平成15年度1次試験解答:企業経営理論
設問31
解答:イ
(ア) | 期待をはるかに上回る製品であったり、サービスであると、満足が生じる。 →○:消費者は、期待を下回る製品であった場合に不満が生じ、期待を上回る製品であった場合に満足が生じる。 |
(イ) | 製品購入後不満を感じないようにするために、競争製品の広告をよく見る傾向にある。 →×: 製品購入後不満を感じないようにするために、自社製品の広告をよく見る傾向にある。 |
(ウ) | 満足した購入者よりも不満足だった購入者は多くの人にそのことを話す傾向にある。 →○:満足した購入者よりも、不満足の購入者の方が話す傾向にある |
(工) | 満足はロイヤルティを形成するきっかけとなる。 →○:満足を得ることにより製品に対するロイヤルティ(忠誠心)が形成される。その後、さらに満足すればブランド固執となる。 |
(オ) | 無条件返品制度は購入後の不満足を解消する手段の1つである。 →○:無条件返品制度によって、購入後に不満の場合には返品できるので、不満は解消される。 |
設問32
解答:ウ
(ア) | 高価格品市場の成長鈍化が見られたときに、低価格品の投入が行われやすい。 →○:高価格品市場にある程度製品が出回った段階で、低価格品の投入が行われやすい。 |
(イ) | 低価格品なので需要が大幅に伸びる可能性があり、予測を確実にしないと高価格品の機会損失が生じやすい。 →○:低価格品と高価格品の商品の違いを顧客に明確に示さないと、カニバリゼーション(自社の商品が自社の他の商品を侵食してしまう「共食い」現象のこと)が起きる可能性は高くなる。 |
(ウ) | 低価格品を投入することにより、高価格品のブランドイメージを上げやすい。 →×:今まで高価で販売しているものと同一のブランド名で安価の製品を投入するのだから、高価格品のブランドイメージを下げやすい。 |
(工) | 流通チャネルメンバーから、高価格品の価格引き下げの圧力が生じやすい。 →○:低価格品の投入により、高価格品が売れにくくなるのは明らかであり、高価格品の価格引き下げの圧力が生じやすい。 |
設問33
解答:エ
(ア) | 多くのブランドを利用することによって、企業イメージを確立することができる。 →×:多くのブランドを利用するこによって、企業イメージは曖昧になる。企業イメージを確立するためには、統一ブランド(ファミリーブランド)やブランド拡張によって統一されたイメージを訴求うるほうが有効である。 |
(イ) | 既存の製品のブランドイメージから独立しているので、同一企業内でのブランドスイッチングの可能性が低い。 →×:ブランド・スイッチングとは、従来継続して購買していたブランドとは異なるブランドへ購買を切り替える行動である。既存の製品のブランドイメージから独立しているので、同一企業内でのブランドスイッチングの可能性は高い。 |
(ウ) | 異なる流通チャネルで類似の製品を別のブランドで販売すると、ハロー効果で売上が伸びる。 →×:ハロー効果とは、一部の好ましい、あるいは好ましくない印象への評価が全体に及ぼす影響ないし効果のことである。異なる流通チャネルで類似の製品を別のブランドで販売することで、消費者にとっては別ブランドとして認知されるのでハロー効果が発生する可能性は低い。 |
(工) | 類似の製品であっても、別のブランドであると小売店の棚を確保しやすい。 →○:別のブランドである為、小売店のスペース確保が可能である。 |
設問34
解答:イ
(ア) | サービスの予約は、レストランのように需要と供給をよりよく適合させる場合と、 美容院のように消費者が特定のサービス供給者を指定する場合に利用される。 →○:需要の変動性に関する記述である。サービスはだれが、いつ、どこで、どのように提供するかによってその品質が変化する。問題は予約制や指名制に該当する。 |
(イ) | サービスは人によってその遂行水準が同一ではない。そこで、マニュアルを作成しそれに従わせることによって最高遂行水準を維持しようとする傾向がある。 →×:マニュアルは最高遂行水準を維持するのではなく、一定水準の品質を維持するためのものである。最高推敲水準を維持するためには従業員の高いスキルが必要であり、マニュアルだけでは不可能である。 |
