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平成15年度1次試験解答:経営法務

設問11

解答:ウ

解答

【解答郡】
(ア) 会社Yは、特許に係る製品aを販売しているとはいえ、会社Y自らが製造している訳ではなく、会社Xの保有する特許権Aを侵害しているとはいえず、会社Xの特許に係る製品aを販売するに当たって、会社XのブランドBを付けずに、会社Y独自のブランドCで販売している点が商標法上問題になるだけである。
→×:会社Y自ら製造していなくても許諾を受けていない製品a を販売する会社Yの行為は特許権の侵害となる
(イ) 会社Zは、会社Xから製品aの製造の依頼を受け、製造された製品aを全品会社Xに納入する契約に基づいて製造し販売しているのであるから、会社Zが特許に係る製品aを製造し、会社Yに販売する行為は、契約不履行の問題であって、特許法上の問題は何も生じない。
→×:会社Zは、会社Xから製品aの製造の依頼を受けて、製造された製品aを全品、会社Xに納入する契約を結んでいるが、契約の許諾の範囲を超えて製品a を「譲渡」している為、特許権の侵害となる
(ウ) 会社Zは、会社Xからの依頼に基づいて製造し販売しているとはいえ、会社X以外の者に特許に係る製品aを販売する許諾を得ているわけではないから、会社Zの会社Yへの特許に係る製品aの販売行為は、会社Xの保有する特許権Aを侵害しているものである。また、会社Yの特許に係る製品aの販売行為は、会社Yが販売する特許に係る製品aが会社Xの下請け会社Zの製造に係るもので、自らの製造に係るものではないとしても、会社Xの許諾を得ているわけではないから、会社Xの保有する特許権Aを侵害するものである。
→○:正しい
(エ) 会社Zは、会社Xからの依頼に基づいて製造するとはいえ、特許に係る製品aを製造し、販売しているのであるから、会社Xの保有する特許権Aについて製品aの製造・販売に関する通常実施権を会社Xから許諾されているものである。したがって、会社Zが特許に係る製品aを会社Yに販売する行為は、通常実施権によって会社Xの保有する特許権Aを侵害しているとはいえない。
→×:会社Z に対しては、製品aの製造依頼をしているだけである。通常実施権の許諾は得ていないので、会社Xの保有する特許権Aを侵害している。

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設問12

解答:エ

著作権に関する問題である。

【解答郡】
(ア) 会社X の商品カタログB は、全3ページと薄くても1枚物のチラシと異なりますから、顧客に有料で配布する場合には著作権が発生しますが、無料で配布しているものですから、著作権は発生しません。したがいまして、会社X の商品カタログB をコピーしても、道義的には問題がありますが、法律的には全く問題ありません。
→×:有償/無償に係わらず著作権は発生する。したがって無断でコピーする事は著作権侵害である。
(イ) 商品カタログは、製造販売する商品の宣伝に用いるものですし、会社X の商品カタログB はわずか3ページ足らずのものですから、著作物とはいえず、そのようなものに著作権が発生するとは考えられません。したがって、会社X の商品カタログB をコピーすることは、道義的には問題がありますが、法律的には全く問題ありません。
→×:ページの分量に係わらず著作権は発生する。したがってわずか3ページとはいえ、無断でコピーする事は著作権侵害である。
(ウ) 商品カタログも、製作者がいて、それなりに考えて作製し、会社X が発行しているものですから、会社X の商品カタログB に記載された内容には著作権が発生しています。しかし、会社X の商品カタログB に記載される商品の特徴・商品の使用方法は、商品そのものの説明ですから、誰でも自由に利用できるものです。したがいまして、会社X の商品カタログB に記載されている商品の特徴・商品の使用方法に関しては、会社X の商品カタログB の記載そのものを転載しても著作権侵害にはなりません。
→×:商品の特徴・使用方法についても、何通りもの表現方法があり、創作的表現の余地があるものであるから、著作権は発生していると考えられ、保護対象となる。すなわち著作権侵害である。
(エ) 商品カタログも、製作者が創意工夫しながら作っており製作者の著作物と考えられ、会社X の商品カタログB にも著作権が発生していますのでコピーして使用することはできません。しかし、この商品A に関する商品カタログB に記載されている製造規格については、会社X が当初、独自に考えて製造規格そのものを作成したものであっても、会社Y が商品カタログC で利用することは著作権侵害になりません。
→○:製造規格がJIS 規格に採用されているので、その企画内容を記載することは著作権侵害にならない。

