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平成25年度1次試験問題:経営法務

設問1

 Wホールディングス株式会社及びその子会社における役員の状況は以下のとおりである。
同じ英文字は、同じ人物であることを示し、取締役のうち、○がついている者は業務執行取締役とする。このとき、「会社法第2条に定義される社外取締役又は社外監査役」に該当しない者として最も適切な者を下記の解答群から選べ。 なお、当該図以外の要件については特に問題とならないものとする。

【解答群】
(ア) W ホールディングス株式会社における取締役A
(イ) X 株式会社における監査役C
(ウ) Y 株式会社における取締役B
(エ) Z 株式会社における監査役L

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設問2

 株主管理のコストに関する以下の会話は、中小企業診断士であるあなたと、顧客である株式会社の代表取締役甲氏との間で、平成24年6月6日に行われたものである。その前提で、会話中の空欄に当てはまる語の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

甲氏 「実は、当社では、株主管理のためのコストが問題となっていまして…。」
あなた 「御社の株主の状況はどうなっていましたっけ。」
甲氏 「この書面のとおりです。」
あなた 「ええっ、本当ですか…。この 株ずつ持っている500名はどういった人ですか。」
甲氏 「取引先の経営者かその関係者です。何十年も前に、取引先にも株を持ってもらおうということで、先代の社長が実施しまして、当社は資本金が5,000万円しかないのに、株主は約500 名という形になりました。これでも当初は取引先とも関係がよくなるなどメリットは多かったのですが、その後の長い間に取引先も代替わりや廃業などがあって、現在では、メリットは失われ、毎年の株主総会の招集通知を送るコストだけでもばかにならないよという話になってきまして。」
あなた 「なるほど。そうしますと、【 A 】 あるいは【 B 】を利用することが考えられると思います。」
甲氏 「そうするとどうなるのですか。」
あなた 「どちらでも、例えば、今の10 株を1つのまとまりにしてしまう、といったことができます。そうすると、その他500 名の方に、株主総会の招集通知を送る必要がなくなります。」
甲氏 「2つの方法では何が違うのですか。」
あなた 「【 A 】の場合、これらの500 名の方は、最終的には、お金が支払われ、御社の株主ではなくなります。【 B 】 の場合は、買取請求をされたりした場合には株主でなくなりますが、そうでなければ、これらの500名の方も株主であり続けます。」
甲氏 「今年の招集通知を送らなくても済む方法を使いたいのですが。」
あなた 「残念ながら、どちらの方法も、株主総会での特別決議がないと実施できないので、最短でも、今回の総会で承認決議をしてからということになります。」

【解答群】
(ア) A:株式分割 B:単位株制度
(イ) A:株式併合 B:単元株制度
(ウ) A:単位株制度 B:株式併合
(エ) A:単元株制度 B:株式分割

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設問3

 いわゆる濫用的会社分割に関する以下の会話は、中小企業診断士であるあなたと、顧客であるX株式会社の代表取締役甲氏との間で行われたものである。X株式会社がA設備株式会社に対して売掛金を請求する場合の法的根拠として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、以下の会話中、A社とはA株式会社のことをいう。

甲氏 「取引先のA社から、支払いがなくなったんですよ。それであわてて、A社の本社に行ってみたら、A社という会社の看板はなくなっていて、代わりに、A社と全く同じ設備、同じ人で、名前だけがA設備株式会社という名前になって、同じ営業をしていたんです。それでどういうことだと思って話を聞いてみたら、会社分割という方法を使って、今度からはA設備株式会社がここで営業をする、と言うんですよ。それなので、うちの売掛金も払ってもらえるもんだと思って話をしてみたら、A設備株式会社は、A社とは別の会社だから支払えない、A 社は閉めてしまった、と言うんです。」
あなた 「それはやられましたね。濫用的会社分割などと言われているものだと思います。」
甲氏 「濫用的会社分割…。それはどういったものですか。」
あなた 「資産を別会社に移して、従来の負債はそのまま元の会社に残しておいて、実質的に債務を免れるものです。」
甲氏 「どうしてそんなことができるんですか。債権者に連絡したりしないといけないんじゃないですか。」
あなた 「元の会社が負債の全部の支払を引き受けるときには、元の会社の債権者への連絡はいらないんですよ。今回の場合も、A社が全部の債務を負うということにしていれば、何の連絡もなく、会社分割ができてしまうんですよ。」
甲氏 「そうすると、彼らの言うとおり、もうA設備株式会社には請求ができないということですか。」
あなた 「いえ、必ずしもそうではありません。何か方法があるはずです。知り合いの弁護士を紹介しますから相談してみてください。」
【解答群】
(ア) 債権者代位
(イ) 詐害行為取消権
(ウ) 併存的債務引受
(エ) 連帯保証

