を検討している。
(ウ) 加盟店から確実に一定額のロイヤルティを徴収するためには、粗利益分配方式を導入することが適切である。
(工) フランチャイズ方式とは、一般的に一定の資金の制約のもとでのスピーディーな多店舗化を達成するための手段のひとつである。

(設問2)
 文中の下線部Aに示す「サービスやサービス・マーケティング」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) P氏は加盟店を募集するにあたって、事前の生産と在庫ができないというサービス固有の問題を、本部による継続的なカット・シャンプーの技能講習を通して有効に解決できる点を訴求している。
(イ) サービス・マーケティングのマネジメントでは、有形財の4Psにpeopleを加えた5Psで考えることが通常である。
(ウ) サービス・マーケティングをめぐる課題のひとつはサービスの無形性に対して可視的な属性を付加していくことであるが、フランチャイズ方式の導入によってこの問題の解決を図ることは極めて難しい。
(工) フランチャイズ方式を通じて大学のキャンパスや空港など新たなタイプの立地における加盟店の獲得を目指す場合には、チェーン全体の中で価格やサービス内容の柔軟性を獲得することが可能となる。

(設問3)
 文中の下線部Aに示す「サービスやサービス・マーケティング」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) サービス業においては、従業員が顧客に対して全力で尽くすことはもちろん、顧客こそが価値を共につくるパートナーであるという認識をもつことが重要である。
(イ) サービスの特性のひとつに「非均質性」がある。この問題を解決するための適切な方法が、顧客に対する来店ポイント付与制度である。
(ウ) 従業員の組織に対する当事者意識の水準が高い企業の間では、顧客が知覚する価値が低くなる傾向が、近年の研究によって明らかにされている。
(工) 美容院の顧客から寄せられる主な不満は「カットした後、しばらくすると、髪型が崩れてしまう」というものである。このような消費による価値の消滅はサービスに固有の性格であり、有形財には当てはまらない。

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設問30

 消費行動の分析においては、一般的に消費者個人ではなく、家族という【 A 】単位、あるいは家計という【 B 】単位が基本的な分析の単位として用いられる。その理由は、【 C 】の選択や【 D 】の配分において、家族人数に代表される規模的要因が大きく影響するため、個人ベースでの分析よりも家計単位での分析が適しているからである。

  【 D 】の配分としての消費行動は、生活様式や【 C 】によって規定されるが、消費行動を分析する視点には、3つの代表的アプローチがある。それらは、@ライフサイクル・アプローチ、ライフスタイル・アプローチ、ならびにAライフコース・アプローチである。いずれも、生活主体としての家族ないし個人の生活構造上の特徴に着目し、その集約的指標と消費行動とを関連付けて分析するための視点である。

(設問1)
文中の空欄A〜Dに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) A:社会   B:経済   C:消費様式   D:支出
(イ) A:社会   B:契約   C:購買様式   D:支出
(ウ) A:生活   B:経済   C:購買行動   D:権限
(工) A:生活   B:契約   C:購買行動   D:権限
(オ) A:文化   B:社会   C:購買様式   D:資源

(設問2)
 文中の下線部@に示す「ライフサイクル・アプローチ、ライフスタイル・アプローチ」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 近年の家計調査によれば、家族ライフサイクルの終点近くに位置する後期高齢者による耐久消費財支出の増加傾向が読み取れる。
(イ) ライフサイクル・アプローチに示されるフルネスト(full nest)段階におかれた家計の消費支出をみると、医療、外食、ファッションといった項目の構成比が高まることが分かる。
(ウ) ライフサイクル・アプローチは、家族という集団を人の一生に例え、「家族のライフサイクル」の普遍的な共通性に着目したアプローチである。個別の家族に固有な出来事の影響を反映した分析を行う点に最も大きな特徴がある。
(工) ライフサイクル・アプローチは、モチベーション・リサーチやパーソナリティ研究から発展したサイコグラフィクスを源流とするとされる。

(設問3)
 文中の下線部Aに示す「ライフコース・アプローチ」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) Fさんは、アメリカ人の夫とともに英会話による学童保育施設を開業した。これはDINKS型ライフコースを選択する家族の増加を受けてのことである。
(イ) ライフコース・アプローチでは、近年着目される「絆」の重視や「家族回帰」を通じた家族や友人グループの中での合意に基づいた集団的な意思決定の影響が尊重されている。
(ウ) ライフコースの概念では、ライフイベントごとの選択のあり方が個々の人生の道筋の多様化を生み出すとされている。これら選択の多様化によって、社会人教育や婚活(結婚活動)など新たな消費機会が生まれる。
(工) 美ライフコースの複雑化により、年齢別労働力率曲線にみる女性の年齢階級別の就労状況は「V字曲線」と呼ばれるようになっている。

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