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平成20年度1次試験問題:企業経営理論

設問1

 経営計画を策定する際には、さまざまな経営計画技法や管理技法が用いられる。
そのような技法に関する説明として、最も不適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) ABM(Activity Based Management)は、操業度よりも費消した補助活動を基準にして費用を跡づける間接費の管理技法として用いられる。
(イ) DCF(割引キャッシュフロー)法は、いくつかのプロジェクトの価値をキャッシュフローの現在価値に換算して比較評価しようとする場合に用いられる。
(ウ) ガントチャートは、コンピュータを活用して、クリティカル・パスを明らかにし、そこに労働力や設備等を重点的に投入して効果的な日程管理をしようとする場合に用いられる。
(工) 線形計画法は、使用量に制限のある2つの資源AとBを用いて、利益を最大化するために製品]とYをどのくらい生産すればよいかを計算する場合に用いられる。
(オ) 待ち行列理論は、到着間隔やサービス時間の確率分布をもとに製品の輸送と在庫の管理を計画的に進める場合に用いられる。

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設問2

 経営資源と企業の戦略に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) ある経営資源を保有しない企業は、すでに保有している企業に比べて、その複製が困難であると、コスト上の不利益を被りやすい。
(イ) 企業が特定の経営資源を獲得、開発、活用する能力は、企業の歴史的経緯に依存しているので、先行企業は持続的な競争優位を得やすい。
(ウ) 企業の競争優位と個々の経営資源の関係が不明確になるのは、内部者にとってその経営資源があまりに当然なものであったり、経営資源が個別に分離しにくく一体となって競争優位をつくり出しているからである。
(工) 競争優位の源泉である特殊な経営資源の外部からの調達可能性が高く、その調達コストが低いほど、それを調達する企業はコスト上優位になり、競争優位性を長期的に維持できる。
(オ) 保有する経営資源が希少であることは大事であるが、そのような経営資源は特殊であるため、顧客の価値と合致しないことが起こりやすくなるので、これだけでは競争優位にはつながりにくい。

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設問3

 競争を通じて、同業者は似通った戦略をとるグループを形成することがある。このような現象や成立の理由に関する説明として、最も不適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) ある製品分野の生産のために垂直統合を強めると、企業の生産体制や製品ラインは似通ってくるので、戦略グループが生まれやすくなる。
(イ) いったん戦略グループが形成されると、そのグループから他のグループへの移動は難しくなりがちであるが、グループ内では競争関係は緩和される。
(ウ) 顧客層と製品ラインの幅を考慮して、最適生産規模を追求したり、共通コストの節約を図ると、次第に一貫した戦略行動になるので、似通った企業の集団が生まれやすくなる。
(工) 同一産業内に複数の戦略グループが存在することが少なくないが、これは市場の広がりと製品ラインの絞り込み等が異なるからである。
(オ) 同一産業内の戦略グループ間で収益が異なるのは、それぞれの戦略グループが直面する脅威と機会が異なるからである。

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設問4

 企業の成長をめぐる戦略に関する記述として、最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 自社が優位を占める成長分野への他社の参入を防ぐために、積極的に生産の増強を図ったり、広告宣伝などのマーケテイング活動を展開して、市場支配力を強める戦略を追求する。
(イ) 社内の研究開発能力が不十分な場合、外部から技術導入を図ったり、重要な技術部晶を社外から調達せざるをえないので、低価格戦略しかとりえなくなる。
(ウ) 多角化は成長には有効であるが、総花的な戦略を強めて、企業の競争優位を喪失させるので、収益を悪化させることになる。
(工) リストラクチャリングは自社の強みを喪失させるので、既存事業分野の価格競争や技術開発競争が激化しているときには回避しなければならない。

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設問5

 日本のベンチャー企業をめぐる動向に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) TLOや産学連携活動を通じて大学の知的資源の市場化が進んでおり、起業家的人材教育とあいまって、大学発ベンチャーの数は着実に増加している。
(イ) 新興業界では、いち早く技術やマーケテイングの優位性を確立して,業界の競争ルールに影響力を持つことができると、先行者優位を享受することができる。
(ウ) 大企業からのスピンアウトによるハイテク・ベンチャーが少ないのは、発明者に報いることなく特許がすべて会社の知財になってしまったり、終身雇用慣行のため独立意識が低いからである。
(工) 知財権保護の法的整備が進むにつれて、技術特許のビジネス化が可能になっており、ハイテクを武器にするベンチャー企業の創業が多くみられるようになった。
(オ) ベンチャー企業への支援制度をみると、人材や経営能力などの資金以外の経営資源の不足を克服するには必ずしも十分ではないが、資金助成や税制優遇などは多様化してきている。

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