平成14年度1次試験問題:財務・会計
設問16
次の文章を読んで、以下の設問に答えよ。
@正味現在価値法と内部利益率法は、共にDCF 法(Discounted Cash Flow
Method)のひとつであり、貨幣の時間価値を考慮に入れた経済性計算の方法として知られている。投資決定に際して、A正味現在価値法と内部利益率法がいずれも同じ評価・判定をもたらすのであれば特に問題はないが、常にそうであるとは限らない。したがって、B両者の特徴、長所、短所を十分理解した上で、正味現在価値法と内部利益率法のいずれかを適切に選択適用すべきであり、さもないと不利な投資案を選択し、有利な投資案を棄却するといった事態を招きかねない。とりわけ、C複数の投資案が提案されているときには、それらの関係(独立投資案か相互排他的投資案か)や資金制約の有無等をも勘案し、経済性を評価・判定することが重要である。
(設問1)
下線部@の正味現在価値法に関連し、以下の投資案を正味現在価値の大きい順に並べるとき、正しいものを下記の解答群から選べ。ただし、 I は初期投資額、CF は毎期の税引後キャッシュ・フローを表す。
【解答群】
(ア)投資案A>投資案B>投資案C>投資案D
(イ)投資案B>投資案C>投資案A>投資案D
(ウ)投資案D>投資案A>投資案C>投資案B
(エ)投資案D>投資案C>投資案B>投資案A
(設問2)
下線部Aに関連して述べた以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
ただし、NPVA は投資案A の正味現在価値を、IRRA は投資案A の内部利益率を、i は投資コストを表すものとする。また各投資案は最初に現金支出が行われ、その後は経済命数のすべての期間についてプラスのキャッシュ・フローが生ずるものとする。
a | 「NPVA>0ならばIRRA> i 」という関係は常に成り立つ。 |
b | 「NPVA>0ならばIRRA> i 」という関係は必ずしも成り立たない。 |
c | 「NPVA>NPVB>0ならばIRRA>IRRB> i 」という関係は常に成り立つ。 |
d | 「NPVA>NPVB>0ならばIRRA>IRRB> i 」という関係は必ずしも成り立たない。 |
e | 「NPVA>0>NPVB ならばIRRA> i >IRRB」という関係は常に成り立つ。 |
f | 「NPVA>0>NPVB ならばIRRA> i >IRRB」という関係は必ずしも成り立たない。 |
【解答群】
(ア)aとcとf
(イ)aとdとe
(ウ)aとdとf
(エ)bとdとf
(設問3)
下線部Bに関連した以下の記述のうち、最も適切なものはどれか。
【解答群】
(ア)正味現在価値法では、正味現在価値が資本コストより大きい投資案は採用に値し、そうでない投資案は棄却される。
(イ)正味現在価値法のひとつの欠点は、正味現在価値を試行錯誤で求めなければならないことである。
(ウ)内部利益率法のひとつの欠点は、複数の内部利益率が存在する場合があるということである。
(エ)内部利益率法は、投資からもたらされる毎期のキャッシュ・フローが資本コストで再投資されるという前提に立っている。
(設問4)
文中の下線部Cの記述に関連し、2つの独立投資案X、Y について、その採否を検討することにする。下図は、これらの投資案について割引率と正味現在価値の関係をグラフ化したものである。資金制約が無いと仮定するとき、以下の記述のうち正しいものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a | 資本コストがA より大きくB より小さい場合、両投資案とも採用される。 |
b | 資本コストがA より大きくB より小さい場合、投資案Y のみが採用される。 |
c | 資本コストがB より大きくC より小さい場合、投資案Y のみが採用される。 |
d | 資本コストがB より大きくC より小さい場合、両投資案とも却下される。 |
e | 資本コストがC より大きい場合、投資案Y のみが採用される。 |
【解答群】
(ア)aとc
(イ)aとd
(ウ)bとc
(エ)bとd
設問17
次の文章を読んで、以下の設問に答えよ。
投資家はある株式の価格が割高であると判断すれば当該株式を売却し、逆に割安であると判断すれば当該株式を購入する。「割高か割安か」を判断する基準は投資家によってさまざまである。利回りを重視する投資家もいるだろうし、@PER やPBR といった指標を重視する投資家もいるだろう。最近では、キャッシュ・フローに着目したAPCFR を重視すべきであるといった主張もある。判断基準の選択は投資家自身が行うものであり、したがって投資家によって異なるものである。
(設問1)
文中の下線部@のPER に関する記述として、最も適切なものはどれか。
【解答群】
(ア)PER はEPS を株価で割った値である。この比率が高いと利益に対して株価が割高であると判断される。
(イ)PER はEPS を株価で割った値である。この比率が高いと利益に対して株価が割安であると判断される。
(ウ)PER は株価をEPS で割った値である。この比率が高いと利益に対して株価が割高であると判断される。
(エ)PER は株価をEPS で割った値である。この比率が高いと利益に対して株価が割安であると判断される。
(設問2)
文中の下線部AのPCFR の算定公式として最も適切なものはどれか。
【解答群】
ア 株価 純利益+減価償却費
イ 株価 (純利益+減価償却費)÷株式発行総数
ウ 純利益+減価償却費 株価
エ (純利益+減価償却費)÷株式発行総数 株価
設問18
次の文章を読んで、以下の設問に答えよ。
O 社はP 社の買収を検討中である。わが国では、企業評価の方法として、企業のストックに着目した【 A 】 が多く用いられてきたが、「キャッシュ・フロー経営」に関心が高まっている昨今の情勢に鑑み、O 社は【 B 】の一種であるDCF 法でP社の評価を行うことにした。
P 社の将来のフリー・キャッシュ・フローを予測し、それを現在価値に割引計算したところ、その総額は100億円となった。同社の負債価値は60億円である。したがって、P 社の株主価値は【 C 】 億円と計算される。P 社の提示した買収価格がP 社の株式価値より低ければ、買収に値すると判断されよう。
(設問1)
文中の空欄A に当てはまるものはどれか。
【解答群】
(ア)市場価格比較方式
(イ)収益還元方式
(ウ)純資産方式
(エ)配当還元方式
(設問2)
文中の空欄B に当てはまるものはどれか。
【解答群】
(ア)市場価格比較方式
(イ)収益還元方式
(ウ)純資産方式
(エ)配当還元方式
(設問3)
文中の空欄C に当てはまるものはどれか。
【解答群】
(ア)40
(イ)80
(ウ)100
(エ)160