平成14年度1次試験解答:財務・会計
設問16
解答:設問1:イ 設問2:イ 設問3:ウ 設問4:ア
(設問1)
正味現在価値法(NPV) に関する問題である。
正味現在価値は次のように表すことも可能である。
正味現在価値=毎年のCF×(年金原価係数)-I
※I は初期投資額、CF は毎期の税引後キャッシュ・フローとする
各投資案の正味現在価値を計算すると以下のようになる。
投資案A:−500+100×6.14=114(万円)
投資案B:−500+100×6.25=125
投資案C:−500+100×6.21=121
投資案D:−500+100×6.00=100
よって(イ)投資案B>投資案C>投資案A>投資案Dが解答である。
(設問2)
正味現在価値がプラスである投資案は必ず割引率である資本コストを上回るIRR を持つ。
また、正味現在価値法と内部利益率法とは、排他的な複数投資案の選択において異なった判定を下すことがある。これは内部利益率法が投資規模を考慮していないという欠点を持つことや、正味現在価値法において計算される正味現在価値の値が、キャッシュフローの生じるタイミングによって大きく異なりうることなどから起こるものである。このことから選択肢d:「NPVA>NPVB>0ならばIRRA>IRRB> i 」という関係は必ずしも成り立たない。が解答となる。
(設問3)
(ア)正味現在価値法では、正味現在価値が資本コストより大きい投資案は採用に値し、そうでない投資案は棄却される。
→×:正味現在価値が正の場合に投資案は採用に値する。
(イ)正味現在価値法のひとつの欠点は、正味現在価値を試行錯誤で求めなければならないことである。
→×:試行錯誤で計算しなければならないのは内部利益率法である
(ウ)内部利益率法のひとつの欠点は、複数の内部利益率が存在する場合があるということである。
→○:内部利益率法では、キャッシュフロー流列における符号変化が2度以上ある場合には、複数の内部利益率が計算されてしまうことがある。
(エ)内部利益率法は、投資からもたらされる毎期のキャッシュ・フローが資本コストで再投資されるという前提に立っている。
→×:内部利益率で求められる割引率は必ずしも資本コストとはならない。
設問17
解答:設問1:ウ 設問2:イ
(設問1)
EPS(Earnings Per Share)
とは、一株に対して最終的な当期利益(当期純利益)がいくらあるかを表す指標である。次式で求めることができる。
1株あたり当期純利益(EPS) | = | 当期純利益 |
発行済株式総数 |
PER(Price Earning Ratio:株価収益率)とは、 株価の状況を判断する指標の一つである。
株式が利益の何倍で売買されているかを分析する指標である。この数字が低いと割安、高いと割高とかになる。次式で求めることができる。
株価収益率(PER) | = | 株価 |
1株あたり当期純利益 |
すなわち、(ウ)PER は株価をEPS で割った値である。この比率が高いと利益に対して株価が割高であると判断される。が解答である。
(設問2)
PCFR(Price Cash Flow Ratio:株価キャッシュフロー倍率)とは、株価を一株当たりキャッシュフローで割ったものが、株価キャッシュフロー倍率である。次式で求めることができる。
株価キャッシュフロー倍率(PCFR) | = | 株価 |
1株あたりキャッシュフロー |
問題では、1株あたりキャッシュフローを(純利益+減価償却費)÷株式発行総数で算出している。
設問18
解答:設問1:ウ 設問2:イ 設問2:ア
(設問1)
純資産方式は、企業の保有する資産の評価額から負債評価額を差し引いて企業評価額を算出する方法であり、企業のストックとしての価値を重視するものである。よって解答は(ウ)純資産方式である。
(設問2)
収益還元方式は、企業の生み出す収益から評価額を算出する方法であり、企業の継続事業価値を重視する方法である。DCF 法は企業の生み出すキャッシュフローを収益と見立てた収益還元方式の一種であると考えられる。
(設問3)
企業価値は次の式で表される。
企業価値=負債の価値+株主資本の価値
よって
100億円=60億円+X
X=40億円
となる。よって解答は(ア)40 である。