平成15年度1次試験解答:中小企業経営・中小企業政策
設問6
解答:ウ
中小企業白書 2002(平成14)年版 産業別規模別事業所・企業数(民営) (2)企業ベース によると
a | 製造業 | 605,212 |
b | 卸売業 | 293,903 |
c | 小売業 | 1,084,209 |
d | サービス業(飲食店を含めない) | 1,181,827 |
である。よって【(ウ)d―c―a―b 】が解答である。
設問7
解答:設問1:ウ 設問2:イ 設問3:ウ
(設問1)
規模が小さいほど、直接金融を不実施かつ利用もしたくない企業の割合が多い。
中小企業の新たな資金調達手段には、次のものがある。
- 金融機関引受私募債の発行
- 売掛債権担保借入
- 売掛債権の流動化
- 投資事業組合からの出資
(ア)売掛債権の証券化
→○:3に該当する
(イ)金融機関引受私募債の発行
→○:1に該当する
(ウ)公募債の発行
→×:債券を発行し広く投資家を募る、公募債やコマーシャルペーパーの発行も困難である。公募債やコマーシャルペーパーは証券取引法や内閣府令に基づいて有価証券届出書(通知書)等が求められている。これらのディスクローズについての負担や格付取得コスト等を勘案すると通常の中小企業にとっては、ハードルは高い。
<中小企業白書 2002(平成14)年版 (2)高い株式公開や公募債発行のハードル >
(エ)投資事業組合からの出資
→○:4に該当する
よってウが解答である。
(設問2)
中小企業白書 2002(平成14)年版 付注2-4-1 企業の属性と短期借入金利 5.解説より中小企業の中でも短期借入金利の低い企業の特徴として次のものがある。
- 従業員数が大きいほど金利は安くなる。
- 企業年齢が若いほど金利は安くなる。(統計的には有意ではない)。
- 自己資本比率が高いほど金利は安くなる。
- 総資本営業利益率が高いほど金利は安くなる。(統計的には有意ではない)。
- 債務償還年数が短いほど金利は安くなる。
- メインバンクが信金・信組から地銀・第二地銀そして大手行になるに従って金利は安くなる。
- 取引金融機関数が少ないほど金利は安くなる。
- メインバンクとの取引年数が長くなるほど金利は安くなる。
- メインバンクへの依存度が低いほど金利は安くなる。
すなわち
a | 自己資本比率が高い。 →○:3より正しい |
b | 業歴が長い。 →×:2より誤りである。業歴と金利との間に有意な関係はない。 |
c | 都市銀行または信託銀行をメインバンクとしている。 →○:6より正しい |
d | メインバンクとの取引年数が長い。 →○:8より正しい |
e | 総資本営業利益率が高い。 →×:4より一見正しいが、統計的には有意ではないので誤りである。 |
となる。よって(イ)a とc とdが解答である。
(設問3)
中小企業白書 2002(平成14)年版 付注2-4-2 企業の属性とメインバンクの借入申込対応 5.解説よりメインバンクが融資を拒絶・減額する可能性が高いのは、借入申し込み企業が次のような特徴を持つ場合が多い。
- 従業員数が大きいほど借入拒絶の可能性は小さくなる。
- 企業年齢が若いほど借入拒絶の可能性は小さくなる(統計的には有意ではない)。
- 自己資本比率が高いほど借入拒絶の可能性は小さくなる。
- 総資本営業利益率が高いほど借入拒絶の可能性は小さくなる。
- 債務償還年数が短いほど借入拒絶の可能性は小さくなる。
- メインバンクが大手行から地銀・第二地銀そして信金・信組になるほど借入拒絶の可能性は小さくなる。
- 取引金融機関数が少ないほど借入拒絶の可能性は小さくなる。
- メインバンクとの取引年数が長くなるほど借入拒絶の可能性は小さくなる。
- メインバンクへの依存度が低いほど借入拒絶の可能性は小さくなる(統計的には有意ではない)。
- 基本的に金利が安くなる要素と借入拒絶の可能性が小さくなる要素も同じであるが、総資本営業利益率が統計的に有意になる点とメインバンク依存度が有意にならなくなる点が異なる。また、金利ではメインバンクの業態が信金・信組から地銀・第二地銀そして大手行となるに従って有利な条件となっていたが、借入申込対応については逆に大手行から地銀・第二地銀そして信金・信組になるに従って有利となる可能性が高い。