(ウ) | サービスは便益達成の本質的な部分と付随的な部分とに分けられる。本質的部分が他のサービスとほぼ同一であるとき、付随的部分は購買意思決定に大きな影響を与える要因となる。 →○:サービスには本質的部分と付随的部分があり、本質的部分は損なわれると不満に繋がる。これに対して付随的部分はなくても物足らないだけで、不満までは行かない。ただし、向上すれば顧客の満足・感動を呼び信頼関係が拡大するという。設問では、本質的部分が他のサービスとほぼ同一なので、付随的部分は購買意思決定に大きな影響を与える要因となる。 |
(工) | ホテルなどのトイレでトイレットペーパーが三角に折ってあるのは、作業の進行状況を示すとともに、サービスを目に見えるようにする働きがある。 →○:無形性に関する記述である。設問のように無形であるサービスを消費者の目に見えるようにする効果がある。 |
設問35
解答:ア
製品ライフサイクルに関する問題である。
計画的陳腐化とは既存製品の機能を変えることによって、既存製品の製品寿命を短縮化し、それにより取替需要もしくは買い替え需要を喚起する手法である。
(ア) | 買い替え需要ではなく、新規需要を開拓するのに利用される。 →×:計画的陳腐化の目的は買い替え需要を喚起することが目的 |
(イ) | 外観だけを変えることによって心理面で新製品であることを訴えることである。 →○:外観だけを変えるのは、計画的陳腐化の手段の1つである。この方法を「心理的陳腐化」という。 |
(ウ) | 技術革新のスピードが遅い製品領域で利用される。 →○:技術革新のスピードが遅い製品は画期的商品を生み出しにくいので、買い替え需要を喚起させる。この方法を「計画的陳腐化」という。 |
(工) | 本質的ではない部分の機能を変えることによって、既存の製品寿命を短縮するこ とである。 →○:正しい。この方法を「機能的陳腐化」という。 |
(オ) | ライフサイクルのコントロールにより消費市場を活性化させる効果をもつ。 →○:正しい。 |
設問36
解答:ウ
慣習価格とは長期にわたって一定している価格(缶ジュースなど)である。慣習価格の特徴としては、価格を下げても需要はさほど伸びない、価格を上げると需要が著しく著しく減少することである。それにあてはまるのはウの需要曲線である。
設問37
解答:ウ
(ア) | 既存のチャネルでは、メーカーによる消費者への直接販売はチャネルコンフリクトの原因であったが、インターネットを利用するとそれを解消できる。 →×:メーカーによる消費者への直接販売は、媒体に関係なくコンフリクト(衝突)が生じることが多くなる |
(イ) | 流通チャネルにおいては、当事者の間の所有権の移転と同時に製品自体の移動が行われる。 →×:商取引流通(当事者の間の所有権の移転)と物的流通(製品自体の移動)が同時に行なわれることはない。 |
(ウ) | 流通チャネルには、当事者の間の所有権の移転と代金授受の機能とともに、プロモーション機能がある。 →○:正しい。 |
(工) | 流通チャネルの段階数が多いほど、流通は非効率となる。 →×:中間業者が流通チャネルの中に存在することで取引数は減少し、流通は効率的になる。 |
(オ) | 流通チャネルを利用することにより、市場カバレッジは減少するが、チャネルコントロールは向上する。 →×:流通チャネルを利用すると、市場カバレッジ(市場の適用範囲)が増加するが、チャネルコントロール(流通チャネルを統制・制御すること)は低下する。 |
設問38
解答:ア
(ア) | 委託販売とはメーカーと販売店の間で商品の所有権の移転が行われない取引形態である。 →○:委託販売とは、商品や製品の販売を、第三者に委託・代行して販売してもらう販売形態である。商品は移転するが、商品の主有権所有権は移転しない。 |
