平成27年度1次試験解答:財務・会計
設問16
解答:設問1:オ 設問2:ウ
(設問1)
2つの投資案のNPVの金額を計算する問題である。複利現価係数と年金現価係数が与えられているため、両者の使い分けに注意する。
・投資案A
各期末に生じるキャッシュフローの金額が同額でないため、複利現価係数を利用する。
NPV=70×0.93+60×0.86+50×0.79-120
=156.2-120=36.2=36(百万円)
・投資案B
各期末に生じるキャッシュフローの金額が同額のため、年金現価係数を利用する。
NPV=80×2.58(3年、年金現価係数)-160
=206.4-160
=46.4÷46(百万円)
よって、オが正解である。
(設問2)
独立投資による設備投資の採択に関する問題である。ただし、資金の制約がある点に注意を要する。
本問では、NPV法による投資案の採択の検討を行う。NPV法では「金額」を判定基準とするため、資金の範囲内で、NPVの金額が大きい投資案を順次採択することになる。NPVが大きい投資案を採択すれば、結果的に企業価値を最大化できる。
(設問1)にて投資案2と3のNPVが判明しているため(投資案1は問題で与えられている)、残りの投資案4のNPVを計算する必要がある。
・投資案C
各期末に生じるキャッシュフローの金額が同額のため、年金現価係数を利用する。
NPV=40×2.58(3年、年金現価係数)-120
=103.2-120
=△16.8(百万円)
投資案4のNPVはマイナスのため、棄却される。したがって、投資案1から3のNPVの金額が高い順に、資金の範囲内で採択していくことになる。
投資案1から3のNPVは、それぞれ投資案133百万円、投資案236百万円、投資案346百万円であるため、割り当てる優先順位は、投資案3→投資案2→投資案1となる。
投資案3の初期投資額160+投資案2の初期投資額120=280百万円
初期投資額の上限が380百万円であるから、残り380-280=100百万円分投資できる。しかし、投資案1の初期投資額は120百万円であるため、投資できない。
したがって、採択されるのは投資案2および投資案3となる。
よって、ウが正解である。