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設問13

解答:ウ

製造物責任法(PL法) に関する問題である。

(ア) A 社の新築の自社ビルには、X 社製のエレベーターが使用されている。ところが、そのエレベーターには、「開」のボタンを5秒以上押すと、扉が閉まらなくなる欠陥があった。A 社はX 社に対し、X 社の製造物責任に基づき、A 社が支出したエレベーターの修理代金を損害として賠償請求することができる。
→×:製造物責任法の対象となるのは製造物(製造または加工された動産)である。エレベーターは設置後は不動産の一部となると考えられるため、製造物には該当しない。また扉が閉まらなくなる欠陥によって他人の生命、身体は侵害されていないことから、製造物責任法は適用されない。従って、この場合には製造物責任法ではなく、民法上の瑕疵担保責任や債務不履行責任により責任を追及することになる。
(イ) A は、建設会社X 社が建築した新築分譲マンションの101号室を、デベロッパーY 社から購入した。ところが、101号室にはホルムアルデヒドを含む接着剤が大量に使用されており、A はシックハウス症候群に罹患してしまった。A はX 社に対し、X 社の製造物責任に基づき、A の治療費を損害として賠償請求することができる。
→×:不動産は製造物(製造または加工された動産)ではないため製造物責任法の対象とはならない。従って、この場合には製造物責任法ではなく、民法上の瑕疵担保責任や債務不履行責任により責任を追及することになる。
(ウ) X 社製の表計算ソフトウェアには、コンピューターにインストールすると、自動的にコンピューター内のデータを書き換えてしまう、という欠陥があった。A 社はこれをX 社のホームページからダウンロードする方法で購入し、コンピューターインストールしたところ、コンピューター内の顧客の注文数のデータを書き換えられたため、多額の損害を被った。しかし、ソフトウェアは物ではないから、X 社が製造物責任を負うことはない。
→○:ソフトウェア・プログラムは、製造物(製造または加工された動産)には含まれないとされているので、おおむね製造物責任法は適用されない。すなわち、X 社が製造物責任を負うことはない。
(エ) ファーストフード店を経営しているX 社は、Y 社が製造した調理済のおでんを、店頭であたため、販売している。ある日X 社の店でおでんを買った客A がおでんが原因で食中毒となった。しかし、X 社はおでんを製造していないので、A に対し製造物責任を負うことはない。
→×:X社は、自らおでんを製造していなくても表示製造業者、実質製造業者として、製造物責任が生じる。すなわち、A に対し製造物責任を負う。

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設問14

解答:設問1:ウ 設問2:ウ

契約の不履行に関する問題である。

(設問1)
債務不履行とは、債務者が契約などに基づき発生した債務を履行(弁済)しないことをいう。債務不履行は、履行遅滞、履行不能、不完全履行に分類される。

履行遅滞
履行期が到来し履行が可能にもかかわらず、債務者の故意・過失によって債務を履行しないことである。この場合、債務者は損害が生じた場合における損害賠償請求、契約の解除(勧告必要)を行うことができる。
履行不能
債権が成立した当初は履行可能であったが、その後に債務者の故意・過失によって不能になるものである。この場合、債務者は損害が生じた場合における損害賠償請求、契約の解除(勧告不要)を行うことができる。
不完全履行
債務の履行はあったが債務者の故意・過失によりそれが不完全であった場合のこと。不完全履行の時点で、履行が可能であれば履行遅滞に履行が不可能であれば履行不能に準じて処理される。

【A:履行遅滞】:原則として、債権者が相当な期間を定め、相手方に対して、その期間内に債務の履行をするように勧告する必要がある。
【B:履行不能】:履行自体が不能になっているので勧告は不要不要である。

(設問2)
(ア) ある商品を3ダース注文したが、納期には2ダースしか納品されなかった。
→○:債務不履行の不完全履行に分類される。
(イ) 医者の治療方法が不適切であったため、合併症を発症してしまった。
→○:債務不履行の不完全履行に分類される。
(ウ) 高台にある建物とその敷地の賃借権を買ったが、雨で敷地の擁壁が崩れ、地すべりを起こした。
→×:債務者に故意・過失がなかったと考えられるので、債務不履行にはあたらない。しかし、履行期限以前から契約の目的物に瑕疵があったのだから、瑕疵担保責任を追及されることはありえる。
(エ) 夜店で売るため金魚を100匹仕入れたが、そのうち10匹が病気に感染していたため、他の金魚にも病気が感染し、売り物にならなかった。
→○:債務不履行の不完全履行に分類される。

