平成16年度1次試験解答:運営管理
設問1
解答:ウ(b とc)
ジャストインタイム(JIT)とは、「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」生産(供給)するという生産管理手法。
ジャストインタイムによるメリットは次のようなものである。
- 仕掛在庫を最小に抑える
- 工程の遊休を生じさせない生産工程の流れ化
- 生産リードタイムの短縮
(a) 設備の稼働率を最大にするために、中間仕掛品の滞留を増やして対処する。
→×:ジャストインタイムは中間仕掛品を極力減らすものであり、中間仕掛品の滞留を増やして対処するものではない。
(b)ねらいの1つとして生産リードタイムの短縮がある。
→○:ジャストインタイム(JIT)を導入することで生産リードタイムを短縮することができる。
(c)後工程が使用した量だけ、前工程から引き取る。
→○:後工程引取方式(プル方式)のことである。
(d)消費者の需要に合わせて生産量を細かく追従させる。
→×:ジャストインタイム方式は、消費者需要に合わせて行うものではない。
よって解答はウである。
設問2
解答:オ(cとd)
(a) | P−Q分析図表は、対象とする製品の種類と数量に関する分析図表であり、縦軸に品種を、横軸に数量をとって表現したグラフである。 →×:P−Q分析図表は、縦軸に数量(生産量)、横軸に品種(製品の種類)をとって表現するグラフである。 |
(b) | 相互関係図表は、対象物の流れの経路を分析する図表である。 →×:相互関係図表は、アクティビティ(レイアウト計画の対象になっている職場やユーティリティなど構成要素の総称)の間の近接性を評価し、その理由を明確にする。すなわち対象物の流れの経路を分析する図表ではない。 |
(c) | アクティビティ相互関係ダイヤグラムは、アクティビティ(区域、場所など)の機能や近接性を表現した図である。 →○:アクティビティ相互関係ダイヤグラムは、アクティビティを点として、地理的位置関係をレイアウト領域に配置するとともに、アクティビティ間を結ぶ線種によって近接度の違いを表現する。すべてのアクティビティの相互位置が最適となるように配置を調整するものである。 |
(d) | 面積相互関係ダイヤグラムは、アクティビティ(区域、場所など)の面積に関する情報を表現した図である。 →○ : 面積相互関係ダイヤグラムはスペース相互関係ダイアグラムとも呼ばれる。各アクティビティの面積を決定し、面積を考慮したアクティビティの配置を決定するものである。 |
設問3
解答:イ(aとc)
IEに関する問題である。
(a)IEの対象とするシステムには「人」が含まれている。
→○:IEは「人、物、設備等を統合したシステムの設計・改善・確立に関する技術」である。
(b)仕事を分析する代表的な区分として工程、動作、作業があり、この順に細かく区分される。
→×:工程、動作、作業の順に細かくなるのではなく、工程、作業、動作の順に細かくなる
(c)フロープロセスチャートには、原材料から製品への変化を記述した図表と、作業者の仕事の流れを記述した図表がある。
→○: 原材料から製品への変化を記述した図表をフロープロセスチャート、 作業の仕事の流れを記述した図表をオペレーションプロセスチャートという。
(d)分析的なアプローチでは、分析の初期の段階で「目的を達成するにはどうするか」を考え、それを具体化する。
→×:分析的アプローチとは、現状分析から改善策を導き出す手法であり、設問の「目的を達成するにはどうするか」を考え、それを具体化するのは最適化アプローチと呼ばれる。
設問4
解答:イ(a とc)
時間研究に関する問題である。
標準時間とはJISの定義では、
と定義されています。
(a) 標準時間を決める要因の中には、作業者の習熟や作業ペースが含まれている。
→○:JISの定義でもあるように習熟した作業者が対象となる。正しい。
(b) 標準時間は主体作業時間と準備段取作業時間から構成される。余裕時間は含まない。
→×:標準時間は次の式で求められる。
(c) 標準時間を実測値から決める方法の1つに、時間研究による手法がある。
→○:時間研究の代表的な手法としてストップウオッチ法や標準資料法などがある。
(d) 作業内容をもとに、あらかじめ準備してある基本的な時間値のデータから標準時間を求める手法をレイテイングという。
→×:レイテイングは、時間研究において観測時の作業速度を、基準とする作業速度と比較・評価する一連の手続きのことである。問題文の手法はPTS法に関する説明である。
設問5
解答:ウ(bとc)
動作研究に関する問題である。
「動作経済の原則」とは、ある作業からムリ、ムダ、ムラを取り除き最も合理的な動作へと改善を行うための原則のことです。代表的な原則には次のものがあります。
▼身体の使用に関する原則
- 両手の動作は同時に始め、また、同時に終了すべきである。
- 休憩時間以外は同時に両手を遊ばせてはならない。
- 両腕の動作は反対の方向に、対称にかつ同時に行うこと。
- 手の動作は仕事を満足に行い得る最小の動作(指だけの動作)に限ること。
- できるだけ物の力(重力、慣性等)を利用すること。
- ジグザグ動作や突然かつシャープに方向転換を行うより、スムーズに連続する動作の方が望ましい。
- 身体の構造に沿った運動は、制限された運動やコントロールされた運動より、遥かに早く、容易であり、正確である。
- リズムは作業をスムーズにかつ自動的に行う上に不可欠のものであり、できる限り楽で自然なリズムを持って仕事ができるようにすること。
▼作業場所の配置に関する原則
