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平成16年度1次試験解答:企業経営理論

設問11

解答:イ

(ア) オープン・アーキテクチャー戦略をとって、自社のコア技術を開放して他社との連携を図る。
→×:オープン・アーキテクチャー戦略とは「自社の持つ情報をより積極的に公開、発信し、他社の多用な情報と結合させることによって、情報価値の自己増殖現象を発生させ、その価値を自社の利益として取り込んでい く戦略のことである。オープン・アーキテクチャー戦略をとることで自社のコア技術が流出してしまい、他社との差別化戦略がとれなくなる
(イ) 現場の技術ノウハウの共有と継承を図るために、若手従業員をベテラン技能工と組ませるとともに、作業のプログラム化を図る。
→○:現場の技術ノウハウなどは、マニュアルなどで説明する事は難しいので、若手従業員とベテラン技能工を組ませることで技術の継承が可能になる。
(ウ)

現場の経験と勘に依存した熟練技術による生産を改めるため、中高年技能工の早期退職を図り、廉価な汎用機械による生産に切り換える。
→×:中高年技能工を退職させることで独自の技術能力が失われる。その上、廉価な汎用機械に切り替えるのならば、さらに独自の技術能力は失われるであろう。

(工) 標準部品を用いた生産を推進するため、製品アーキテクチャーを見直して、工程間の分業を細分化し、熟練工を増員する。
→×:標準部品を用いた生産をすることで、部門間あるいは業者間でのすりあわせを低減させることはできるが、独自の技術が失われる。また標準部品を用いるのだったら、独自のスキルは不要の為、熟練工を増員する必要は無い。
(オ) 複雑な部品の組み立て技術の鍵となるすり合わせ能力は、最新の機械を導入すると消えてしまうことがあるので設備投資を手控える。
→×:最新の機械を導入しても、すりあわせ能力が喪失が消えることはない。また設備投資を手控える事は技術力の後退を招きかねない。

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設問12

解答:イ

経験曲線に関する問題である。

経営曲線とは、累積生産量が増加することによって、固定費・変動費ともに低減する現象のことをいう。

(ア) 経験曲線の勾配は技術分野によって決まっている。
→×:経験曲線は技術分野によって決まるものではない。経験曲線効果は労働生産性の向上、新しい製造工程や作業方法の改善、 製品デザインの改良、製品の標準化等などによって勾配が決まる。
(イ) 市場シェアが低い企業はリーダー企業に低価格競争を強いられやすい。
→○:経験曲線効果が得られる業界ならば、シェアの高い企業は競合他社よりも、累積生産量が多いはずであり、その結果コスト面で優位に立つことができる。その結果、市場シェアが低い企業はリーダー企業に低価格競争を強いられやすい。
(ウ) 比較的小規模生産で経験曲線効果が実現してしまい、その後コストは低下しない。
→×:経営曲線効果は、生産が続き、累積生産量が増える限り、コストが低下していく可能性がある
(工) ヒトに大きく依存した労働集約的な生産では経験曲線効果が発生しにくい。
→×:経営曲線効果は、労働の習熟も要因の一つである。すなわち、ヒトに依存した労働集約的な生産の方が経験曲線効果は発生しやすい

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設問13

解答:ウ

(ア) IT 投資が生産性を上昇させることはほとんどなく、逆に合理化による雇用の喪失が起こっている。
→×:適切なIT投資によって生産性を上昇させることができる
(イ) IT 投資やリプレース・コストなどを考慮すれば、中小企業がIT装備する必要性は乏しい。
→×:中小企業も費用対効果を考えIT装備する必要性がある。IT装備を怠ると競争力を失いかねない。
(ウ) IT を駆使した生産工程管理によって、中間在庫を大幅に削減して、コスト削減を図ることができる。
→○:IT技術を駆使した生産管理システムを利用することで、中間在庫を大幅に削減して、コスト削減を図ることができる。
(工) バーチャル組織の取引から発生するリスクは小さくないので、顔の見える取引関係に限って商談を進めるべきである。
→×:バーチャル組織の取引から発生するリスクはあるが、顔の見える取引関係に限って商談を進めると機会損失が生じる
(オ) バーチャルな関係を通じてパートナー企業との連携が深まるが、取引情報の交換のみが行われるので自社ノウハウが流出する危険はほとんどない。
→×:バーチャルな関係では取引情報の交換のみが行なわれるのではない。また情報のやりとりの内容によっては、自社ノウハウが流出する危険性はある

