平成24年度1次試験解答:運営管理
設問36
解答:イ
材料や部品を購入先に発注する場合、大きく2つの発注方式がある
- 定量発注方式
- 在庫量が前もって定められた水準(発注点)まで下がったとき、一定量(発注量)を発注する方式
- 定期発注方式
- 定期発注方式とは、あらかじめ、一定の期間、例えば、週に1回や月に1回のように、発注する間隔を定めておき、その都度現在の在庫量や需要量に応じて発注量を計算して発注する方式
(ア) | 定期発注方式では、発注サイクルを短縮すると在庫が減少する。 →○:発注サイクルを短縮すると、需要予測の精度が高まるため適正な在庫水準を維持できるようになる。したがって、在庫が減少する。 |
(イ) | 定期発注方式は、需要予測の精度が低くても品切れを起こしにくい。 →×:定期発注方式は、需要予測の精度が低い場合は品切れを起こしやすくなる。 |
(ウ) | 定量発注方式では、発注点を高くすると品切れが起こりにくい。 →○:発注店を高くするとその分だけ在庫量が増えるので品切れが起こりにくくなる。 |
(工) | 定量発注方式は、需要が安定している商品に向いている。 →○:定量発注方式は、比較的単価が安く、安定した需要をもつ標準品、共通品など多品目にわたる小物の常備品を扱う場合に適している。 |
設問37
解答:イ
物流ABC(Activity Based Costing:活動基準原価計算)とは、物流コストを管理する手法の一つで、物流の活動ごとに原価を計算することで、例えば梱包を1箱するのにコストがいくらかかったなどが把握できるため、コスト管理手法として最近非常に注目されている。
従来、物流コストは支払運賃がいくらかかったかといった投入要素別の原価計算が用いられていたため、これまでは支払い運賃を下げるよう運送会社と交渉することしかコスト削減の方法はなかった。
活動原価別によるABCは、ピッキング・検品・梱包・値札付けなど個々の作業ごとにコストを明らかにするもので、方法はこうした作業内容(アクティビティ)別に「単価」と「処理量」に分解していきます。単価により、一つの活動によりどの位コストや時間がかかったかがわかり、これによりピーク時に作業員を何人用意すれば良いかなどのデータが算出できる。
また活動ごとに物流コストが分かるということで、コストの発生源が特定でき、その責任を負うべき部門を明らかにすることもできる。
(ア) | 物流ABC では、出荷や配送などの活動ごとに作業時間や作業量を把握する。 →○:物流サービスごとのコストを算定するには、活動量を把握する必要がある。 |
(イ) | 物流ABC では、人、施設、機器に注目してコストを分析する。 →×:物流ABCは仕事の単位(アクティビティ)に注目してコストを分析する。 |
(ウ) | 物流ABC により、顧客別の採算分析ができるようになる。 →○:物流サービスにどれだけのコストがかかっているか、物流ABCにより計算できるようになる。 |
(工) | 物流ABC により、出荷ケースあたりのコストを算出することができるようになる。 →○:アクティビティ単価を計算することにより、ケース単位の出荷作業と、バラ単位の出荷作業、コストの違い等を明らかにできる。 |
設問38
解答:イ
モーダルシフト等推進事業とは、温室効果ガスの排出削減、流通業務の省力化による持続可能な物流体系の構築を図るため、荷主企業及び物流事業者等物流に係る関係者によって構成される協議会が実施するモーダルシフト等の取組みを支援する事業である。
(ア) | モーダルシフトにより、環境負荷の軽減が期待される。 →○:トラック輸送から大量輸送機関である鉄道・船舶輸送への転換(モーダルシフト)することで輸送量当たりの二酸化炭素の排出量を減らすことができる。 |
(イ) | モーダルシフトにより、出荷ロットが小さくなる場合が多い。 →×:鉄道・船舶輸送などを使用するので出荷ロットが大きくなる場合が多い。 |
(ウ) | モーダルシフトにより、長距離区間の一括大量輸送のコスト削減が期待される。 →○:大量輸送機関への転換をすることで、長距離区間の一括大量輸送のコスト削減が期待される。 |
(工) | モーダルシフトにより、配送のリードタイムが長くなる場合が多い。 →○:モーダルシフトの阻害要因として配送リードタイムが長くなることが挙げられる。 |
設問39
解答:イ
消化仕入れとは、売れた分だけを仕入れ、残った分は、返品という百貨店などが行う方式である。
売れ残った商品は、仕入先に返品されるため、小売店側のリスクは少ない。
(ア) | 売れ残った在庫を返品することができるために、返品処理の設計が必要となる。 →×:売れ残った在庫の所有権は小売店側にない。したがって、返品処理の設計を行う必要はない。 |
(イ) | 日次などの締め処理の中で、売上計上分だけを仕入として処理する必要がある。 →○:消化仕入れは、売上と仕入れが同時に発生するため、日次などの締め処理を行う際に売り上げた分だけ仕入れ処理を行う必要がある。 |
(ウ) | 納品段階で、入庫処理や仕入計上を行うために、在庫や買掛金の管理システムが必要となる。 →×:納品段階での所有権は小売り側にないため、入庫処理や仕入計上を行う必要はない。 |
(工) | 販売手数料が得られるために、売上や原価の処理システムを設計する必要がない。 →×:委託販売の場合は、販売手数料が得られるが、消化仕入れの場合は通常の買取仕入と表面上は同じように売上と原価が計上される。 |
設問40
解答:ウ
(ア) | いったん「売れ筋」商品と位置づけられた商品であっても、条件が変われば「死に筋」商品になる可能性がある。 →○:売れ筋商品であっても、気候要因や社会的地域的要因や流行などにより死に筋になることは多々ある。 |
(イ) | いわゆる「ロングテール現象」とは、インターネット通信販売などにおいて、「死に筋」商品の売上をすべて合計すると大きな売上が得られるという現象を指す。 →○:ロングテールとは、インターネットを用いた物品販売の手法、または概念の1つであり、販売機会の少ない商品でもアイテム数を幅広く取り揃えること、または対象となる顧客の総数を増やすことで、総体としての売上げを大きくするものである。 |
(ウ) | 小売店舗の売場面積は限られているために、交差比率の低い「死に筋」商品を排除することが重要である。 →×:「死に筋」商品の判断基準は、交差比率ではなく商品回転率を用いることが多い。 |
(工) | 販売数量を期待できないが、他の商品の販売促進効果が期待できる商品群を「見せ筋」ということがある。 →○:見せ筋とは、客寄せに、売れる事を期待せずに販売される商品。 目立って華やかで人目を引くが、派手過ぎて買う気にはならないような商品であり、傍に店が実際に売りたい商品が置かれたりする。 |