平成20年度1次試験解答:企業経営理論
設問31
解答:ア
(ア) | 顧客が頻繁に購入しない商品にポイント制度を適用すると、頻繁に購入する商品に比べて、その効果が大きく現れる。 →×:ポイントカードの導入の目的はポイントが貯まることにより頻繁に来店し、購買してもらうことにある。そのため頻繁に購入しない商品よりも頻繁に購入する商品の方が効果は大きい。 |
(イ) | 多数のポイントカードをすでに保有している顧客にとって、常に携帯されるポイントカードとなるには、高い魅力が必要である。 →○:多数のポイントカードをすでに保有している顧客に、自社での購入を促すためには、他店のポイントカードとは異なる高い魅力が必要である。 |
(ウ) | 複数の企業間でポイントを交換できたり、相互利用できるようになる傾向にあるが、利用顧客数の不均衡などで提携関係は必ずしも永続しない場合がある。 →○:複数の企業間でポイントを交換できたり、相互利用できるようになる傾向にある。しかし、利用顧客数の不均衡などで提携関係は必ずしも永続しない場合がある。 |
(工) | ポイント制度を、新会員を緒介してくれた現会員に向けて適用することによって、新規顧客の獲得を促進することができる。 →○:紹介ポイント制度を設けることで、新規顧客の獲得を促進することができる。各社が展開している「友達紹介キャンペーン」などがそれにあたる。 |
(オ) | ポイントを、単一企業内だけでなく複数の企業間で交換利用する場合は、プリペイドカード法による供託金は必要ではない。 →○:プリペードカードを発行する企業には供託金を義務付けているが、ポイントカードについては供託金は必要ない。 |
設問32
解答:エ
(ア) | 開業の資金や意欲は有しながら、十分な経営経験や店舗運営経験のない人でも、加盟店になることによって、独立の経営者となることができる。 →○:フランチャイズのメリットの一つに、事業経験がなくても、本部の指導によって事業を開始できることにある。 |
(イ) | 加盟店は、経営規模の拡大を目指して、任意に対象地城を設定することはできない。 →○:フランチャイズは、基本的に本部の出店計画に沿って加盟店を募集・開拓するので、任意に対象地城を設定することはできない。 |
(ウ) | 経営のノウハウを持っている本部が、たとえ、十分な資金を持っていなかったとしても、チェーンを大規模にすることができる。 →○:本部のメリットの一つに、限られた人材と資金で急速な販路の拡張や事業拡大が可能なことがある。 |
(工) | 小規模の独立の加盟店が、所有上の独立性を有したまま、共同仕入れなどの運営上の共同作業を行うものである。 →×:ボランタリー・チェーンに関する説明である。ボランタリー・チェーンとは、多数の独立した小売事業者が連携・組織化し、商標使用・仕入れ・物流などを共同化し、これを行う形態のことを指す。 これにより、仕入先との取引が大口化され、仕入れ単価の引き下げが期待できる。 |
(オ) | 本部は、加盟店から、経営指導などの対価としてロイヤルティを受け取る。 →○:本部は加盟店に対し経営指導や共同広告実施などを行いロイヤルティを受け取る。 |
設問33
解答:ア
(ア) | 価格ライン別の価格設定の場合は、各価格ライン内の製品のバリエーションに応じた多様な価格を設定する必要がある。 →×:価格ライン別の価格設定とはプライス・ライニングンのことである。プライス・ライニングとは、製品ラインのランクに応じて多段階な価格設定をするもので、この価格ランクをプライス・ラインや価格線ということから、価格ライン政策とも呼ばれます。例えば、ネクタイなどで見られる、3,000円均一、5,000円均一、一万円均一などが典型例で、普及品・中級品・高級品といったランクを設定し、そのランクに応じて同一価格を設定する方法である。すなわち製品のバリエーションに応じた多様な価格を設定するものではない。 |
(イ) | 競争志向型の価格設定のなかには、業界の平均的価格にあわせて価格設定する方法がある。 →○:競争志向型の価格設定とは、競争企業の価格を模倣したり、少し安くしたりして設定する方法で、プライス・リーダーシップが確立している領域の製品に対し多く行われる方法である。 |
(ウ) | 市場調査を行うことによって、顧客が知覚する価値を推定して、それをもとに価格設定していく方法がある。 →○:知覚価値価格設定法のことである。知覚価値価格設定法とは、マーケティング・リサーチなどにより、「売れる価格帯」を発見し、原価がそれよりも高い場合には、コスト削減や製品仕様の見直しなどを行い、その価格帯に原価を近づける手法のことである。 |
(工) | 市場をいくつかのセグメントに分けて、セグメントごとの需要の価格弾力性の差を利用して価格を設定する方法がある。 →○:正しい。例えば、富裕層というセグメントでは需要の価格弾力性は小さいと考えられるので、ある程度の高価格を設定しても問題ないと思われる。 |
(オ) | 複数の商品をセットにして、価格設定することがある。この場合には、そうしなければ購入しないであろう顧客にとって魅力的な価格を設定する必要がある。 →○:対象の商品単独では購入しない顧客に対し複数の商品をセットにしたものを購入させるためには、顧客にとって魅力的な価格を設定する必要がある。 |
設問34
解答:イ
カスタマーエクイティに関する問題である。カスタマーエクイティとは、顧客の資産価値のことであり、顧客がもたらす収益から、プロモーションなどのコストを差し引いた将来利益を現在価値に引き直したものである。。
企業全体のカスタマーエクイティは、既存顧客のカスタマーエクイティと新規顧客のカスタマーエクイティの合計で算出される。カスタマーエクイティの考え方は、どのような顧客がもっとも資産価値が高く、経営資源を振り向けるべきターゲットなのか示唆を与えてくれる。
(ア) | 顧客維持による収益が高いと見込まれる場合ほど、顧客獲得への投資は大きくなる傾向にある。 →○:顧客維持による収益が高い場合、顧客維持のために多額の投資をしても投資分を回収することは容易である。 |
(イ) | 顧客維持による収益が高くなく、顧客獲得時の投資を回収する期間が短い場合には、その顧客からの次期の収益を考えて投資する傾向にある。 →×:顧客維持による収益が高くなく、顧客獲得時の投資を回収する期間が長い場合には、その顧客からの次期の収益を考えて投資する傾向にある。顧客維持による収益が高くなく、顧客獲得時の投資を回収する期間が短い場合には、当期の収益を考えて投資することになる。 |
(ウ) | 顧客獲得の対象となるセグメント数を増加させるにつれて、増やしたセグメントでのレスポンス率が徐々に低下していく傾向にある。 →○:ターゲットとする顧客セグメントを増やしていけばいくほど、その顧客層からのレスポンス率は低下していく。 |
(工) | 見込み顧客の将来価値を予測して、それがその顧客の獲得コストを上回るかぎり顧客獲得に投資する傾向にある。 →○:将来にわたって収益が高いと思われる顧客に対して投資を惜しむべきではない。その結果、顧客獲得に投資する傾向にある。 |
設問35
解答:ウ
1962年のケネディ大統領による4つの権利とは、@安全を求める権利 A情報を知らされる権利 B選択する権利 C意見を反映させる権利である。また、 1975年にフォード大統領が追加した消費者の権利は、D消費者教育を受ける権利である。よって解答はウである。