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平成20年度1次試験問題:経営法務

設問1

 株式会社の機関である、会計参与、監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある監査役及びかかる限定がない監査役について、以下の@からCの点について比較した。この比較結果を記載した表のうち、誤った内容が含まれているものを下記の解答群から選べ。

@ 役員(会社法第329条第1項)に該当するか否か。
A 株主総会への出席義務があるかないか。
B 取締役会への出席義務があるかないか。
C 監査役会の構成員となることが可能か否か。

  会計参与 監査役
(会計監査に限定)
監査役
(会計監査に限定されない)
@ 該当する 該当する 該当する
A あり あり あり
B 一定の場合にあり あり あり
C 不可能 不可能 可能
【解答群】
(ア) @  
(イ) A
(ウ) B
(エ) C

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設問2

 平成20年8月1日、中小企業診断士であるあなたは、顧客から以下の相談を受けた。
 このときのあなたの回答として最も適切なものを下記の解答群から選べ。

【相談概要】
 平成20年6月10日、父親が死去した。父親は事業(個人事業)を行っていたが、その事業は長男が継ぐことになっている。父の事業は必ずしもうまくいっているわけではなく、若干だが、資産よりも負債の方が多いようだ。次男である私は独自で生計を立てているので、父の負債を一切相続しないようにしたい.

【解答群】
(ア)  あなただけがお父様の負債を相続しないようにするには、家庭裁判所で相続放棄の手続をとらなければいけません。相続放棄の期間は、原則として、相続 開始があったことを知ってから3か月以内ですから、急いだ方がよいと思います。
(イ)  お父様がお亡くなりになってから、 100日以内に家庭裁判所で限定承認の手続をとれば、資産があったときだけ返済すればよいことになりますから、他の相続人の方が反対しても、お一人でその手続をとられた方がよいでしょう。
(ウ)  現時点で、あなたはお父様の事業には何も関与されていませんから、お父様の負債を負うことは法律上あり得ません。どうしても、気になるのであれば、念のため、お父様の負債だけ放棄する手続を家庭裁判所でとればよいと思います。
(エ)  相続人全員で遺産分割協議を行って、ご長男が全部相続することにすれば、法律上負債も当然にご長男が相続されたことになって、あなたがお父様の負債を負うことはありませんので、これからゆっくり遺産分割協議を行えばよいと思います。

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設問3

 C株式会社(以下「C社」という。)は、取締役会及び監査役(但し、監査の範困を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある)を設置している会社(公開会社ではなく、かつ、大会社でもない)である。また、 C社の事業年度は毎年4月1日から翌年3月31日までとされている。
 C社では、平成21年の定時株主総会までのスケジュールを以下のとおりに定めた。
 このとき、会社法第442条に基づき、 「計算書類等の本店での備え置きを開始する」日は、いずれの日とするのがよいか。最も適切な日を下記の解答群から選べ。

C社平成21年定時総会スケジュール
3月31日(火)   基準日
4月24日(金)   取締役が計算書類及び事業報告を監査役に撞出する。
5月14日(木)   取締役が計算書類及び事業報告の附属明細書を監査役に提出する。
5月20日(水)   監査役が監査報告の内容を通知する。
5月22日(金)   取締役会開催
計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書の承認・株主総会の招集の決定
6月17日(水)   招集通知発送日
6月26日(金)   定時株主総会開催日
【解答群】
(ア) 5月1日(金)  
(イ) 5月15日(金)
(ウ) 6月12日(金)
(エ) 6月19日(金)

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設問4

 中小企業診断士であるあなたは、 ]株式会社の全株所有者である甲社長から相談を受けた。以下は、あなたと甲社長との会話の一部である。この会話を読んで、下記の設間に答えよ。

