平成19年度1次試験問題:経済学・経済政策
設問11
所得格差を示す数値であるジニ係数は、その値が低いほど平等であると考えられる。日本のジニ係数に関して、最も不適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) 1世帯当たりの世帯人員を勘案した年間可処分所得(等価可処分所得)のジニ係数をみると、先進国の中で日本は国際的に中位に位置する。 (イ) 高齢者層ほど、総世帯の年間可処分所得(等価可処分所得)のジニ係数が高い。 (ウ) 租税や社会保険料の支払、年金給付等の移転所得の受取後の年間収入に関するジニ係数は、その再分配前の年間収入に関するジニ係数よりも大きい。 (エ) 年間収入に関する日本のジニ係数は増加傾向にある。
設問12
高齢化社会を迎え、医療機関が提供する医療サービスに対する価格水準についての議論が行われるようになっている。以下の記述について、最も適切なものの組み 合わせを下記の解答群から選べ。
a | 生死にかかわるような重要な症状の場合、医療サービスへの需要の価格弾力性は低い。 |
b | 生死にかかわらない症状で、自然治癒などの代替的治療法が複数ある場合、医療サービスへの需要の価格弾力性は低い。 |
c | 公的保険制度が充実して患者自己負担が少ない場合、医療サービスへの需要の価格弾力性は低い。 |
d | 公的保険制度が貧弱で患者自己負担が高い場合、医療サービスへの需要の価格弾力性は低い。 |
【解答群】 (ア) aとc (イ) aとd (ウ) bとc (エ) bとd
設問13
完全競争下で操業する企業が、次のような費用関数を持つと仮定する。ここで、 Cは総費用を、Xは生産量を表す。
C=X3−2X2+6X+10
下記の設問に答えよ。
(設問1)
平均可変費用関数として最も適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) X2-2X+6 (イ) 3X2-4X+6 (ウ) X3-2X2+6X (エ)
X2-2X+6+ 10 x
(設問2)
限界費用関数として最も適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) X2-2X+6 (イ) 3X2-4X+6 (ウ) X3-2X2+6X (エ)
X2-2X+6+ 10 x
(設問3)
上記の費用関数から、それ以下では操業できない価格水準(操業停止点に対応する価格)を求めよ。
【解答群】 (ア) 3 (イ) 4 (ウ) 5 (エ) 6
設問14
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
下表は、A国とB国が、農業製品または工業製品を1単位生産するのに必要な生産要素量を示している。ここで、簡単化のために、A国とB国の2国のみを想定 し、それぞれの国は、農業製品ならびに工業製品のみを生産すると考える。さら に、生産要素として労働力のみを考え、両国間で労働力の移動はないものとする。
農業製品 | 工業製品 | |
A国 | 5 | 6 |
B国 | 3 | 1 |
(設問1)
A国とB国の比較優位、絶対優位に関する説明として、最も適切なものはどれ か。
【解答群】 (ア) A国は、工業製品に比較優位を持っているが、絶対優位は持っていない。 (イ) A国は、農業製品に比較優位を持っているが、どちらの製品に関しても絶対優位は持っていない。 (ウ) B国は、工業製品に比較優位を持っているが、どちらの製品に関しても絶対優位は持っていない。 (エ) B国は、農業製品に比較優位を持っており、かつ、どちらの製品に関しても絶対優位を持っている。
(設問2)
A国とB国が比較優位の原理にしたがって貿易を行おうとするとき、両国間での貿易のパターンとして、最も適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) A国は、工業製品も農業製品も輸出できない。 (イ) A国は、両国間で貿易が行われるとすれば、農業製品を輸出する。 (ウ) B国は。A国に比べ同程度の生産要素の賦存量を持つとすると、農業製品を輸出するが、A国に比べ賦存量が大きいと、工業製品を輸出する。 (エ) B国は、両国間で貿易が行われるとすれば、農業製品を輸出する。
(設問3)
産業発展を目指すA国に関して、最も不適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) 教育の充実により、比較優位を変えることで、貿易のパターンを変えることができる。 (イ) 産業政策により、比較優位を変えることで、貿易のパターンを変えることができる。 (ウ) 生産要素賦存量を変えても、比較優位を変えることはできない。 (エ) 比較優位を変えなくても、工業製品を輸出することで、貿易の利益を得ることができる。
設問15
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
社会問題となっている入札談合に関し、談合を行った企業2社(企業X、企業Y) が、捜査当局の取り調べに対し、自白するか、自白せず黙秘するかの選択を迫られているとする。それぞれの行動を取ったときの、各企業の利得行列は下表のように表され、各パラメーターは所与の利得の大きさを示し、数値が高いほど効用が高いとする。たとえば、(b、c)は企業Xの利得がbの水準であり、企業Yの利得が cの水準である。
企業Y | |||
黙秘(協調) | 自白(非協調) | ||
企業X | 黙秘(協調) | (a、a) | (c、b) |
自白(非協調) | (b、c) | (d、d) |
(設問1)
いわゆる囚人のジレンマが発生している場合、次の文章中の空欄A〜Dに入る 最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
囚人のジレンマは、【 A 】の利益の最大化が、【 B 】の最適な選択とはならない状況である。どちらの企業にとっても、他社の行動にかかわらず、自白を選択する方が【 C 】である。したがって、共に自白を選択することが 【 D 】である。
【解答群】 (ア) A:個々 B:全体 C:支配戦略 D:ナッシュ均衡 (イ) A:個々 B:全体 C:ナッシュ均衡 D:支配戦略 (ウ) A:全体 B:個々 C:ナッシュ均衡 D:非支配戦略 (エ) A:全体 B:個々 C:非支配戦略 D:ナッシュ均衡
(設問2)
囚人のジレンマが発生している場合の、各パラメーターの大小関係に関して、 最も適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) a>b>c>d (イ) a>b>d>c (ウ) b>a>c>d (エ) b>a>d>c (オ) c>a>d>b
(設問3)
同じゲームでも無限回の繰り返しゲームになると、協調解が均衡解として成立 することが知られている。この理論を表す最も適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) 戦略的補完性 (イ) パレート最適 (ウ) フォーク定理 (エ) ベイジアン・ナッシュ均衡 (オ) ミニマックス原理