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平成19年度1次試験解答:経営法務

設問11

解答:設問1:エ 設問2:ア 設問3:エ

(設問1)

(ア) 個人情報の保護に関する法律
→×:個人情報に関して本人の権利や利益を保護するため、個人情報を取り扱う事業者などに一定の義務を課す法律である。
(イ) 商法
→×:誤り
(ウ) 不正アクセス行為の禁止等に関する法律
→×:インターネット等のコンピュータ・ネットワーク等での通信において、不正アクセス行為とそれを助長する行為を禁止する為の法律である。
(エ) 不正競争防止法
→○:公正な競争と国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止を目的として設けられた法律である。

(設問2)
営業秘密の3つの要件は次のものである。

秘密管理性
秘密として管理されていること
有用性
事業活動に有用な技術上または営業上の情報であること
非公知性
公然と知られていないこと

よって【 A 】〜【 C 】は次のようになる。
【 A 】:秘密管理性(秘密として管理されていること)
【 B 】:有用性(有用な情報であること)
【 C 】:非公知性(公然と知られていないこと)

(設問3)
秘密管理性が認められる為には、次の要件が要求される。

【 D 】:情報にアクセスできるものを特定すること
【 E 】:情報にアクセスしたものがそれが秘密であると認識できること

(ア) 【 B 】 企業甲が脱税をしている事実を記載している情報について、こ れを秘匿していることが企業甲の利益につながることから、企業甲の営業秘密として【 B 】の要件を満たすことができる。
→×:法人の脱税といった違法行為は有用性に欠けるので、営業秘密に該当しない。
(イ) 【 C 】 一般に公表されている取引先の企業名やその住所について、こ れが当該企業のその他の情報と一体となって管理されている場合であっても、企業甲の営業秘密としては【 C 】の要件を満たすことができない。
→×:企業名や住所は公知であっても、当該企業のその他の情報と一体となって管理されている場合は非公知性に該当する。
(ウ) 【 D 】 部長丙氏自らが職務上創作した情報について、これが社長乙氏のみがアクセスできるものとして【 D 】の要件を満たし、 企業甲の営業秘密として管理されている場合でも、部長丙氏が第三者に開示することができる。
→×:部長丙氏自らが職務上創作した場合でも、アクセスできるのは社長だけなのだがら、部長丙氏が第三者に開示することは営業秘密の不正開示行為に該当する。
(エ) 【 E 】 デジタルデータは、パスワードを設定してこれを知る人を限定するなど情報・人の管理の対象を明確化し、デジタルデータが保存されているデータベースを外部ネットワークから遮断すること等により、【 E 】の要件を満たすことができる。
→○:パスワードや外部ネットワークから遮断すること等により【E:情報にアクセスしたものがそれが秘密であると認識できること】の要件を満たすことができる。

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設問12

解答:エ

(ア) A社が、動物キャラクター「ぽかぽかうさぎ」に関する権利について著作権法に基づき保護を受けるためには、Bから権利の譲渡を受け、「ぽかぽかうさぎ」に関する権利の譲渡を受けたことについて文化庁に「著作権の移転等の登録」の手続をしなければならない。
→×:職務上創作した著作物は別段の定めがない限り法人のものとなる。すなわち文化庁に「著作権の移転等の登録」の手続をする必要はない。

▼著作権法 第15条1項
法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

(イ) A社は、動物キャラクター「ぽかぽかうさぎ」について、第三者C社にキャラクター商品の製造および販売の委託をする際には、C社に対して独占的に動物キャラクター「ぽかぽかうさぎ」に関する著作権の使用許諾をしなければならない。
→×:第三者にキャラクター商品の製造および販売の委託をする際には、著作権の使用許諾契約をする必要がある。しかし使用許諾は範囲を自由に定めることができる。すなわち独占的に使用許諾を定める必要はない。
(ウ) 第三者Dが指定商品を「おもちゃ、人形」とし、「ぽかぽかうさぎ」との文字から構成される登録商標を有する場合でも、A社が動物キャラクター「ぽかぽかうさぎ」を立体化して作成したぬいぐるみのタグに「ぽかぽかうさぎ」というキャラクター名称を小さく表示するのであれば、Dの商標権を侵害しない。
→×:タグに小さく表示するだけであってもA社の行為は商標権を侵害している。
(エ) 動物キャラクター「ぽかぽかうさぎ」と外観の類似したキャラクターが、世間に名の知られていない、海外において出版された絵本の中に第三者Eにより描かれている事実が判明した場合にも、動物キャラクター「ぽかぽかうさぎ」創作時にBを含めたA社の従業員がこのような事実を全く知らなかったときは、キャラクター商品の販売を中止しなくともよい。
→○:既存の著作物と同一性のある作品が作成されても、それが既存の著作物に依拠して再製されたものでないとき、すなわちその既存の著作物を知らずに独自に創作された場合は、著作権侵害は侵害は成立しない

