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平成15年度1次試験解答:中小企業経営・中小企業政策

設問11

解答:設問1:ア 設問2:イ

(設問1)
以下に選択肢の各用語の説明を記す。

(ア)外部経済
ある経済主体の意思決定(行為・経済活動)が他の経済主体に経済機構(市場)を通さずに及ぼす影響のことである。
(イ)規模の経済
生産規模の拡大に伴ってコストが下がり、効率が上昇することである。
(ウ)代替効果
ある財の価格が変動した時の他の財の需要変動量のことである。例えば紅茶とコーヒーを考えた時に紅茶の値段が上がったら紅茶を飲む人が減り、コーヒーを飲む人が増える効果がこれにあたる。
(エ)範囲の経済
異なる複数の事業の共有可能なコストを一元化することにより、企業全体の経営の効率化を図ることである。

よって、「近辺に他店が多く存在するということ自体が自店の売上増加に貢献する」というのは(ア)外部経済に該当する。

(説明2)
以下に選択肢の各用語の説明を記す。

公共財
道路や法律のようにすべての人々に共同で消費または利用される財のこと
補完財
コーヒーと砂糖、自動車とガソリンのように、同時に需要される傾向のある財のこと
買回り品
品質や価格などの面において複数の店舗や類似商品を十分に比較検討した上で購入する傾向の強い商品のこと
最寄り品
最寄りの店舗など身近なところで購入する傾向の強い商品のこと

すなわち、

 商店街の活性化のためには、個店の魅力を増す努力や魅力的な新規店舗の誘致の他に、魅力ある環境の整備(雰囲気作り、共同イベント)が重要である。しかしそれは【B:公共財】的な性質を持つため、「ただ乗り」が生じて活動が低調になるおそれがある。 そのため、商店の参加意識と団結の強さが、活性化の鍵になる。
 確かに商店街は多様であり、それらは店舗構成によって、@【C:最寄り品】の店が中心で、日用品などの日常的な買い物をする「近隣型」、A【C:最寄り品】 と【D:買回り品】の店が混在し、@よりも広い範囲から来訪者を集める「地域型」、B【C:最寄り品】 より【D:買回り品】の店が多く、遠距離からの来訪者が多い「広域型」の3つの類型に区分される。商店街の類型によって直面する課題は異なると考えられるが、参加意識と団結の強さが重要である点に変わりはない。

となる。よって(イ)B:公共財 C:最寄り品 D:買回り品が解答となる。

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設問12

解答:設問1:ウ 設問2:イ(b とc) 設問3:オ(c とd とe)

(設問1)
中小企業白書 2002(平成14)年版 創業者・創業希望者・創業非志向者の比較(年齢別)より創業者は創業希望者と比べて平均年齢が高いことが分かる。

中小企業白書 2002(平成14)年版 第2-1-4図 創業者・創業希望者・創業非志向者の比較(学歴別)より大学・大学院卒の割合は低い傾向があることが分かる。

よって【(ウ)創業者は創業希望者と比べて平均年齢は高いが、大学・大学院卒の割合は低い傾向がある。】が解答である。

(設問2)
中小企業白書 2002(平成14)年版 (2)業種別の開業率は何により決まるかには次の記述がある。

 業種別の開業率の相違を決めるものは何であり、業種のどのような特性が開業率に影響するのであろうか。考えられる要因を挙げてみよう。
  まず産業の最小最適規模である。最小最適規模が小さい業種は参入が容易であり、開業率が高いと考えられる。次に研究開発や広告宣伝を盛んに実施しなければならない業種、既存企業の寡占度が高い業種では新規参入に対する障壁が高く、開業率が低い可能性がある。また業種としての利益率、成長率の高さは当該業種での開業率の高さにつながるであろう。

よって(イ)b とcが解答である。

(設問3)
中小企業白書 2002(平成14)年版 第2-1-35図 開業後3年間の従業者数変化率(製造業・事業所の属性別)より@小規模(9人以下)、A研究開発集約型業種、B法人形態の事業所がスタートアップ期に高成長が期待できる。よって(オ)c とd とeが解答である。