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設問4

 あなたの顧客であるX株式会社(以下「X社」という。)の代表取締役甲氏からの、X社の組織再編に関する以下の相談内容を前提に、Y株式会社(以下「Y社」という。)のC部門を独立した1つの会社とする手続きとして最も適切なものを下記の解答群から選べ。

【甲氏の相談内容】
 X 社では、100パーセント子会社としてA株式会社(以下「A社」という。)を保有している。
 一方、Y 社では、B 部門とC部門の2つの事業を行っており、このうち、C部門の事業は、A 社の事業と同じである。
 X 社としては、事業を拡大するため、Y 社のC 部門を譲り受けたい。
 譲り受けるにあたっては、A社とY社では、従業員の処遇に違いがあることから、一度に統合することは難しい可能性もある。そのため、C部門をそのまま切り出して、直接1つの独立した会社とした後に、その株式を譲り受け、A社と同様に、X 社の100パーセント子会社とすることとしたい。

【解答群】
(ア) 吸収合併 
(イ) 吸収分割
(ウ) 事業譲渡
(エ) 新設分割

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設問5

 中小企業診断士であるあなたと、顧客である甲氏との間の遺産分割に関する以下の会話を読んで、あなたの回答として空欄に当てはまる最も適切なものを下記の解答群から選べ。

甲氏 「実は、私の友人のAさんに私の会社から300万円貸していたんですよ。ところが、そのAさんは、 1年ほど前に亡くなってしまって…。Aさんの奥さんはもうお亡くなりになっているんですが、息子さんが2人いるんです。それで、たまたま、次男のほうは、大きな会社に勤める人で知っていたものですから、Aさんに貸したお金を返して欲しいという話を3か月くらい前にしに行ったんですよ。
 そうしたら、その次男が言うには、去年の夏に、長男と次男で、遺産分割協議をして、全部長男が相続することになった、だから、自分は支払う必要はないはずだ、って言うんですよ。それで、その次男からは、司法書士に作ってもらったという遺産分割協議書も見せられたんですが、確かに、長男と次男の連名で実印も押してあって、長男が全部相続して次男は何も相続しないことになっていたんです。
 ですので、先日、長男の家を訪ねたのですが、長男はリストラにあってしまって、お金がないので、返したくても返せないと言うんですよ。次男は、大きな会社に勤めているので、返す能力はあると思うのですが、次男に請求することはできないんでしょうかね…。」
あなた 「【 】。弁護士を紹介しますからご相談されてはいかがですか。」
【解答群】
(ア) 遺産分割されてしまったのであれば、仕方がありませんから、長男から300万円返してもらえるか、何かいい方法がないか考えた方がいいと思います
(イ) 次男に請求することも可能ですが、請求した場合、次男としてはそれから30 日以内に相続放棄の手続をとれば相続放棄が認められますから、結局は次男からは回収できないこととなってしまうと思います
(ウ) 次男は遺産分割協議書を作成していたとしても相続放棄をしたことにはなりませんから、法定相続分に従って、150 万円の返済を次男に求めることはできるはずですよ
(エ) 負債があるのに1人にだけ資産を全部集中させる内容の遺産分割は無効ですから、次男に300 万円請求することはできるはずですよ

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