平成20年度1次試験問題:経営法務
設問16
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
個人事業を営んでいるA氏は、事業の信用を高めるため株式会社の設立を準備中である。かねてから親交のある中小企業診断士であるあなたに、会社法が平成18年5月に施行されたことにより会社の設立方法が変わったと聞いたがどのようになったのか質問があった。また、資本金はいくらにすればよいか、設立後に注意しなければならないことについてアドバイスを求められた。
(設問1)
文中の下線部の説明として、最も不適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) 公告方法は定款の絶対的記載事項ではなくなった。ただし、定款に記載する場合は、官報に掲載する方法か日刊新聞紙に掲載する方法のいずれかを定めなければならない。 (イ) 従来定められていた最低資本金制度が廃止された。ただし、設立に際して出資される財産の価額または最低額を定款に記載しなければならないため、その金額を下回ることはできない。 (ウ) 同一市町村内に同一の営業のために同一又は類似の商号を登記することができないという類似商号規制が廃止された。ただし、同一の商号を同一の住所に登記することはできない。 (エ) 発起設立において、払込みの取扱いをした銀行等の払込金保管証明制度が廃止された。ただし、募集設立においては、この制度は規定されている。
(設問2)
資本金は、大きいほど資金面でみれば有利にみえる。しかし、資本金額によっては各種の法律上の適用が異なることも留意点になる。次の中で、最も不適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) 会社法では、最終事業年度に係る貸借対照表に計上した資本金が5億円以上の会社は大会社となり、会計監査人を置かなければならない。 (イ) 株式会社の設立登記時に納める登録免許税は、資本金の額こ1,000分の7を乗じた金額となる。ただし、その金額が15万円に満たないときは、15万円となる。 (ウ) 消費税法上、資本金1千万円以下の会社については設立年度と翌事業年度の消費税の納税義務が免除される。 (エ) 法人事業税では、各事業年度終了の日において資本金の額が1億円を超える法人は外形標準課税が適用され、所得のほか、付加価値額と資本金等の額に応じて裸税される。
(設問3)
会社の設立後には、各種機関への届出が必要になる。次の中で、最も不適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) 給与等を支払う法人を設立した日から1か月以内に、給与支払事務所等の開設届出書を税務署に提出しなければならない。 (イ) 従業員を使用する法人を設立した日から5日以内に労働保険閑係成立届、雇用保険適用事業所設置届を労働基準監督署に提出しなければならない。 (ウ) 常時従業員を使用する法人を設立した日から5日以内に健康保険・厚生年金保険新規適用属を社会保険事務所に提出しなければならない。 (エ) 法人を設立した場合には、設立の日から2か月以内に法人設立届出書を税務署に提出しなければならない。
設問17
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
金融商品取引法では、企業内容の開示が適切に行われることを確保するため、平成20年4月1日以降開始する事業年度から、内部統制報告制度および【 A 】書制度を導入した。
内部統制報告書とは、会社の属する企業集団及び会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するために必要な体制について評価した報告書である。
また、【 A 】書とは、有価証券報告書や半期報告書、四半期報告書の記載内容が、金融商品取引法令に基づき適正であることを【 A 】した旨を記した書面であり、当該有価証券報告書等と併せて提出することを義務づけることによって、その記載内容の適正性をより高めることを目的として導入された。
(設問1)
文中の空欄【 A 】に入る用語として最も適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) 確認 (イ) 鑑定 (ウ) 宣誓 (エ) 調査
(設問2)
文中の内部統制報告制度の説明として、最も不適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) 内部統制報告書で評価結果を表明する場合には、内部統制が有効であるか、または重要な欠陥があり有効でないかを記載しなければならない。 (イ) 内部統制報告書には、公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならない。 (ウ) 内部統制報告書は、有価証券報告書、半期報告書、四半期報告書を提出するごとに併せて提出しなければならない。 (エ) 有価証券報告書を提出する会社であっても,有価証券を上場または店頭登録していない会社は内部統制報告書の提出は義務付けられていない。
設問18
会社がその株式を取引所に上場すると、投資者を保護するため金融商品取引法に定められた種々の開示の義務が発生する。
企業内容の開示の説明として、最も不適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) 会社は、公益又は投資者保護のため開示が必要な事象が発生した場合には、その内容を記載した臨時報告書を、遅滞なく提出しなければならない。 (イ) 会社は、事業年度ごとに有価証券報告書を当該事業年度経過後3か月以内に提出しなければならない。 (ウ) 会社は、事業年度の期間を3か月ごとに区分した期間ごとに四半期報告書をその各期間経過後2か月以内に提出しなければならない。 (エ) 有価証券報告書、四半期報告書、臨時報告書の開示手続きは,金融商品取引法第27条の30の2に定義されているEDINET(開示用電子情報処理組織)を使用することが義務付けられている。