平成20年度1次試験問題:経営法務
設問6
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
特許権も【 A 】であるから、特許発明を自由に使用し、収益、処分することができる。これを特許権の効力の1つとしての【 B 】という。そして、このことを特許法は第68条で規定している。特許権のもう1つの効力は【 C 】である。この【 C 】のなかには差止請求権、損害賠償請求権、侵害物廃棄請求権、不当利得返還請求権、【 D 】等がある。
(設問1)
文中の空欄【 A 】〜【 D 】に入るものとして、最も不適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) A : 財産権 (イ) B : 専用権 (ウ) C : 排他権 (エ) D : 特許権の取消請求権
(設問2)
文中の下線部の説明として、最も不適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) A : 差止請求権とは、特許権が侵害され、又は侵害されるおそれのある場合にその停止又は予防を請求する権利である。 (イ) B : 侵害物廃棄請求権とは、権利侵書物の廃棄や侵害の行為に供した設備の除却を請求する権利である。 (ウ) C : 損害賠償請求権とは、権利侵害によって生じた損害の賠償を請求する権利であり、この権利は損害発生の事実を知った日から5年で時効により消滅する。 (エ) D : 不当利得返還請求権とは、法律上の原因なくして他人の特許権を利用して利益を受けた者に対し、その利益の返還を求めることのできる権利であり、故意過失を要件とはしない。
設問7
中小企業診断士のあなたは、い<つかの顧問先より、平成19年4月1日からその登録が認められるようになった小売等役務商標について、質問を受けた。
各質問に対する回答として、最も不適切なものはどれか。
(ア) | 質問 | 「うちがこの『○○屋』という屋号で商榛登録を受けた場合、この屋号を独占排他的に使用できるのでしょうか。」 |
回答 | 「もし同業者が、この『○○屋』という屋号を平成19年3月31日以前から使用していた場合でも、周知でない限り、貴店の屋号と区別できるように何らかの記号を付け加えるように求めることはできます。」 | |
(イ) | 質問 | 「うちの店と同じ屋号で同業者が商標権を取得してしまった場合、うちの屋号を使用することが制限されるのでしょうか。」 |
回答 | 「貴店は、この屋号を平成19年3月31日以前から使用しているのですから、たとえ同業者に同じ屋号で商標権を取得されてしまっても、その使用につき一切制限を受けないはずですよ。」 | |
(ウ) | 質問 | 「うちの店は私で3代目であり、古くから続いている雑貨屋ですが、うちの店の屋号である『鈴木商店』という名前でも商標登録が受けられるのでしょうか。」 |
回答 | 「このF鈴木商店』という屋号はありふれており、日本全国で多くの小売業者が使用している可能性があるので、そのままでは南棟登録を受けるのは難しいでしょう」 | |
(エ) | 質問 | 「うちはスーパーなのですが、うちで扱っている商品についてすでにいくつか商品商榛を取得しています。さらに小売等役務商標を取得するメリットがあるのでしょうか。」 |
回答 | 「貴店のように多種類の商品を取り扱うお店にあっては、 1つの小売等役務商標で商標権を取得すれば貴店のすべての取扱商品をカバーできる場合があるので、経済的であり、メリットがありますよ。」 |
設問8
特許法によれば、発明はその特許出願前に公知にしてしまったものについては、新規性を喪失してしまったものとして取り扱い、特許を受けることができない(特許法第29条第1項各号)。しかしながら、発明者にとって酷な場合もあることから、一定の要件を満たす場合には、例外として新規性を喪失していないものとして取り扱う規定を置いている(特許法第30条)。この新規性の喪失の例外規定の適用を受けられない発明はどれか。
【解答群】 (ア) 特許出願前に市場での反応を見るために発明品を試験的に販売して公知にしてしまった発明。 (イ) 特許出願前に特許庁長官が指定した学術団体が開催する研究集会において、文書で発表して公知にしてしまった発明。 (ウ) 特許出題前に発明品を自社のカタログやパンフレットへ掲載して不特定多数のものに頒布して公知にしてしまった発明。 (エ) 特許出願前に自らの意思に反してテレビ放送を通じて公知にされてしまった発明。
