平成20年度1次試験解答:中小企業経営・中小企業政策
設問21
解答:設問1:イ 設問2:エ
中小企業新事業活動促進法は、「経営革新」(新たな取り組みによる経営の向上)の他、「創業」(新規開業〜設立5年未満の会社の新事業活動の支援)「新連携」(2社以上の異業種中小企業の新事業活動の支援)の3つの柱があり、全国の挑戦する中小企業を様々な支援策で応援することを目的としている。
設問22
解答:設問1:イ 設問2:エ
(設問1)
下請代金支払遅延等防止法とは、下請代金の支払遅延等を防止することで、親事業者の下請事業者に対する取引を公正にし、下請事業者の利益を保護するものである。親事業者(発注者)・下請事業者(受注者)の定義は、下記を参照する。
- (1)物品の製造・修理委託及び情報成果物作成委託・役務提供委託(プログラム作成、運送、物品の倉庫における保管及び情報処理に係るもの)の場合
-
親事業者 下請事業者 資本金3億円超
資本金3億円以下(個人を含む) 資本金1千万円超3億円以下
資本金1千万円以下(個人を含む) - (2)情報成果物作成・役務提供委託(プログラム作成、運送、物品の倉庫における保管及び情報処理に係るものを除く)の場合
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親事業者 下請事業者 資本金5千万円超
資本金5千万円以下(個人を含む) 資本金1千万円超5千万円以下
資本金1千万円以下(個人を含む)
(ア)〜(工)は全て、(1)物品の製造・修理委託及び情報成果物作成委託・役務提供委託(プログラム作成、運送、物品の倉庫における保管及び情報処理に係るもの)の場合 である。
(ア) | 自動車ディーラー(資本金500万円)が、請け負った自動車の修理作業を修理会社(個人経営)に委託する。 →×:親事業者(自動車ディーラー)の資本金が1,000万円未満である。 |
(イ) | 自動車メーカー(資本金5億円)が、自動車の部品の製造を部品メーカー(資本金2億円)に委託する。 →○:親事業者の資本金が3億円超であり、下請事業者の資本金が3億円以下である。 |
(ウ) | 電機メーカー(資本金1億円)が、販売した製品の修理用部品の製造を部品メーカー(資本金5,000万円)に委託する。 →×:親事業者は、資本金1千万円超3億円以下であるが、下請事業者は資本金1千万円以下ではない。 |
(工) | 電機メーカー(資本金2億円)が、電気製品の部品製造に必要な金型の製造を金型メーカー(資本金1億円)に委託する。 →×:親事業者は、資本金1千万円超3億円以下であるが、下請事業者は資本金1千万円以下ではない。 |
(設問2)
親事業者は、下請代金をその支払期日までに支払わなかったときは、下請事業者に対し、物品等を受領した日(役務提供委託の場合は、下請事業者が役務の提供をした日)から起算して60日を経過した日から実際に支払をする日までの期間について、その日数に応じ当該未払金額に年率14.6%を乗じた額の遅延利息を支払う義務がある。よって回答はエである。
設問23
解答:エ
T氏 | : | 「物流効率化専門指導員派遣事業を利用すれば、物流効率化アドバイザーから、物流の効率化を図る上での諸課題に関するアドバイスをうけることができます。」 |
S氏 | : | 「費用負担は。どのようになるのですか。」 |
T氏 | : | 「アドバイザーへの謝金の【A:3】分の1について自己負担となります。」 |
S氏 | : | 「申し込みをするには、どうすればよいのですか。」 |
T氏 | : | 「【B:独立行政法人中小企業基盤整備機構】に申し込みをしてください。【B:独立行政法人中小企業基盤整備機構】からアドバイザーが派遣されます。」 |
支援目的・利用目的 | 利用目的:物流効率化, 相談 支援目的:商業・物流支援, 相談・情報提供 |
支援形態・支援手法 | 専門家派遣 |
対象者(利用条件) | 中小企業者、主として中小企業者で構成される組合・任意団体、公益法人 |
事業内容 (支援内容の概略) | 物流効率化を図る上での諸課題(投資規模・効果の検討、パートナーの問題、物流コストの削減、どのような支援策が受けられるか等)に関するアドバイスを受けることが可能(アドバイザー謝金の3分の1についてのみ自己負担) 利用方法 1.中小企業基盤整備機構に申し込み(申し込みは、随時受け付け) 2.中小企業基盤整備機構からアドバイザーを派遣 3.中小企業基盤整備機構に対し、アドバイス内容等を報告 |
窓口・連絡先 | 中小企業基盤整備機構 |
設問24
解答:ウ
有限責任事業組合(LLP)に関する問題である。
(ア) | 開発投資による損失を、組合員の所得と通算できる。 →○:有限責任事業組合(LLP)では、パススルー課税が採用されているので正しい。なお、パススルー課税とは、法人等の利益に対して課税せず、その構成員の所得に対して課税する課税制度のことである。 |
(イ) | 開発への貢献の大きい組合員に、出資比率以上の議決権と利益を分配することができる。 →○:有限責任事業組合(LLP)では、開発への貢献等、組合事業への貢献度に応じて議決権と利益を分配することができる。 |
(ウ) | 貸借対照表の作成が不要である。 →×:有限責任事業組合(LLP)では、債権者保護の観点から、損益計算書、貸借対照表等を作成し、債権者の求めに応じて開示する義務がある。 |
(工) | 取締役会の設置が不要である。 →○: 有限責任事業組合(LLP)では、組織構造を柔軟に設定することができる。株式会社とは異なり、必ずしも取締役会を設置する必要はない。 |
(オ) | 利益が出れば、LLPには課税されず、組合員への利益分配に直接課税される。 →○:有限責任事業組合(LLP)では、パススルー課税が採用されているので正しい。なお、パススルー課税とは、法人等の利益に対して課税せず、その構成員の所得に対して課税する課税制度のことである。 |
設問25
解答:イ
中小企業退職金共済制度とは、中小企業者の相互共済と国の援助で退職金制度を確立し、これによって中小企業の従業員の福祉の増進と、中小企業の振興に寄与することを目的とした制度である。この中小企業退職金共済制度では、事業主が独立行政法人勤労者退職金共済機構(中退共)と退職金共済契約を結び、毎月の掛金を金融機関に納付する。従業員が退職したときは、その従業員に中退共から退職金が直接支払われる。