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設問14

解答:ア

 同質的競争とは、競合企業間の戦略が類似している競争状況である。模倣の応酬というデメリットだけでなく、激しい競争で競争力が強化されるというメリットもある。

(ア) 相手の戦略の先読みや観察を通じて得た情報をもとに製品開発を展開したり、戦略行動を組み直したりしながら、自社の戦略スキーマ(枠組)に磨きをかける。
→○:競合他社を監視し、行動することで自社の戦略スキーマ(枠組)に磨きがかかる。
(イ) 高密度実装技術が進むにつれて、部品コンポーネント間のインターフェースが標準化されて、製品の同質性が高まり、差別化戦略が効かなくなっている。
→×:部品コンポーネント間のインターフェースの内容の差異によって競合他社との差別化は可能である。
(ウ) ユーザーの数が増えるにつれて、その製品から得られる便益が高まり、製品は同質化する。
→×:電話などのネットワーク型サービスにおいて、加入者数が増えれば増えるほど、1利用者の便益が増加するという現象がある(ネットワーク外部性)。ただし、それと同質的競争は関係が無い
(工) ライバル企業との間で互いの行動についての意味の理解に混乱を与えることができれば、同質化競争を回避することができる。
→×:ライバルの行動の意味に混乱を与えるほどの極端な行動はすべきではない
(オ) リーダー企業の製品を模倣することによって特定ニッチ市場を形成する。
→×:リーダー企業の製品を模倣していたのでは、特定ニッチ市場を形成することはできない

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設問15

解答:オ

M&Aに関する問題である。

(ア) M&Aは規模の経済をもたらすが、M&Aにともなう競合のコストがかかり、統合の効果があがらないことがある。
→○:同業種の企業同士のM&Aは規模の経済をもたらす可能性は高い。しかし、M&Aにコストがかかりすぎた結果、規模の経済がもたらす効果よりコストの方が上回ってしまい、統合の効果があがらないことがある。
(イ) OEMやライセンス供与によってデファクトスタンダードを構築することは可能だが、技術優位を失う可能性がある。
→○:OEM(相手先ブランドによる生産)やライセンス供与を行うことによって自社が開発した技術を普及させて、デファクトスタンダードを構築することは可能であるが、開発した技術を外部に供給しすぎることで、技術優位を失う可能性がある。
(ウ) 自社株を大量に買い込んで会社を非公開化して企業防衛を図ることをMBO(マネジメント・バイ・アウト)という。
→○:MBOとは、会社の経営陣が株主より自社の株式を譲り受けたり、あるいは会社の事業部門のトップが当該事業部門の事業譲渡を受けたりすることで、文字通りのオーナー経営者として独立する行為のこと。
(工) 戦略的提携では互いの交流頻度が高まるほど、提携企業間の協調関係は進展する。
→○:互いの交流頻度が高まるにつれて、提携企業間の協調関係は進展する。
(オ) 買収に対抗するために大量に社債を発行して財務体質を悪化させることをポイズン・ピルという。
→×:買収に対抗するために大量に社債を発行して財務体質を悪化させることをクラウンジュエル(焦土作戦)という。クラウンジュエルとは、買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。また、ポイズン・ピルは、買収者が発行済み株式の一定比率を買い占めた場合に、新株発行によって株式保有比率を低下させる手段である。

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設問16

解答:ア

コンフリクトに関する問題である。

(ア) 企業全体の組織目標を具体的で操作的なものにすれば、それぞれの部門間で解釈の差が小さくなるので、コンフリクトを減らすことができる。
→○:組織内で共通の目標を設定することで、コンセンサス(意見の一致・合意)が形成される。その結果、コンフリクトを減らすことができる。
(イ) それぞれの部門が獲得する情報の冗長性を小さくすれば、情報を共有する度合いが高くなるので、コンフリクトを減らすことができる。
→×:部門間で重複した情報を保有している状態のことを情報の冗長性が高いという。すなわち、冗長性を小さくすれば、情報を共有する度合いが低くなるのでコンフリクトが発生しやすくなる
(ウ) それぞれの部門に配分する予算の総額を少なくすれば、各部門は他の部門の管理に関心を向ける余裕が少なくなるため、コンフリクトが発生しにくくなる。
→×:他の部門への関心がなくなることは部門間の調整時間の現象につながる。その結果、部門間のコンフリクトが発生しやすくなる。また予算の総額を少なくすると部門間で少ない予算の奪い合いが始まりコンフリクトが発生するのは目に見えている。
(工) 部門間でタイミングを合わせるべきスケジュールに余裕を持たせないようにすれば、それぞれの部門は自部門のことのみに関心を向けるため、コンフリクトは少なくなる。
→×:スケジュールに余裕を持たせないことで、自部門のことのみに関心を向けるため、コンフリクトが発生しやすくなる