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設問15

解答:設問1:イ 設問2:エ

(設問1)
(ア) arbitration clause
→×:契約書中の仲裁条項
(イ) Letter of Intent
→○契約締結交渉段階における当事者間の中間的な合意事項を記載した文書
(ウ) Minutes of Meeting
→×:会議等の議事録
(エ) term sheet
→×:条約概要書
(設問2)
(エ) Letter of Intentの法的拘束力は、その記載により判断され、法的拘束力を有するとの記載があれば、法的拘束力を有し、法的拘束力を有するとの記載がなければ、法的拘束力を有しない。
→×:「法的拘束力を有するとの記載がなければ、法的拘束力を有しない」などということはない。
そのような記載がなくとも、文書作成の経緯、 当事者の意思、文書の記載内容からして法的拘束力を有する場合もある。

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設問16

解答:設問1:ア 設問2:エ

フランチャイズ契約使用者責任に関する問題である。

(設問1)
会社法第9条には、下記の記述がある。

第9条  自己の商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾した会社は、当該会社が当該事業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。

 すなわちフランチャイザーから許諾されてフランチャイジーが商号を使用し、これにより第三者がフランチャイジーをフランチャイザーと誤認して取引を行った場合には、その取引によって生じた債務をフランチャイジーとフランチャイザーが連帯して弁済する義務がある。よって解答はアである。

(設問2)
(ア) イタリアンレストランのフランチャイジーY 社は、業績不振により倒産した。 Y 社に対し生鮮食料品を納入していたA 社の売買代金債権について、フランチャイザーX 社は責任を負わない。
→○:フランチャイザー(本部)とフランチャイジ−(加盟店)は、法的には別人格である。すなわち、フランチャイザー(本部)が売買代金債務について責任を負うことはない。
(イ) 自動車部品販売のフランチャイジーY 社の従業員は、客A の自動車の車種を聞き違え、別の車種の部品を売り渡した。A はこの部品を取りつけて自動車を走行させたところ、部品がはずれ、事故を起こした。フランチャイザーX 社はAの損害について責任を負わない。
→○:フランチャイザー(本部)とフランチャイジ−(加盟店)は、法的には別人格である。すなわち、フランチャイザー(本部)が従業員の過失によって生じた損害について責任を負うことはない。
(ウ) 宅配寿司のフランチャイジーY 社の従業員B は、配送中に車の運転を誤り、Aにけがをさせた。B の運転していた車にはフランチャイズチェーンの標識が付されていたが、A の損害についてフランチャイザーX 社には責任はない。
→○:フランチャイザー(本部)がフランチャイジ−(加盟店)は、法的には別人格である。すなわち、交通事故によって生じた損害について責任を負うことはない。
(エ) 薬局のフランチャイジーY 社はフランチャイザーX 社の業務用マニュアルに従い、花粉症にきく、と効能をうたって高額の健康食品P を販売していた。実はP には花粉症に対する効果は全くなかったが、Y 社からP を買った客A に対し、フランチャイザーX 社は責任を負わない。
→×:花粉症には全く効果のない高額の健康食品P を花粉症に効くといって販売する薬局のフランチャイジーY 社の行為は詐欺的方法による暴利行為として、不法行為が成立する。Y社はX社の業務用マニュアルに従って健康食品Pの販売を行なっているので、X者はY社に実質的な指揮命令関係にあるとみなされ、X社はY社に対して使用者責任を負う可能性がある

