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平成21年度1次試験問題:経営法務

設問1

 簡易吸収合併(会社法第796条第3項)における吸収合併消滅株式会社、吸収合併存続株式会社がとるべき手続について、以下の@からCの点について、会社法の規定を比較した。この比較結果を記載した下記の表のうち、誤った内容が含まれているものを下記の解答群から選べ。

@ 株主総会決議による合併契約の承認が必要か否か。
A 自社の株主に対する通知・公告を要するか否か。
B 自社の債権者に対する通知・公告を要するか否か。
C 自社の新株予約権者に対する通知・公告を要するか否か。
  吸収合併消滅株式会社 吸収合併存続株式会社
@ 必 要 不 要
A 必 要 必 要
B 必 要 不 要
C 必 要 不 要
【解答群】
(ア) @   
(イ) A
(ウ) B
(エ) C

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設問2

 A株式会社(以下「A社」という。)は、100パーセント子会社であるB株式会社に対し、A社の事業の一部を分割し、吸収させることを検討している。A社の貸借対照表及び分割を検討している資産等の状況は下記のとおりである。これを前提とした簡易吸収分割(会社法第784条第3項)に関する説明のうち、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

【解答群】
(ア) 分割対象となる資産合計額から負債合計額を控除した額は1億3,000万円で、A社の総資産額の5分の1を下回っているが、20分の1を超えるので、簡易吸収分割の規定が適用とならず、A社では、吸収分割契約を承認する株主総会を開催する必要がある。 
(イ) 分割対象となる資産合計額から負債合計額を控除した額は1億3,000万円で、A社の純資産額の5分の1を下回っているので、簡易吸収分割の規定が適用となり、A社では、吸収分割契約を承認する株主総会を開催する必要がない。
(ウ) 分割対象となる資産額合計は2億3,000万円で、A社の純資産額の5分の1を下回っているが、20分の1を超えるので、簡易吸収分割の規定は適用とならず、A社では、吸収分割契約を承認する株主総会を開催する必要がある。
(エ) 分割対象となる資産額合計は2億3,000万円で、A社の総資産額の5分の1を下回っているので、簡易吸収分割の規定が適用となり、A社では、吸収分割契約を承認する株主総会を開催する必要がない。

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設問3

 個人で雑貨の輸入業を営んでいる甲氏とあなたとの間の以下の会話を読んで、会話中の空欄に入る説明として最も適切なものを下記の解答群から選べ。

甲 氏 「先日、ひょんなことから同業者の乙という方と知り合って、会社組織にして、一緒に仕事をしようということになったんです。ただ、乙さんも私も、ノウハウや在庫はあっても、現金はあまり持っておらず、資本金200万円くらいにしかなりません。これで会社は設立できるのですか。」
あなた 「今は、資本金200万円でも株式会社を設立することはできますよ。」
甲 氏 「そうなんですか。でも、資本金200万円だと、取引先の信用が得られないような気もするんですよね……。うーん……。」
あなた 「それでしたら、甲さんや乙さんが持っている在庫などを現物出資して、資本金に組み入れることを検討してはいかがですか。」
甲 氏 「へえ、そういったことができるのですか。私が保有している在庫などはたぶん400万円分くらいありますから、乙さんのもあわせると資本金は1,000万円くらいになるかもしれませんね。それなら、取引先からも十分に信用を得られそうですね。」
あなた 【   】
【解答群】
(ア) 800万円を現物出資の金額とすると、裁判所が選任する検査役の調査が必要になりますが、例外として、弁護士や税理士などの証明書があれば、検査役の調査は不要になります。 
(イ) 現金による出資金と現物出資の金額が併せて500万円を超えると、裁判所が選任する検査役の調査が必要となりますから、現物出資の金額は280万円くらいにした方がよいでしょう。
(ウ) 現物出資の金額が300万円を超えた場合、裁判所が選任する検査役の調査が必要になります。そうすると、費用も時間もかかることになりますから、ご注意ください。
(エ) そうですね、資本金1,000万円程度であれば、現物出資をするうえで何の問題もありませんから、すぐに現物出資して会社を設立しましょう。

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設問4

 法的倒産手続には、破産、民事再生、会社更生などの手続があるが、設問1〜3のグラフA〜Cは、平成元年(1989年)から平成19年(2007年)までの全国の裁判所における法的倒産手続(@〜E)の新受件数(新たに事件として受け付けられた件数)を示したグラフである。これを前提として下記の設問に答えよ。
(設問1)
 次のグラフAで示されている法的倒産手続@として最も適切なものを下記の解答群から選べ。

【解答群】
(ア) 会社更生 
(イ) 特別清算
(ウ) 破 産
(エ) 民事再生

(設問2)
次のグラフBで示されている法的倒産手続Aとして最も適切なものを下記の解答群から選べ。

【解答群】
(ア) 会社更生 
(イ) 特別清算
(ウ) 破 産
(エ) 民事再生

(設問3)
次のグラフCで示されている法的倒産手続B〜Eの説明として、最も不適切なものを下記の解答群から選べ


【解答群】
(ア) Bの手続は、平成13年以降には全く利用されていないが、これは手続の根拠となる法律が廃止され、この手続自体が利用できなくなったからである。 
(イ) Cの手続は、裁判所に対する申立てが必要なく、迅速に処理が可能となるうえ、税務上のメリットがあることから、赤字子会社を迅速に整理したいときに用いられている。
(ウ) Dの手続は、他の法的倒産手続に比べ、大型倒産事件と呼ばれる事件のときに用いられることが多いとされている。
(エ) Eの手続は、平成19年には全く利用されていないが、これは、平成18年に商法が改正され、会社法が施行された際に、この手続が廃止されたからである。

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設問5

 中小企業診断士であるあなたは、顧客であるA株式会社(以下「A社」という。)の代表取締役X氏と話をしていた際、以下のアドバイスを行った。そのアドバイスに対応するX氏の話の内容として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、A社は、取締役会設置会社であり、株主は30名である。

【あなたのアドバイス】
「これから作成しようとしている契約書の内容は、会社法に定める自己取引(利益相反取引)に該当しますから、取締役会の承認が必要だと思いますよ。」

【解答群】
(ア) 会社のトラックを1台買い替えることになって、中古車でかなり状態がいいのが見つかったんだけど、20万円だけ予算オーバーしててね。それで、私が会社に、無利息・無担保で、返済は資金繰りに余裕ができたときという内容で20万円を貸すことになって、今、その契約書を作っているんだ。 
(イ) 会社本社の土地は、私名義の土地で会社に貸していたんだけど、借地料は何十年も据え置きにしていたんだ。でも、その間に、固定資産税額が上がって、借地料だけでは足りなくなったんだ。だから、今回、借地料を固定資産税額の3倍の金額にすることになって、新しい契約書を作っているんだよ。
(ウ) 当社支店の土地は、地主から借りていて、その土地に会社で建物を建てて使っていたんだけど、先日、地主からその土地を買ってくれないかと言われたんだ。ただ、会社の資金繰りだと難しいので、私個人でお金を出して私名義で買うということになったから、今、売買契約書を作ってもらっているんだ。
(エ) 私が代表取締役を兼務しているB社は、A社の100パーセント子会社で、C社から機械をリースしていたんだけど、今度、C社から承諾をもらって、A社でB社からリースを受けることにしたんだ。今、A社とB社の契約書を作っているんだけど、リース料やリース期間なども含め、B社とC社のリース契約と全く同じ内容にすることになったんだ。

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