中小企業白書 2002(平成14)年版 第2-1-36図 新規開業企業(開業後2年以内)の収支状況(黒字基調企業の割合)より

開業時の企業規模が大きいほど、成長率が高い。
→×:小規模で開業した事業所ほど、成長率は高い。これは、小規模で参入した開業者ほど、規模の過小性による不利益を克服するべく成長に尽力することによるものと考えられる。
開業時の創業者年齢が高いほど、成長率が高い。
→×:開業時の創業者年齢が低いほど成長率が高い。これは、次の二つの面からの説明が考えられる。一つには、若い世代の方が良くも悪くも経験が少ないことから逆に通念にとらわれずに創造性が大きく、柔軟に 行動できることである。あるいは、高年齢になるほど、失業を契機とする等積極的でない理由による開業が増えていることが影響している可能性がある。
研究開発集約型業種の企業は、他の業種の企業と比べて成長率が高い。
→○:研究開発集約型業種に属する事業所の方が、成長率が高い。これらの事業分野の新規参入者には、既存事業者とは異なる技術を持って参入する結果、誕生直後からの急成長につながる者がいるのではないかとも考えられる。
現在の事業に関連した仕事の経験を経営者が長く積んでいるほど、成長率が高い。
→○:事業経験が長い者ほど好業績といえる。事業のノウハウや人脈の豊富さの差だと考えられる。
法人企業として開業するほうが、個人企業として開業するより成長率が高い。
→○:開業形態では、株式会社や組合等の法人を設立して開業した方が、個人形態で開業した事業所と比較して成長率は高い。これは個人事業と法人企業の信用力・担保力の差だと考えられる。

よって【(オ)c とd とe】が解答である。

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設問13

解答:設問1:ウ 設問2:イ

(設問1)
中小企業白書 2002(平成14)年版 第2-3-24図 民事再生手続の申立て割合(資本金規模別)より

(ウ)資本金1、000万円以上1億円未満の法人企業が解答である。

(設問2)
  民事再生法による再建を目指す際には、次の対応をすることが不可欠である。

  1. 実質的な経営破綻に陥る前に申請するといった早期の意思決定
  2. 金融機関や取引先など債権者に対する誠実な対応により再建への理解を得ること
  3. 実行性のある再建計画を作成すること

すなわち

経営が実質的に破綻する以前に、早めに申請すること
→○:1に該当する。
経営者が速やかに交替し、債権者からの信頼を確保すること
→×:該当するものがない。民事再生法では債務者自らが再建計画を立てる。
債権者に誠実に対応し、経営再建への理解を得ること
→○:bQに該当する。
実現可能な再建計画を作成・提示すること。
→×:bRに該当する。

よって(イ)a:正 b:誤 c:正 d:正が解答である。

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設問14

解答:ア

(ア)規模の経済性よりも範囲の経済性や相乗効果を重視すべきである。
→○:共同研究開発においては規模の経済性よりも範囲の経済性やは参加各社が互いに得意分野を持って経営資源を相互に補完しあうといった相乗効果を重視すべきである。
(イ)自社の技術ノウハウを連携相手企業にできるだけ知られないよう、情報交換には慎重を期すべきである。
→×:連携相手企業とはお互いに自社の技術やノウハウを提供する必要がある。
(ウ)自社の中核的技術に特化するよりも、できるだけ幅広い分野の技術知識を蓄えておくべきである。
→×:中小企業は経営資源が限られていることもあり中核的技術に特化するべきである。
(エ)新製品の開発のめどが立つまでは、販路のことを考えるよりも研究開発に神経を集中するべきである。
→×:新製品の開発とともに、販路も考慮に入れる必要がある。

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設問15

解答:ウ

a:サービス業にあっては、「資本の額又は出資の総額が5、000万円以下」、「常時使用する従業員の数が100人以下」のどちらか一方の基準が満たされれば中小企業に該当する。
→○:サービス業の定義は資本金5千万円以下又は従業者数100人以下である。
b:独立中小企業と大企業の子会社等を区別するため、中小企業の規定に「質的規定」が加味されている。
→×:資本金基準と従業員基準のみであり、質的規定は加味されていない。
c:卸売業は小売業とは区別されずに商業として一括されている。
→×:中小企業の定義においては卸売業と小売業は区別されている。

よって(ウ)a:正、b:誤、c:誤が解答である。

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