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設問17

解答:設問1:イ 設問2:ウ 

(設問1)
(ア) あらかじめ、規則や手続きを定めておくと、組織が官僚制化してしまうために、 調整に必要な情報処理量が増大してしまう。
→×:あらかじめ、規則や手続きを定めておいたからといって、組織が官僚制化してしまうとは一概にいえない。また規則や手続きを定めておくことによって調整に必要な情報処理量は低下する。
(イ) あらかじめ、部門計画を綿密に策定しておくことによって、部門間調整に必要な情報処理量を減らすことができる。
→○:正しい
(ウ) 技術革新が頻繁に起こる産業に属する企業では、小規模な部門単位で素早い意思決定をする必要があるため、部門間調整に必要な情報処理量は少なくなる。
→×:技術革新が頻繁に起こる産業に属する企業は小規模な部門化が進む。その結果、部門間連系の為の資料作りなどで、部門間調整に必要な情報処理量は大きくなる
(工) マトリックス組織のように横断的関係を導入することで、部門間調整に必要とされる情報処理量は減少する。
→×:マトリックス組織のように横断的関係を導入することで組織全体の情報処理能力を高めることができる。しかし部門間コンフリクトが発生しやすいので、部門間調整に必要とされる情報処理量は増加する
(設問2)
(ア) それぞれの部門を自律的・自己完結的に編成すると、分権化が進むとともに、組織全体の情報処理能力も高くなる。
→×:それぞれの部門を自律的・自己完結的に編成すると、部門間の調整に必要な情報処理用は減らすことができるが、組織全体の情報処理能力も高くなるわけではない
(イ) バッファー在庫をおくと、各部門に時間的な余裕が発生するため、組織全体の情報処理能力を高める。
→×:。情報のバッファー在庫(スラック資産)をおくとは、程度にもよるが情報のリアルタイムなやり取りという面からはタイムラグを生み、組織全体の情報処理速度を低下させることがある
(ウ) 複数の部門を貫通する情報システムの導入によって、組織全体の情報処理能力を高めることができる。
→○:正しい。
(工) マトリックス組織のようにツーボス・システムを導入すると、従業員に対する情報処理負荷を削減できるとともに、組織全体の情報処理能力を高めることができる。
→×:ツーボス・システムとは部下が2人の上司をもつことである。2人の上司をもつので、命令系統が錯綜し、従業員の情報処理負荷は増大する。その結果、情報処理能力は低下する

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設問18

解答:エ

リカートはリーダーの機能的特性を次の4つに分類したもので、集団参加型システムが最善とされている。

  1. 独善的専制型システム
  2. 温情的専制型システム
  3. 相談型システム
  4. 集団参加型システム
(ア) 温情型のリーダーシップは、部下たちによる高い支持を得やすいし、そうした支持によって高い成果を生みやすい。
→×:リッカートとがもっとも生産性が高いと考えたのは、集団参加型のリーダシップである。温情型のリーダシップは、必ずしも部下たちによる高い支持を得るものではないし、高い成果は生むわけでもない
(イ) 参画型のリーダーシップ・スタイルでは、公式組織と非公式組織の一致する程度が高くなるため、しばしば非公式組織によって公式組織の目標遂行が妨げられる。
→×:リッカートとがもっとも生産性が高いと考えた参画型のリーダーシップ・スタイルでは、公式組織と非公式組織の一致する程度が高くなるため非公式組織によって公式組織の目標遂行が助けられる
(ウ) 専制型のリーダーシップ・スタイルでは、人的資産を食いつぶすことになるのでその結果はただちに低い生産性となって現れる。
→×:専制型のリーダーシップ・スタイルでは、懲罰への恐れやリーダの力量によってある程度の生産性を発揮する。よってただちに低い生産性となって現れるわけではない
(工) 連結ピンとしてのリーダーは、上向きの影響力が大きいほど、下位組織のメンバーへの影響力も強くなる。
→○: 連結ピンとは、 リッカートによる組織の捉え方。組織には、職場集団のような多数の小集団が階層的に存在しており、それらは、特定の成員(管理・監督者)が複数の職場集団の成員となることによって連携を保っている。それら複数集団の所属する成員を連結ピンという。
 下位組織で強いリーダーシップを発揮するためには、部下の要望を通すために上を説得する力(上向きの影響力が大きいほど)力が強い程、下位組織のメンバーへの影響力も強くなる。