(イ) | オープンテリトリーとは販売地域を限定して、そこ以外での営業活動ができないものである。 →×:テリトリー制には、制限エリアに単一業者のみを置く「クローズド・テリトリー制」、そのエリアに複数の業者を置く「オープン・テリトリー制」、店舗の立地のみを制限する「ロケーション制」などがある。設問の内容は、「クローズド・テリトリー制」に関する記述である。 |
(ウ) | 抱き合わせ販売は良く売れる商品同士の組み合わせを作り、売上を増進させることである。 →×:抱き合わせ販売とは、良く売れている商品と売れていない商品の組み合わせを作り、あまり売れていない商品の売上を増進させるものである。 |
(工) | 店会制とは販売業者との垂直的な組織を作り上げることである。 →×:店会制とはメーカーが自社製品を取り扱っている流通業者を横断的に組織化した制度である。垂直的な組織ではない。 |
(オ) | 払込制とは、商品を確保する目的で、取引開始に当たって一定の金額を支払うことである。 ×:払込制とは、メーカーが価格維持を図る目的で流通業者からマージンの全部又は一部を徴収し、これを一定期間保管した後に、当該流通業者に払い戻すことである。取引開始時ではなく、取引終了時に行なわれる。 また、原則として違法である。 |
設問39
解答:イ
統合型マーケティングコミュニケーショ(IMC)に関する問題である。
統合型マーケティングコミュニケーショ(IMC)
とは、
企業のすべてのコミュニケーション活動(広告やパブリシティ、セールス・プロモーションなど)を統合することによって企業イメージを確立するための活動である。
(ア) | 広告媒体を組み合わせて利用することである。 →×:広告媒体だけに限らない。広告媒体を組み合わせて利用することは統合型マーケティングコミュニケーショ(IMC)の一部でしかない。 |
(イ) | 顧客データベースの存在が前提となる。 →○:統合型マーケティングコミュニケーショ(IMC) を行なうためには、消費者から得られる情報を蓄積し、分析する必要があるので、顧客データベースの存在が前提となる。 |
(ウ) | 顧客の購買からなるべく遠い時点で効果が測定される。 →×:小売店におけるディスプレイなどにおいて測定される活動のように、顧客の購買から近い時点で効果を測定する場合が多い。 |
(工) | ロゴやマークに対する利用規定を定めることである。 →×:ロゴやマークに対する利用規定を定めることは統合型マーケティングコミュニケーショ(IMC)の一部でしかない。。 |
(オ) | ワンボイスといわれるように、送り手から見て同一のイメージが必要である。 →×:ワンボイスとは、どこを切っても「ブランドがひとつに見える」「一貫して同 じ色に見え、一貫して同じ音色で聞こえてくる」ことを意味する。送り手からではなく、受けてから見て同一のイメージが必要である。 |
設問40
解答:イ
(ア) | 他のことをしながら接触することができる「ながら」媒体である。制作が比較的簡単なので、タイムリーな広告を行ったり、広告の変更を行うのに便利である。 →×:「他のことをしながら」という記述から、ラジオ媒体である。 |
(イ) | 特定の事柄に興味を持つターゲットに向けて有効な広告を行うことができる。特に、そのようなターゲットが全国に分散しているときには効果的である。 →○:「特定の事柄に興味を持つターゲット」という記述から、雑誌媒体である。 |
(ウ) | 媒体の信用度の高さを広告に利用することができ、記録性も高い。この媒体は有料定期購読契約者が多く、安定性が高い。この媒体に接触している人数が多いので、カバレッジの力が強い。 →×:「有料定期購読契約者が多い」、「媒体の信用度の高さ」という記述から、新聞媒体に関する説明である。 |
(工) | 反復露出が行われ、オーディエンスの印象を高めることができる。また、地域の選択や出稿形態など、広告主の選択の幅が広い。 →×:「反復露出が行われる」、「オーディエンスの印象を高めることができる」、「地域の選択や出稿形態など、広告主の選択の幅が広い」という記述から、テレビ(ラジオ)媒体である。 |