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平成21年度1次試験問題:企業経営理論

設問6

 最近、先端技術を集積したパソコン、デジタルカメラ、薄型テレビなどのデジタル製品が相次いで赤字に転落している。その原因として、急速に悪化する景気の影響をあげることができるが、それ以上に、この分野に特有の競争と収益の構造による影響が大きいようである。そのような構造について説明する記述として、最も不適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) EMS(Electronic Manufacturing Service)やモジュール部品供給メーカーはシステム統合の技術を、レファレンスモデルを通じて提供する場合が多く、製品市場の参入障壁を低めている。
(イ) 主要機能が満たされれば、それ以外の機能を付け加えても購買意欲に結びつかないので、価格のみが競争優位をもたらす要因になっている。
(ウ) 部品と部品を組み合わせるインターフェースの標準化が進展している。
(工) 部品のモジュール化の進展によって、生産工数を減らすことができるので、短期的にはコストの低下や生産性の向上が期待できるが、その効果は直ちに価格競争に反映される。
(オ) 要素技術についての大きなイノベーションよりも改良された要素部品の組み換えや製品デザイン変更による製品開発が多く、製品ライフサイクルの短縮化につながっている。

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設問7

 企業はヒット商品を連続して生みだそうと努力するが、なかなか期待したような成果をあげることができないでいることが多い。そのような困難と関連する事情について説明する記述として最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 主力商品を生み出した技術分野に経営資源が重点的に配分されるほど、企業はその技術分野に磨きをかけることができるが、技術の幅が狭くなるので、製品開発能力は消失する。
(イ) 製品開発チームに部門をまたいで社内能力を動員しそれらを統合する権限を与えることができれば、自社の固有技術を活かした製品開発を推し進めるうえで有効である。
(ウ) 他社がまねのできない独自技術を開発するには、概して特定技術への長期的な投資が必要であるため、市場の短期的な変化に柔軟に対応するための商品開発ができなくなる。
(工) 独自な技術で生み出された商品が後発商品と価格競争をしつつ市場を拡大するようになると、顧客ニーズが硬直化するので、その市場への新商品の投入はすべて無効になる。

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設問8

  次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 長期的に自動車産業を観察すると、自動車をめぐって幾度か大きな変化が起こっていることが分かる。馬車をいくら改良しても自動車にならないといわれるように、まず自動車が発明されなければならなかった。ガソリンエンジンを搭載して自力で走行する自動車が【 A 】によって発明された。こうして誕生した初期の自動車は、一品ごとの受注生産による高価なものであった。これを大衆的な乗り物にするには量産技術が必要であった。@移動組立ラインによる大量生産の技術は、20世紀初頭に米国で【 B 】によって生み出された。こうして自動車が普及するにつれて、人々のニーズを反映した自動車が求められるようになり、多様な自動車が作られるようになった。自動車が道路にあふれるようになると新たな問題が発生した。A自動車が環境やエネルギーさらには人間社会とどのように調和していくかという問題である。21世紀の自動車は、これらの問題を克服するべくさまざまな側面で大きな変化が求められている。特に日本は欧米よりもこの問題への技術対応について先行しているといわれている。

(設問1)
文中の空欄【 A 】と【 B 】に入る最も適切な人名の組み合わせを下記の解答群から選べ。

アルフレッド・スローン
カール・ベンツ
ジョヴァンニ・アニエッリ
ヘンリー・フォード
ルイ・ルノー
【解答群】
(ア) A:a B:c
(イ) A:a B:d
(ウ) A:b B:d
(工) A:c B:e
(オ) A:d B:e

(設問2)
文中の下線部@の生産を可能にした当時の条件について述べた記述として、最も不適切なものはどれか

【解答群】
(ア) 作業条件の標準化と工程の専門化
(イ) 車両デザインの限定と固定化
(ウ) 需要の価格弾力性がある潜在的に大きな市場の存在
(工) 生産ラインの労働者の多能工化
(オ) 単一車種生産による生産の同期化

(設問3)
下線部Aのように現代の自動車に問われる課題は、実は多くの産業で同様に直面する課題でもある。そのような課題およびその克服をめぐる技術戦略が既に具体的に取り組まれている。これに関する記述として、最も不適切なものはどれか

【解答群】
(ア) 新たな動力源やエネルギー源の開発が重要であるが、これまでの自動車産業の技術体系と異質であるし、開発コストが膨大にかかることから、自動車産業では産官学の共同開発が活発である。
(イ) 円滑な自動車交通を図るべく、ITS(Intelligent Transportation System)と呼ばれる情報技術に支援された交通流システムの実証実験が自動車メーカーや情報通信関連企業によって行われており、新しい産業需要を生み出すと期待されている。
(ウ) 環境問題に対応すべく自動車のエレクトロニクス化が急ピッチで進んでおり、家電や重電の大手企業が自動車メーカーの有力なパートナーになってきている。
(工) 軽量で剛性が高く、乗り心地が良い車として、モジュール型アーキテクチャーの車体が自動車の大勢となり、自動車開発は全体最適を優先するようになってきた。
(オ) わが国では環境にやさしく燃費のよいエンジンとして注目されるクリーン・ディーゼルエンジン車の普及度は欧州に比べて低いといわれる。

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設問9

 全国各地に長い社歴を誇る企業が存在する。そのような長寿企業に興味深い経営上の特徴が見られる。それらの特徴を説明する記述として、最も不適切なものはどれか

【解答群】
(ア) 江戸時代には上方から江戸に向けて送られる荷物は下り荷と呼ばれたが、運送できる量や必要とされる時間などの制約が強いため、上方で評判の製品は江戸では珍重され、それが現在に続く老舗ブランドを形成している。
(イ) 近江商人が重視する三方よしとは、生産者、販売者の利益が改善されることにより、全体の経済効率が高まることをいう。
(ウ) 老舗企業では互いに市場を棲み分けながら、自社製品への根強い愛顧者を安定的に確保しており、競争と共生のバランスが生まれていることが見受けられる。
(工) 地域に根を下ろした長寿企業では地域の生活ニーズを満たすべく、地域の資源や伝統的な技術を駆使するとともに、そこに現代の技術成果を導入して、生産性の向上や商品開発を試みるなどの例が多い。
(オ) 強い商品ブランドや企業ブランドを守るべく、経営が保守的になりやすく、新製品や新市場の開発が鈍くなり、生活スタイルの変化とともに市場が狭隘化する傾向がある。

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設問10

 変化の激しい市場環境の下では、新製品開発にもスピードと柔軟性が求められる。そのため、概念設計、機能設計、生産設計、量産設計などの設計プロセスや生産計画の立案などの各フェイズに、関連する部門が重複して参加・協働する知識創造の場として、自己組織化を促進する開発方式がとられることがある。このような新製品開発活動が成功する条件に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 各部門の責任・権限関係に混乱が生じないよう、あらかじめ明確に分業関係を構築しておく必要がある。
(イ) 個人・集団・企業といった異なるレベルの学習とともに、異なる職能間での学習も促進する必要がある。
(ウ) それぞれのフェイズでチェックポイントを設け、それをクリアした後で次のフェイズに進めるようにし、各部門管理者は自己のフェイズに責任を負う必要がある。
(工) 複数の部門が製品開発の目標を共有できるよう、トップは詳細な設計に関する具体的な基準を設定する必要がある。
(オ) 複数の部門間での調整に混乱が生じないよう、命令の一元性を徹底して管理する必要がある。

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