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設問19

解答:設問1:エ 設問2:ア 設問3:オ

問題

各コミュニケーションンパターンの主な特徴を下記に記す。

A型:サークル型
与えられた課題解決に対して結論に到達するには、全員の意見を全員が共有する必要があるので時間がかかる。
B型:チェーン型
与えられた課題解決に対して結論に到達するには、全員の意見を全員が共有する必要がある上に、A型よりも情報の流通ルートが限定されているので更に時間がかかる恐れがある。
C型:Y字型
ネットワークの分岐する個所にコアメンバーが存在する。両方向にリーダシップを発揮することができる。ただし、分岐個所に情報が集中しやすく情報伝達にはやや時間を要する。
D型:星型
ネットワーク内にコアとなるメンバーがおり、他のメンバーとのコミュニケーションやネットワーク全体の管理、コントロールを行う。迅速な意思決定や行動が期待できるが、周辺に位置するメンバーが消極的な存在になる恐れがある。

(設問1)
D型のようにメンバーからの解決策を一点に集中させ課題解決するのが最も早いコミュニケーションンパターンである。

解答 

(設問2)
メンバーが平等、対等の立場にあるA型がメンバー間のコミュニケーションが一番取れるコミュニケーションンパターンである。

(設問3)
D型は、権限を一点に集中させている為、リーダーシップが強いコミュニケーションンパターンである。
A型は、メンバーが平等、対等の立場にあるのでリーダーシップが一番弱いコミュニケーションンパターンである。
よって解答はオである。

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設問20

解答:設問1:ア 設問2:エ

(設問1)
(ア) 成長前期段階にある企業では、創業者の個人的能力への依存度が高く、ともすれば曖昧になりがちな責任−権限関係を明確にするための組織構造のデザインをする必要がある。
→○:成長前期段階では、創業者の個人的能力への依存度が高い。創業者に依存した体制から組織の秩序化を図る必要がある。
(イ) 誕生期から成長前期段階にある企業では、官僚制化を防ぐために、経営理念や社章などのコーポレート・アイデンティティーを確立するよう努める必要がある。
誕生期から成長前期段階においては官僚制化する可能性は低い。またコーポレート・アイデンティティ(企業がもつ特徴や理念を体系的に整理し、簡潔に表したもの) を確立しても官僚制化を防止できない。
(ウ) 誕生期から成長前期段階にある企業では、組織規模も急激に拡大し官僚制化が進むため、従業員には十分な経済的報酬を提供しないとコミットメントは得られない。
→×:官僚制化が進むのは、成長後期段階から成熟期段階であり、誕生期から成長前期段階にある企業では、官僚制化が進むことは少ない。
(工) 誕生期から成長前期段階にある企業では、組織文化を変革するために、計画的な組織開発を進めていく必要がある。
→×:誕生期から成長前期段階にある企業では、組織文化を変革する必要性は低い。組織文化を変革する必要性が生じるのは成熟期であろう。
(設問2)
(ア) 成熟期段階にある企業では、官僚制の逆機能を防ぐために、経営理念や社章などのコーポレート・アイデンティティーを確立するよう努力する必要がある。
→×:経営理念や社章などのコーポレート・アイデンティティーは誕生期や成長前期に確立する努力が必要である。
(イ) 成熟期段階にある企業では、組織内で権力闘争が起きやすいため、責任−権限関係を明確に定めた規則や手就きの充実が必要である。
→×:責任−権限関係を明確に定めた規則や手就きは誕生期や成長前期に充実させておく必用がある。
(ウ) 成長後期から成熟期段階にある企業では、リストラクチャリングなどにより組織規模も小さくなっていくため、中央集権的な組織構造が必要となる。
→×:成長後期から成熟期段階に組織規模は小さくなっているとは限らない。また、中央集権的な組織構造が必要なのは、誕生期や成長前期である
(工) 組織文化が現境に適合しなくなり成熟期段階に入った企業では、組織文化を変革するために、トップマネジメントを入れ替えたり、組織構造の大胆な再編成を行う必要がある。
→○:成熟期段階では、組織の硬直化を打破するためにも、トップマネジメントを入れ替えたり、組織構造の大胆な再編成を行う必要がある。

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