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設問17

解答:設問1:イ 設問2:イ

不正競争防止法に関する問題である。

(設問1)
(ア) A がX 社の取締役であったとき
→○:A が取締役という特別な地位にあった場合、Aは秘密管理を行なう立場にあり営業秘密を他に開示しない義務を負うものと考えられる。損害賠償を求めることができる。
(イ) A とX 社との間には、P の製法上のノウハウについて特段の合意はなかったが、A はP の製法上のノウハウを秘匿するつもりであったところ、P の製法上のノウハウが記載されたA の磁気記録媒体を過失によりY 社に渡してしまったとき
→×:Aには不正の目的がない。またA は単なる労働者であり、A とX 社との間に退職後に競業避止義務や営業秘密漏洩禁止義務の明確な合意がないため不法行為にあたらない。
(ウ) A の退職時にX 社に対し、P の製法上のノウハウについて他社に開示しないとの誓約書を提出していたとき
→○:そのような合意をしていれば、退職後もノウハウの開示をしない守秘義務を負っている。守秘義務違反を行なったAに対して損害賠償請求を求めることはできる。
(エ) X 社はP の製法上のノウハウを秘密として管理していたが、A はX 社の就業規則に秘密の漏洩を禁止する条項がなかったので、P の製法上のノウハウをY 社に開示したとき
→○:たとえ就業規則になくても、ノウハウが秘密として管理されていれば不正競争防止法上の「営業秘密」に該当する。損害橋用請求を求めることはできる。
(設問2)
(ア) A はX 社に在職中、X 社に無断で学会でP の製法上のノウハウを発表していた。しかし、X 社もY 社もA の学会発表の事実を知らず、X 社は依然としてPの製法上のノウハウを営業秘密として秘匿し、一方Y 社はA をP′の製品開発に従事させた場合
→×:Aは製法上のノウハウをすでに学会で発表しているのだから、P の製法上のノウハウはすでに不正競争法上の「営業秘密」ではない
(イ) Y 社はA がX 社で製品P の研究開発を担当していたことを知りながら、P′の製品開発に従事させ、P′について特許を出願した。しかし、実はP の製法上のノウハウはX 社の営業秘密であった場合
→○:この場合Y社は、故意に製品P′の製品開発に従事させているので、不正競争に該当する。
(ウ) Y 社はA がX 社の従業員であったと知っていたが担当業務がわからなかったので、X 社の人事部に問い合わせたところ、X 社の人事部は誤ってA が製品Pの開発・製造には従事していないと回答したので、Y 社はA をP′の製品開発に従事させた。しかし、実はP の製法上のノウハウはX 社の営業秘密であった場合
→×:Y社は、X 社の人事部に問い合わせを行い、X社人事部が誤った回答をしているので、Y 社に重過失が認められない。重過失が認められない以上、不正競争にはあたらない。
(エ) Y 社はA がX 社の従業員であったと知らずにP′の製品開発に従事させ、P′を製造・発売したが、実はP の製法上のノウハウはX 社の営業秘密であった場合
→×:Y 社はA がX 社の従業員であったと知らなかったのだから、Y 社に重過失が認められない。重過失が認められない以上、不正競争にはあたらない。

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設問18

解答:設問1:イ 設問2:エ

(設問1)
「消費者契約法」、「不正競争防止法」、「不当景品類及び不当表示防止法」は、広く事業者であれば適用対象となる。
特定商品取引法とは
特定商取引法は、訪問販売など消費者トラブルを生じやすい特定の取引類型を対象に、トラブル防止のルールを定め、事業者による不公正な勧誘行為等を取り締まることにより、消費者取引の公正を確保するための法律である。

特定商取引法の対象となる取引類型
訪問販売 自宅への訪問販売、キャッチセールス(路上等で呼び止めた後営業所等に同行させて販売)、アポイントメントセールス(電話等で販売目的を告げずに事務所等に呼び出して販売)等
通信販売
新聞、雑誌、インターネット(インターネット・オークションも含む)等で広告し、郵便、電話等の通信手段により申込を受ける販売(「電話勧誘販売」に該当するものを除く。)
電話勧誘販売 電話で勧誘し、申込を受ける販売
連鎖販売取引 個人を販売員として勧誘し、さらに次の販売員を勧誘させる形で、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品・役務の販売
特定継続的役務提供 長期・継続的な役務(「えきむ」と読む。サービスの意味)の提供とこれに対する高額の対価を約する取引(現在、エステティックサロン、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の6役務が対象)
業務提供誘引販売取引 「仕事を提供するので収入が得られる」と誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引