C社平成21年定時総会スケジュール
甲社長 「私もだいぶ高齢になったので、そろそろ引退しようと思っているんですが、会社にはどうも適当な後継者がいないんですよ。それで、どうしようかと思っていたら、どうもY株式会社が引き継いでくれそうな感じなんです。
私が持っている100パーセントの株式をY株式会社に譲渡しようかと思ったのですが、当社は、若干ですが、不動産の賃貸業もやっていますから、 Y株式会社に引き継いでもらうとしても本業だけにして、不動産の賃貸業は残しておこうかと思うんです。
賃貸業でもちょっとした収入になりますから、私の生活の足しにもなりますし、私一人でできますから。そういったこともできますかね。」
あなた 「事業譲渡、会社分割の方法で可能になると患いますよ。」
甲社長 「事業譲渡というのは、分かるのですが、会社分割というのを使うとどういう形に進めるわけですか。」
あなた 【 A 】
甲社長 「なるほど。事業譲渡と会社分割なら、どちらの方がいいわけですか。」」
あなた 「どちらにも一長一短ありますし、Y株式会社の都合にもよりますから、何ともいえません。」
甲社長 「じゃあ、この2つの方法で、何か違うところがあるのですか。」
あなた 「ありますよ。例えば、【 B 】」

(設問1)
 会話の中の空欄【 A 】に入る文章として最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア)  不動産業を]株式会社に残して、会社分割の方法によって、本業を行う子会社を作ります。それから、その子会社の株式をY株式会社に譲渡します。
(イ)  本業を]株式会社に残して、会社分割の方法によって,不動産業を行う子会社を作ります。その子会社設立と同時に、その子会社の株式全部をY株式会社に割り当てます。
(ウ)  本業を]株式会社に残して、会社分割の方法によって、不動産業を行う子会社を作ります。それから、 X株式会社の株式をY株式会社に譲渡します。
(エ)  本業を分割して、当然にY株式会社の一部門とすることができますから、その結果,甲社長もY株式会社の株主となることができます。

(設問2)
 会話の中の空欄【 B 】に入る文章として最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア)  事業譲渡の場合は、金銭が対価でなければなりませんが、会社分割の場合は、法律上、Y株式会社の株式が対価でなければなりません。 Y株式会社に とっては、会社分割の方が、資金手当が必要でない点がメリットとなります。
(イ)  事業譲渡の場合は、譲渡した部分は、 Y株式会社の一部として組み込まれますが、会社分割の場合は、法人格を保ったまま、会社ごと、Y株式会社の子会社になります。
(ウ)  事業譲渡の場合は、譲渡の対価は当然にY株式会社から甲社長に支払われますが、会社分割の場合は、譲渡の対価は当然にY株式会社から]株式会社に支払われることになります。
(エ)  事業譲渡の場合は、取引先も従業員も当然にY株式会社に引き継がれますが、会社分割の場合は、取引先や従業員から個別の同意が必要となります。

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設問5

 以下は、中小企業診断士であるあなたと、顧客であるD株式会社の乙社長との会話である。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。
 なお、乙社長には、長男・次男、長女の3人の子ども(いずれも嫡出子)がおり、長男がD株式会社の専務取締役となっている。乙社長の妻は2年前他界しており、次男及び長女は、ともに他県で会社員として生計を立てている。

乙社長 「私ももう68歳になったので、そろそろ長男に会社を任せようと思っているんですよ。ただ、当社の建物が建っている土地は、私の個人名義の土地ですから、私が死んだ後に、子どもたちで相続争いが起こっても困ると思いましてね。それで、公正証書で遺言書を作ってもらえばいいという話を本で読んだものですから、先月、公証人役場に行って、長男にすべての遺産を相続させるという遺言書を作成してもらってきたんですわ。これでもう安心ですよ。」
あなた :「社長、建言書があるから、安心とは限りませんよ。民法には、【 A 】という制度がありますから、今回の場合、ご次男とご長女は、それぞれが遺産の【 B 】分の1ずつ、その権利を主張することができます。そうすると、遺産の内容によっては、ご長男が、その分を金銭で準備せざるを得なくなる事態もありえますので、注意された方がよろしいと思いますよ。」

(設問1)
 会話の中の空欄【 A 】に入る文章として最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 遺留分
(イ) 過剰遺言の取消
(ウ) 寄与分
(エ) 特別受益

(設問2)
 会話の中の空欄【 B 】に入る文章として最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 3
(イ) 4
(ウ) 5
(エ) 6

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