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設問13

解答:ア

英文は、次のように訳される。

「第○条 優先的交渉権
ライセンサ(A社)は、ライセンシー(B社)に対して、本合意の存続期間満了時から1か月前まで独占的な実施権を優先的に交渉する権利を受諾する。その実施権はアメリカ合衆国内で独占的であるものとする。また取引上相当の期間の間存続するものとする。アメリカ合衆国内でライセンスを付与された製品の製造、過去の製造、使用、販売、過去の販売、販売の申出の排他的権利を付与するものとする」

(ア) この条項により、A社はB社に対して、アメリカ合衆国内における特許権X の独占的な実施に関し、他者に優先して交渉する権利を付与した。
→○:上記文章よりA社はB社に対して、アメリカ合衆国内で独占的な実施に関し、他者に優先して交渉する権利を付与した。
(イ) この条項により、A社はB社に対して、この契約の終了日の1ヶ月前までに、この契約を更新するか否かの選択をする権利を付与した。
→×:更新にかかる選択権にはふれていない
(ウ) この条項により、A社は特許権Xについて、この契約期間中、アメリカ合衆国において、B社以外にライセンスすることが禁止された。
→×:優先交渉権を与えているだけである。
(エ) この条項により、A社は特許権Xの関連特許について、この契約期間満了日の1ヶ月前までは、B社以外にライセンスすることが禁止された。
→×:関連特許についてはふれていない。

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設問14

解答:イ

 インコタームズとは、国際商業会議所が策定した貿易条件の定義である。
 貿易取引における運賃、保険料、リスク(損失責任)負担等の条件に関する売主と買主の合意内容について、国によって用語の解釈に不一致があると貿易が円滑に行われないため、国際的に統一的な定義を取り決めたものである。
  インコタームズ2000では、13の貿易条件が定義されているが、貿易実務上よく用いられるのはFOB、CFR、CIFである。

FOB (Free On Board)
本船甲板渡し条件。売主は、積み地の港で本船に荷物を積み込むまでの費用を負担し、それ以降の費用及びリスクは買主が負担する。
CFR (C&F Cost and Freight)
運賃込み条件。売主は、積み地の港で本船に荷物を積み込むまでの費用及び海上運賃を負担し、それ以降の保険料及びリスクは買主が負担する。
CIF (Cost, Insurance and Freight)
運賃・保険料込み条件。売主は、積み地の港で本船に荷物を積み込むまでの費用、海上運賃及び保険料を負担し、それ以降のリスクは買主が負担する。
(ア) CIFとは、Cost, Insurance and Freight の略語であって、売買契約上定められた船積港において、売主が船舶に目的物を船積みすることによって売主の引渡義務が完了し、売主が指定仕向港までの海上運賃と海上保険料を負担しない取引条件をいう。
→×:CIFの略語は正しいがCIFの内容が上記の定義と異なる。
(イ) FOB Osaka の条件であれば、大阪港が引渡場所となり、危険負担については、この売買契約上定められた船積港において、物品が本船の舷側に設けられた手すりを横切って通過した瞬間に、売主から買主に移転する取引条件になる。
→○:上記の定義より正しい
(ウ) 売買契約上、物品の引渡が「海上および内陸水路輸送」以外で行われる取引を予定している場合は、FOB、CIFいずれの条件によっても合意することができず、買主によって指定された運送人に引き渡すという合意をするほかない。
→×:海上および内陸水路輸送以外で行われる取引には陸上輸送などがある。FOB条件は拡張して用いられることがある。
(エ) 弁済すべき場所について民法の原則は取立債務であるため、売買契約上、引渡義務の履行のためには売主が買主に送付すべきと合意されている場合には、目的物である物品が目的地に到達して、そこに買主が受領でできる状態に至ってはじめて物品が特定する。
→×:弁済すべき場所について民法の原則は、取立債務(目的物を債務者の住所地において引き渡すべき債務)ではなく、持参債務(目的物を債権者の住所地において引き渡すべき債務)である

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設問15

解答ウ

@ 秘密保持契約の締結 この時点では、買収が成立するか否かは未知数である。買収が不成立であった場合に交渉プロセスで得た企業情報を漏えいしないように秘密保持契約の締結を行う。
A 基本合意書の締結 基本的な合意がなされた場合には、その双方の意思を書面で確認するため基本合意書の締結を行う。
B デューデリジェンス(Due Diligence) デューデリジェンスとは、M&A取引に関する意思決定を行うに際して、対象会社ないしは事業等に対する実態を把握し、問題点の有無を把握するために行う調査である。
売却予定企業の事業内容や財務内容、さらには法務面等の詳細な調査はデューデリジェンスである。
C 買収契約書の締結 最終的な交渉をし、合意に至れば買収契約書の締結を行う。

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