設問1
下請の再編が活発になっているとはいえ、欧米に比べてわが国の下請企業の親企業との取引関係は安定的で、継続される傾向が強い。その理由として最も適切なものはどれか。
【解答群】
(ア) |
下請関係では、株式の相互持合いが前提になっているから。 |
(イ) |
多数の取引先企業のうち、最も安価な納入単価の企業だけが生き残るから。 |
(ウ) |
特殊化した生産技術によって結ばれているため、親企業が下請企業を切り替えると不利益になるから。 |
(工) |
取引相手の選別に取引コストがかかりすぎるので、既存の取引が温存されるから。 |
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設問2
家庭用VTR ではVHS 規格の陣営が業界標準を確立した。他方、LP レコードに代わって登場したコンパクト・ディスクでは、ある企業が打ち出した規格が世界を統一してしまった。このように、@特定の規格が業界の標準になる現象が多くみられる。
このような場合、規格による市場の支配を狙って、企業間競争はライバルがしのぎを
削って争いながらも、協調的な関係が発展するといった、矛盾する企業間関係が成立することが少なくない。ある規格が優勢になるには、Aいくつかの条件が必要であり、
それが独特な企業間競争を生み出しているのである。
(設問1)
文中の下線部@のデファクト・スタンダードの説明として最も適切なものはどれか。
【解答群】
(ア) |
JIS 規格の認証が業界標準には不可欠である。 |
(イ) |
技術的優位性がデファクト・スタンダードを決定づける。 |
(ウ) |
当該規格の普及率がデファクト・スタンダードの決め手になる。 |
(工) |
標準化機関がデファクト・スタンダードの決定を行っている。 |
(設問2)
文中の下線部Aの条件の説明として最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
(a) |
クリティカル・マスを狙って、クリーム・スキミング戦略を展開する。 |
(b) |
ネットワーク外部性を働かせて、ユーザーの便益を高める。 |
(c) |
補完財の参入を封じ込め、市場を独占する。 |
(d) |
多様な方策や営業努力を積み重ね、利用者をいち早く増やす。 |
【解答群】
(ア) |
a とb |
(イ) |
a とc |
(ウ) |
b とc |
(工) |
b とd |
(オ) |
c とd |
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設問3
次の文章を読んで、以下の設問に答えよ。
業界の中には特定の形態や戦略行動を示す企業群が生まれる。このような企業群の変動は、個別企業レベルでの変異の発生、@変異した企業と既存企業との間の淘汰、選択された変異特性の維持と普及といった一連のプロセスをたどる。このことに注目してA業界を企業群の進化プロセスとして分析することが行われ、戦略策定に活用されている。
(設問1)
文中の下線部@の淘汰に関する説明として最も適切なものはどれか。
【解答群】
(ア) |
ある変異特性を持った企業が生き残るには、同類が多くならないようにその特性の普及を防ぐべきである。 |
(イ) |
経営資源が最も豊富な企業が、最強の企業として勝ち残る。 |
(ウ) |
自然淘汰が展開され、環境に適した変異特性を持つ企業が選択される。 |
(工) |
敵対的な環境条件で生き残るために、分権的な管理によって活発に変革を図る。 |
(設問2)
文中の下線部Aに関する説明として最も不適切なものはどれか。
【解答群】
(ア) |
新しく生まれた企業は古い企業に比べて消滅率が高い。 |
(イ) |
業界の企業数は市場の規模に依存するが、企業の戦略行動に影響を与えることはない。 |
(ウ) |
業界を構成する企業数が増えるにつれて業界の社会的な認知は高まるが、企業数の増加は競争を激化させる。 |
(工) |
個々の企業群は、ある時期支配的であった戦略や組織形態を維持する傾向がみられる。 |
(オ) |
古い企業は環境適応力を次第に失い、環境の変化が起こると消滅しやすくなる。 |
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設問4
業界のリーダー企業の競争戦略に関する説明として最も不適切なものはどれか。
【解答群】
(ア) |
経営資源の優位性を生かして、非価格競争をする。 |
(イ) |
市場全体を広げるべく周辺需要の拡大を図る。 |
(ウ) |
フォロワー企業の商品の模倣や追随はしない。 |
(工) |
マーケット・シェアを高めて、フォロワー企業に差をつける。 |
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設問5
企業は戦略的な課題を解決するために、必要な情報を収集して適切な意思決定をしようとする。
しかし、情報の収集は決して容易ではない。その理由の説明として最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
(a) |
形式化された定常的な情報のフローが膨大で、企業が必要な情報を特定化する能力を超えている。 |
(b) |
重要な情報は特定の箇所に偏在する傾向が強く、入手にコストとリスクがかかる。 |
(c) |
情報の受け手の吸収能力や送り手への信頼が低い場合、情報を移転することが困難である。 |
(d) |
情報技術の進歩によって情報の移転コストは低下したが、情報の単位当たり処理コストは上昇している。 |
【解答群】
(ア) |
a とb |
(イ) |
a とc |
(ウ) |
b とc |
(工) |
b とd |
(オ) |
c とd |
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設問6
競争環境に自社を位置づけることから生まれる競争優位の説明として最も適切なものはどれか。
【解答群】
(ア) |
多数の企業が完全競争する業界では、価格メカニズムが正常に働くので、合理的な意思決定が実現されて、企業の収益性は概してよい。 |
(イ) |
中小企業が大多数の業界では、大手企業が支配的地位を比較的容易に築く可能性が高いが、零細市場ゆえに収益性は低くなる。 |
(ウ) |