- 工具および材料はすべて定位置に置くこと
- 工具、材料、制御装置は作業に近接し、かつ前面に置くこと
- 材料を使用場所の近くに運ぶには、重力利用の容器を使用すること。
- できるだけ落とし送りを利用すること。
- 材料、工具は動作を最良の順序で行えるように配置すること。
- 満足に視覚できるための第一条件は良い照明である。
- 作業場所および椅子の高さを立ち作業や座り作業、いずれも容易にできるように、できるだけ調整すべきである。
- 作業員が正しい姿勢をとれる形および高さの椅子を各人に備えること。
▼工具および設備の設計に関する原則
- できるだけ、治具や取り付け具、または足操作の装置を用いること。
- 工具はできるだけ組み合わせること。
- 工具や材料は予置しておかなければならない。
- タイピングのように、それぞれの指が特定の働きをする場合、それぞれの固有能力に応じて作業量を分けること。
- ハンドルは手のひらに広く接するように設計すること。
- 体の位置を変更せず、機械操作できるように設計すること。
(a) 部品箱に入っているものを分かりやすく表示した。
→×:管理上、重要ではあるが、上記の動作経済の原則には該当しない。
(b) 2枚の紙を片手で2回取っていたが、両手で同時に取るようにした。。
→○:身体の使用に関する原則に該当する
(c) 径の異なる2つのナットを、2種類のレンチで締めていたが、2種類の径に対応できる工具を工夫した。
→○:工具および設備の設計に関する原則に該当する
(d) プレス機の動作中に手が挟まれないように、センサを取り付けた。
→×:安全管理上、重要ではあるが、上記の動作経済の原則には該当しない。
設問6
解答:エ(b とd)
(a)年間保管費用はPi/2Qである。
→×:年間保管費用は、P×i×Q/2である。
(b)年間発注費用はRC/Qである。
→○
(c)この経済的発注量の式は需要の変動がある場合でも適用できる。
→×:経済的発注量の計算では、「受容は既知であり、一定であり、継続的である」という前提がある。
(d)経済的発注量を満たすとき、年間発注費用と年間保管費用は等しくなる。
→○
設問7
解答:オ(c とd)
QCに関する問題である。
(a) 統計的に義づけられた条件で得たデータに基づいた管理図では、管理限界線を越えなければアクションをとる必要はない。
→×:管理限界線を越えなくても、特定の傾向があればアクションをとる必要がある。
(b) ヒストグラムの級の幅は整数になるようにまとめる。
→×:整数にならない場合もある
(c)散布図に示されたデータに相関があっても、技術的に関連が見いだせない場合は偽相関という。
→○:偽相関とは、実際の関係とは異なる別の変数による相関分布が現れることである。これらの見せかけの相関を偽相関という。
(d)工程能力指数は、品質特性に関して規定された公差を工程能力(一般に6σ)で除した値である。
→○
設問8
解答:イ(a とc)
流動数曲線とは、流入量および流出量のそれぞれの累積値を縦軸に、横軸に時間をと って描いた2本の折れ線からなる図表のことである。工程間で停滞が発生していないか、すなわち進度に問題はないかを チェックできます。
詳しくは流動数分析を参照して下さい。
(a) 流入量および流出量のそれぞれの累積量を線で示した図表である。
→○
(b) 線の傾きが大きいほど流量は少ない。
→×:線の傾きが大きいほど流量は多い
(c) 2本の線の間隔から、倉庫内での滞留時間と滞留量が読み取れる。
→○
(d) 2本の線は交差する場合もある。
→×:入荷量累計以上に入荷する事はありえないので、2本の線は交差することはない。
設問9
解答:ア(aとb)
(a) | ECRSの原則は改善の原則の1つであり、Eは「なくせないか」という問いかけである。 →○:ECRSの原則とは、改善の4原則のことで、工程、作業、動作を対象とした分析に関する改善の指標である。
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(b) | あんどんは設備の管理を目的とした、目で見る管理活動の一つである。 →○:あんどん方式とは、各工程の状況を赤青黄のランプなどで示し、工程の状況を一目でわかるように工夫した工程管理手法。異常の表示、作業指示、進捗状況の表示などが行われる。 |
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(c) | 標準化、単純化、平準化は合理化の3Sと呼ばれ、これは企業活動を効率的に行うための考え方である。 →×:3Sとは単純化(Sinplification)、標準化(Standardzation)、専門化(Specialization)のことであり、平準化は含まれていない。 |
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(d) | 統合化は、分業化した各作業の生産速度や稼働時間などを一致させることである。 →×:統合化は、企業が自らの事業について、原材料の調達から製品の販売までを一貫して取り扱う体制を構築する行為のことである。生産速度や稼働時間を一致させることは同期化という。 |
設問10
解答:エ
クリティカルパスとは、作業に余裕がない経路のことであり、そのパス上の作業が少しでも遅れると、プロジェクト全体のスケジュールが送れてしまうようなパスのことである。
クリティカルパスを求める為に、まず最早結合点日程を計算すると次の図のようになる。余裕のないパスは太線であるC、F、Iである。よって解答はエである。