平成20年度1次試験解答:企業経営理論
設問21
解答:ア
労働契約法は、労働契約に関する基本的な事項を定めた日本の法律である。2008年3月1日から施行された。
労働契約の原則(3条)
- 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。(1項)
- 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。(2項)
- 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。(3項)
- 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。(4項)
- 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。(5項)
(ア) | 労働契約は、雇用形態に応じた就業の実態に合わせて定められた個別基準により締結し、または変更すべきものとする。 →×:労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。(2項) |
(イ) | 労働契約は、労働者と使用者が仕事と生活の調和(ワークライフバランス)にも配慮しつつ締結し、または変更すべきものとする。 →○:労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。(2項) |
(ウ) | 労働契約は、労働者と使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、または変更すべきものとする。 →○:労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。(1項) |
(工) | 労働者と使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たって、それを濫用することがあってはならない。 →○:労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。(5項) |
(オ) | 労働者と使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に権利を行使し、義務を履行しなければならない。 →○:労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。(4項) |
設問22
解答:ウ
就業規則とは、労働条件や給与などの社内の労務管理のもっとも基本的なルールを定めるものである。
就業規則は3つに大別される。
- @絶対的記載事項(必ず記載しなければならない事項)
- 始業・就業時刻、休日、休憩時間、休暇、後退勤務の実施方法
- 賃金の決定・計算・支払い方法、締切り、支払い時期、昇給
- 退職に関する事項
A相対的記載事項(定めがある場合には記載が必要)
- 退職手当の適用を受ける労働者の範囲、金額の決定、計算方法、支払方法、支払い時期
- 賞与などの臨時の賃金、最低賃金
- 労働者が負担する食費、消耗品の費用
- 安全衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害補償、業務外の疾病扶助
- 表彰、懲罰の種類と程度
- その他当該事業場の全ての労働者に適用される事項
- B任意的記載事項(定めておきたい事項があれば記載)
- 従業員心得
- 福利厚生に関する事項
(ア) | 解雇の事由を含む退職に関する事項 →○:絶対的記載事項 3に該当する。 |
(イ) | 始業・終業時刻や休憩時間および休日・休職など労働時間に関する事項 →○:絶対的記載事項 1に該当する。 |
(ウ) | 賞与・期末手当および退職手当に関する事項 →×:相対的記載事項 2に該当する。 すなわち絶対的記載事項ではない。 |
(工) | 貸金の決定や昇給,貸金締切日・計算方法・支払日および支払方法など貸金に関する事項 →○:絶対的記載事項 2に該当する。 |
設問23
解答:エ
(ア) | 特別加入ができる中小企業は、自社の労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していることが必要である。 →○:特別加入の要件として、自社の労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していることが必要である。 |
||||||||
(イ) | 特別加入している事業主等は事業主や役員としての業務遂行中の災害については保険給付の対象とされていない。 →○:特別加入したものは労働者とみなされる。すなわち特別加入社に対する労災保険の保護の範囲は労働者の行う業務のみであり、事業主や役員としての業務は保護の範囲に含まれない。 |
||||||||
(ウ) | 特別加入の対象となる中小企業には、業種や企業規模などにより一定の範囲がある。
|
||||||||
(工) | 特別加入の申請手続きは、事業主が事業場を管轄する労働基準監督署に直接行うことになっている。 →×:中小事業主等が特別加入するためには、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した日について労働保険事務組合の証明を得たうえで、申請書を所轄労働基準監督署長を系有して所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。 |
設問24
解答:オ
(ア) | CDP(キャリア・ディベロップメント・プログラム)は、社員各自の希望と企業の人材ニーズに照らした長期的なキャリア・プランに基づく教育訓練と人事評価や処遇を合わせて行う必要がある。 →○: CDPとは、個人の適性、希望等を考慮しながら、教育研修や配属を組み合わせ、長期的に従業員を育成していくプログラムである。社員各自の希望と企業の人材ニーズに照らした長期的なキャリア・プランに基づく教育訓練と人事評価や処遇を合わせて行う必要がある。 |
(イ) | OFF-JTは、集合教育、外部の講習会への参加などで、通常の業務遂行外で行われるため、計画的に実施することができる長所がある。 →○:OFF-JTとは、職務の遂行を通じて教育を行うOJTに対して、職場を離れて行われる人材教育のこと。一般に講師やインストラクターによって行われる集合研修を指すが、一時的に本職以外の職場を経験させたり、他企業(教育ベンダなど)が行う専門技術の訓練を受けさせること、あるいは大学などの教育専門機関へ派遣(留学)、さらには自主的な学習活動を含む場合がある。 |
(ウ) | OJTは、上司や先輩が部下に対して日常的に業務上の知識や技能を指導する方法で、その成果が仕事に直接反映されやすい長所がある。 →○:OJT(On-the-Job Trainingの略)とは企業内で行われる職業指導手法のひとつで、職場の上司や先輩が部下や後輩に対し、具体的な仕事を通じて、仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを、意図的・計画的・継続的に指導し、修得させることによって、全体的な業務処理能力や力量を育成するすべての活動である。実務の中で仕事を覚えるので、仕事に直接反映されやすい。 |
(工) | 教育訓練は、一般に階層別教育訓練、職能別教育訓練および課題別教育訓練から構成される。 →○:正しい |
(オ) | 自己啓発は、社員の自発性に根ざした自らが必要と考えている業務上の知識のレベルアップや他の知識の取得および自己の関心事について自ら挑戦することで、自己啓発意欲を支壌する趣旨から企業がその費用の一部を支援する義務がある。 →×:自己啓発は、社員の自発性に根ざした自らが必要と考えている業務上の知識のレベルアップや他の知識の取得および自己の関心事について自ら挑戦することである。ただし、自己啓発意欲を支壌する趣旨から企業がその費用の一部を支援する義務はない。 |
設問25
解答:イ
(ア) | 60歳台前半の老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)の支給開始年齢は、生年月日や性別に応じて段階的に引き上げられている。 →○:年金法の改正で、老齢厚生年金の支給が60才から65才に引き上げられた。このため、年金の支給を段階的に、スムーズに行なうために、設けられたのが「特別支給の老齢厚生年金」の制度である。 |
(イ) | 60歳台前半の老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)は、その受給権者が厚生年金保険の被保険者として在職している場合でもその全額が支給される。 →×:老齢厚生年金は、報酬等に応じて減額される。すなわち全額が支給されるわけではない。 |
(ウ) | 遺族給付には、厚生年金保険の被保険者や老齢厚生年金・障害厚生年金(除く障害等級 3級)の受給権者などが亡くなった場合に、その遺族に支給される遺族厚生年金がある。 →○:遺族給付には、厚生年金保険の被保険者や老齢厚生年金・障害厚生年金(除く障害等級 3級)の受給権者などが亡くなった場合に、その遺族に支給される遺族厚生年金がある。 |
(工) | 障害給付には、障害等級に応じた障害厚生年金と、障害手当金(一時金)がある。 →○:障害給付には、障害等級に応じた障害厚生年金と、障害手当金(一時金)がある。 |
(オ) | 老齢給付には、 60歳台前半の老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)と60歳台後半以降の老齢厚生年金がある。 →○:老齢給付には60歳代前半に支給される特別支給の老齢厚生年金と65歳から支給される老齢厚生年金がある。 |