取引ネットワークの中心に位置する企業は、情報処理コストがかさんで収益性が低下する。 |
(工) |
ライバル間の競争は、ライバル企業の数が多くなるほど、また逆に少なくなるほど激しくなる。 |
(オ) |
立地、店舗ディスプレー、価格で優位な地位を得るには、ブランドの形成が有効である。 |
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設問7
業界は、ある製品をめぐって原材料、部品等の中間製品、組み立て、ソフトやコンテンツの開発などのインプットからアウトプットまでの一連のビジネス活動を担う多数の企業から構成されている。こうした一連のビジネス活動は、マージンを目指して連結された@バリューチェーン(価値連鎖)をなしており、各段階で獲得できる価値の総額は、製品の生産に必要な資産を獲得する必要最小支払額を上回る需要によって決まる。したがって、Aこの必要最小支払額を低く抑えて、需要を拡大することが重要である。
(設問1)
文中の下線部@の価値連鎖に関する説明として最も適切なものはどれか。
【解答群】
(ア) |
価値連鎖上で収益性の最も高い部分には、独占的な地位の強い企業が常に存在する。 |
(イ) |
価値連鎖で創造された価値は、業界の協定によって分配される。 |
(ウ) |
収益性の高い価値連鎖部分に自社製品を位置づけることは、売上を伸ばすためには最も重要である。 |
(工) |
収益性の高い価値連鎖部分は、新規参入を呼び込みやすい。 |
(設問2)
文中の下線部Aに関する説明として最も適切なものはどれか。
【解答群】
(ア) |
寡占化が進行するとともに、需要は減少することが多い。 |
(イ) |
代替品の価格低下は、業界の需要を伸ばし収益性を高めることが多い。 |
(ウ) |
低価格の補完品の供給は、業界の需要を伸ばすことが多い。 |
(工) |
ライバル企業との低価格競争は、生産資源獲得の必要最小支払額を上昇させることが多い。 |
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設問8
情報通信技術の発展にともなって、時間や地理的空間の壁を超えて、バーチャルな情報空間で企業がネットワークを組むことが行われるようになった。準組織的な特性をもつネットワークでは、市場での取引に比べて@取引で発生するコストやリスクが低くなるので、ネットワークを介して外注を行って、自社で生産や販売などの資本コストを節約することが可能である。さらに、A情報通信ネットワークを利用して、様々な取引が効率的に行われるようなインフラを提供するビジネスも現れるようになった。そこではB中核となる能力に資源を重点配分し、その他はネットワークを介してアウトソーシングが行われている。しかし、その反面では、Cこのようなネットワーク戦略は大きな落とし穴をもつことに注意しなければならない。
(設問1)
文中の下線部@について、市場での取引がネットワークでの取引に比べてコストやリスクが高くなる理由を説明するものとして最も不適切なものはどれか。
【解答群】
(ア) |
希少で不可欠な資源を独占する取引相手には、拮抗力がなければ従わざるをえない。 |
(イ) |
市場は相手をだましてでも有利に振る舞おうとする利己的な取引相手ばかりである。 |
(ウ) |
少数の取引相手が有利な取引情報を占有しがちである。 |
(工) |
取引情報には不確実性がつきまとう。 |
(設問2)
文中の下線部Aのようなビジネスの名称として最も適切なものはどれか。
【解答群】
(ア) |
Eコマース・ビジネス |
(イ) |
テクノプロデュース・ビジネス |
(ウ) |
テクノロジー・ライセンシング・ビジネス |
(工) |
プラットホーム・ビジネス |
(オ) |
マルチ・エージェンシー |
(設問3)
文中の下線部Bは一般にコア・コンピタンスと呼ばれている。コア・コンピタンスであるための条件の説明として最も不適切なものはどれか。
【解答群】
(ア) |
具体的な製品やサービスに結びつき、販売力を高める能力であること。 |
(イ) |
ビジネスの全プロセスをカバーするフルセットな能力であること。 |
(ウ) |
広く顧客から認知される価値を生み出す学習能力をもつこと。 |
(工) |
ライバルよりも優れた競争能力であること。 |
(設問4)
文中の下線部Cの落とし穴として注意すべきものはどれか、最も適切なものを選べ。
【解答群】
(ア) |
アウトソーシングは、自社能力を特定分野に限定することによって、企業の競争力を弱める。 |
(イ) |
時間の経過と共にネットワークが硬直化して、メンバーの発言力が弱くなる。 |
(ウ) |
重要な経営資源やコア・コンピタンスの支配力を失いやすくなる。 |
(工) |
ネットワークはメンバー企業に対して長期的には外部不経済をもたらす。 |
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設問9
中小企業はニッチをねらった戦略がふさわしいと語られることが多い。ニッチ戦略についての説明として最も適切なものはどれか。
【解答群】
(ア) |
ある分野で非価格的な競争優位を狙うときニッチ戦略になる。 |
(イ) |
オンリーワン戦略はニッチ戦略を言い換えたものであり、停滞する地場企業で採用されるのが定石である。 |
(ウ) |
系列は、大手企業がカバーできないニッチを囲い込んだ結果である。 |
(工) |
ニッチ戦略は隙間市場を狙うので、収益性が悪くなる。 |
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設問10
スピードの経済が重要になるにつれて、開発から販売にいたるプロセスをいかに早く推進するかというタイムベースの戦略が注目されるようになった。タイムベース戦略についての説明として最も適切なものはどれか。
【解答群】
(ア) |
新たなブランド・イメージを形成するのに有効である。 |
(イ) |
既存市場から大規模市場への市場標的の切り替えが容易になる。 |
(ウ) |
生産効率の改善と製品在庫の増大というトレードオフが発生する。 |
(工) |
製品寿命を短縮化するので、中小企業には向かない戦略である。 |
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