設問9
中小企業診断士のあなたは、地方都市の野菜の卸会社であるE株式会社を訪問した際に、そこの社長との間で次のような会話を交わした。この会話の中の空欄A〜Dに入るものとして、最も不適切なものを下記の解答群から選べ。
社長 | : | 「うちの会社で取り扱っている、この地域の地名○○に野菜の普通名称▽▽を組み合わせてこれを商品名「○○▽▽」とする野菜▽▽は、この地域の特産品ですが、2〜3年前から隣接他県でも知られるところとなり、引き合いも多く、取扱高も増えています。ところが、人気が出てきたせいか、最近この地域以外で生産された野菜▽▽にまで○○の地名を付けて「○○▽▽」の商品名で出荷されてくるようになってきています。この地域の活性化を図る旗振り役を務めている私としては、これ以上他地域で生産された野菜▽▽に、この地域の地名○○を組み合わせた「○○▽▽」の商標が使用されないようにするために、何とかしたいと考えていますが、何か方法はありませんか。ほら、何とかという地域ブランドの登録制度があると聞いていますが。」 |
あなた | : | 「それは【 A 】のことではないかと思います。確か平成18年の4月から登録が認められるようになっています。」 |
社長 | : | 「そうそう、それそれ、それってうちの会社でも出願することができるのですかね。会社でだめならば私個人でも構いませんが・ ・ ・。」 |
あなた | : | 「いや、この【 A 】も【 B 】ですから、確か株式会社ではだめだと思いますよ。社長個人でもだめだと思います。」 |
社長 | : | 「それでは一体誰が登録出願をすればよいのですか。」 |
あなた | : | 「この場合は、この地域の【 C 】が最適と考えます。」 |
社長 | : | 「あ、そう、なるほどね。それではこの地域の【 C 】には私の幼なじみがいるので、早速話をしてみましょう。その他に、この【 A 】を取得するのに必要なことはありませんか。」 |
あなた | : | 「そうですね、この野菜▽▽の商品名「○○▽▽」は、隣接他県にも知られているようですが・ただ出願しただけでは足らず、必ず【 D 】を証明する資料が必要のようです。詳しくは私の友人である弁理士を紹介いたしますので、相訳してみて<ださい。」 |
【解答群】 (ア) A : 地域団体商標 (イ) B : 団体商標 (ウ) C : 農業協同組合 (エ) D : 著名性
設問10
次の文章を読んで,下記の設問に答えよ。
画面デザインとは、家電や各種情報機器等の表示部に表示される画像のデザインのことをいうが、意匠法では、【 A 】と密接な関係にある画面のデザインについて機器に表された状態で物品を構成する要素として保護の対象としている。具体的には、携帯電話機、デジタルカメラ、カーナビ、炊飯器、掃除機、複写機等において、【 B 】に用いられる画像や、その画像がなければ機器として成り立たないような画像が保護の対象となる。
しかし、意匠法は物品の【 C 】、模様もしくは色彩又はこれらの【 D 】を保護の対象としており、物品ごとに意匠が成立し、物品を離れて意匠は存在しないものである。
(設問1)
文中の空欄【 A 】〜【 D 】に入るものとして、最も不適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) A : 機器の機能 (イ) B : 操作 (ウ) C : 構造 (エ) D : 結合
(設問2)
画面デザインに関する記述として、最も不適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) 画面デザインの意匠でも部分意匠の登録出願をすることができる。 (イ) グラフィカルユーザインタフェース(GUI)のソフトウェアによって表示される画像は、特定の物品と結び付きがないので、画面デザインとして保護の対象とはならない。 (ウ) ゲームを行っている状態の画面は、ゲーム機そのものの制御や設定を行う操作のための画面ではないので、画面デザインとして保護の対象とはならない。 (エ) ビデオディスクプレーヤーの録画のための画面デザインを、自社のカーナビの目的地設定の画面デザインとして使用する場合、どちらか一方の物品で意匠の登録をしておけば、両物品共保護される。