 特定商取引法では、「指定商品」、「指定役務」、「指定権利」として定めたされたものが対象となる。銀行や不動産のサービスは指定されていない。

(設問2)
(ア) ここでいう「法律」の解釈について、行政当局がガイドラインを出している場合は、ガイドラインに違反する行為は常に違法である。
→×:ガイドラインはあくまでも指針であり、違法か否かを判断する際に重要な要素になる。しかしガイドラインに違反したからといって直ちに違法とはならない
(イ) コンプライアンス・プログラムの策定は、従業員の違法行為の発見を目的とするので、策定にあたり取引の実態を調査するときは、秘密裡に行われねばならない。
→×:コンプライアンス・プログラムの策定は、従業員の違法行為の発見を目的とするものではない。企業の中で、法令や倫理を遵守する仕組みをつくることが目的である。
(ウ) コンプライアンス・プログラムは、企業の対外的活動が法令にのっとって行われることを目的として策定されるものであるので、労働契約はここでいう「取引」には該当しない。
→×:企業の対外的活動のみならず、企業内部における従業員との労働契約などの対内的活動もその対象となる。法令にのっとって企業の取引が行われるのであれば、労働法も当然に考慮する必要がある。
(エ) 商品を口頭で発注しただけで、注文書は出しておらず、契約書も取り交わしていない場合であっても、ここでいう「取引」に該当する。
→○:「取引」は、必ずしも書面による必要はなく、口頭での商品発注でも契約は成立する。すなわち、「取引」に該当する。

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設問19

解答:設問1:イ 設問2:エ 設問3:エ

設問1は種類株式に関する問題である。

(ア) 議決権を制限した株式は、株式の内容及び数を事前に登記しなければ発行することができない。
→×:会社は定款で各種の株式の内容や数量を定めることにより数種の株式を発行することができる。ただし、株式の内容及び数量は登記事項ではあるが、登記しなければ発行できないわけではない
(イ) 議決権を制限した株式は、定款に株式の内容及び数を記載しなければ発行することができない。
→○:議決権を制限した株式は、事前に定款に株式の内容・数量を記載しないと発行することはできない。(会社法第108条)

(ウ)
議決権を制限した株式は、取締役会の決議により発行することができる。
→×:議決権を制限した株式の発行は定款の定めが必要である。よって取締役会の決議だけでは発行できない。
(エ) 議決権を制限した株式は、発行済株式総数の3分の2になるまで発行することができる。
→×:議決権を制限した株式は、発行済株式総数の3分の1まで発行することができる。
会社法施行により公開会社では発行済み株式総数の2分の1を超えた場合には、直ちにその割合を2分の1以下にする措置をとることが求められるようになった。

ウ、エに関しては、中小企業庁の議決権制限株式は、どう変わりますか。を参照して下さい。

設問2は新株予約権に関する問題である。

(ア) 新株予約権の行使により発行する株式の数は発行済株式総数の10分の1を超えることができない。
→×:新株予約権には発行株式数の制限はない。
(イ) 新株予約権の行使は付与決議後10年を経過する日後はできない。
→×:新株予約権の行使期間の制限はない。

(ウ)
新株予約権は常に取締役会の決議で付与することができる。
→×:新株予約権は、原則として、取締役会の決議のみで発行することができる。しかし、例外として株主以外の者に対する特に有利な条件による付与の場合には株主総会の特別決議が必要である。(会社法240条1項)
(エ) 新株予約権は取締役及び従業員以外にも付与することができる。
→○:正しい。新株予約権は、取締役及び従業員以外の者に対しても発行することができる。

設問3は証券取引所に関する問題である。

(ア) 大阪証券取引所ヘラクレスに上場する場合、スタンダード基準とグロース基準に区分されるが、グロース基準では、利益の額が5、000万円以上であることが必要である。
→×:大阪証券取引所ヘラクレスは、質的に優れた高成長企業を対象とする「スタンダード」と、事業規模は小さいが潜在的成長性に富んだ新興企業を対象とする「グロース」の2つの基準がある。グロース基準では、利益の額が7、500万円以上であることが必要である。
(イ) ジャスダック(日本証券業協会)に上場する場合には、利益の額が1億円以上であることが必要である。
→×:ジャスダック(日本証券業協会)に上場する場合には、登記純利益の額が連結・単体ともにプラスであればいい。すなわち利益の額が1億円以上である必要はない。

(ウ)
東京証券取引所市場第2部に上場する場合には、利益の額が直前期5億円以上であることが必要である。
→×:東京証券取引所市場第2部に上場する場合には、利益の額が直前期4億円以上であることが必要である。
(エ) 東京証券取引所マザーズに上場する場合には、利益の額について、基準はない。
→○:東京証券取引所マザーズに利益の額についての基準はない。

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設問20

解答:ア

自己株式に関する問題である。

【 A 】会社が自己株式を買い受けるためには定時株主総会の決議が必要である。(会社法第155条3号)
【 B 】取得額は、貸借対照表上の純資産額から資本の額、資本準備金及び利益準備金の合計額等の額を控除したいわゆる配当可能限度額等を限度とすることとされている
【 C 】保有することは数量・期間ともに自由である
【 D 】処分する場合は原則として新株発行に関する規定が準用される。

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