すなわち
(ア)自己資本比率が高い。
→×:bRより自己資本比率が高いとメインバンクが融資を拒絶・減額する可能性が低くなる。
(イ)業歴が長い。
→×:bQより企業年齢は有意な関係はない。
(ウ)都市銀行または信託銀行をメインバンクとしている。
→○:bUより正しい。
(エ)メインバンクとの取引年数が長い。
→×:bWよりメインバンクとの取引年数が長くなるほど借入拒絶の可能性は小さくなる。
(オ)総資本営業利益率が高い。
→×:bSより総資本営業利益率が高いほど借入拒絶の可能性は小さくなる。
となる。よって(ウ)が解答である。
設問8
解答:設問1:ア 設問2:エ
中小企業白書 2002(平成14)年版 付注1-3-1 海外生産増による国内製造業への生産誘発効果及び雇用誘発効果の推計方法についてより
(設問1)
国内生産への効果(直接効果)は4つの要素に分類できる。
- 資本財輸出誘発効果
- 海外の生産移転先の建設・稼動等で必要となる資本財を日本国内の親会社から調達することにより、国内からの輸出が増加する効果。
- 中間財輸出誘発効果
- 海外生産拠点で必要となる部品などの中間財(生産財)を、日本の親会社から調達することにより国内からの輸出が増加する効果。
- 輸出代替効果
- 海外の生産移転先において生産された製品が第三国に輸出される場合、それが本来日本国内からの輸出を代替することにより、国内からのそれらの国々への輸出を減少させる効果。
- 逆輸入効果
- 現地において作られた完成品が日本に輸出(日本側にとっては輸入)されることで、日本国内において本来国内需要向けに作られた製品の生産を代替してしまい、国内生産にマイナスへと作用する効果。
よって
(ア)日本企業の海外生産拠点で生産された製品が第三国に輸出されることによって、日本からの輸出が代替される効果
→○:輸出代替効果に関する説明である。
(イ)日本企業の海外生産拠点で生産された製品が日本に輸出されることによって、外国企業の日本への輸出が代替される効果
→×:日本国内から見た場合には、どちらも輸入であり国内の生産に与える影響は変わらない。
(ウ)日本企業の海外生産拠点で生産された製品が日本に輸出されることによって、国内需要向けの国内生産が代替される効果
→×:逆輸入効果に関する説明である。
(エ)日本企業の海外生産拠点で必要となる資本財が日本国内の企業から調達されることにより、日本からの輸出が増加する効果
→×:資本財輸出誘発効果に関する説明である。
(オ)日本企業の海外生産拠点で必要となる中間財が日本国内の企業から調達されることにより、日本からの輸出が増加する効果
→×:中間財輸出誘発効果に関する説明である。
(設問2)
中小企業白書 2002(平成14)年版 第1-3-16図 下請企業の経営戦略と売上高との関係より
すなわち
(ア)高付加価値製品を開発して、安価な海外製品に対抗する。
→○:高付加価値製品開発への取組が売上増に結びついたという企業は多い。
(イ)情報通信技術を活用して、経営の効率化を図る。
→○:ITの活用が売上増に結びついたという企業は多い。
(ウ)製品の低コスト化によって、安価な海外製品に対抗する。
→○:製品の低コスト化が売上増に結びついたという企業は多い。
(エ)設備をいったん整理して、生産を合理化する。
→×:設備の縮小や従業員の削減等のリストラ型戦略をとっても、現在の売上高はなお減少基調である。
となる。
よって解答はエである。
設問9
解答:イ
(ア)教育プログラムや業務マニュアルに従って、さまざまな経営指導を受けられる。
→○:マニュアル・研修・トレーニングなど、人材育成に必要なものが既に準備されている
(イ)契約に基づいて、加盟店に一定の資本利益率が保証されている。
→×:一般的に資本利益率は保証されていない。
(ウ)本部が商品の仕入や生産を集中的に管理することによって、安価で良質な商品が確保される。
→○:本部による大量仕入れが可能なため、低コストで商品や材料を購入できる。
(エ)本部の知名度や一括的広告活動によって、独自の営業販売努力が節約できる。
→○:広く知られている、知名度、商号・商標を利用できる。
設問10
解答:設問1:ウ 設問2:ウ
(設問1)
W/R比率とは、流通の多段階性を図る尺度であり、(卸売業全体の売上-産業用・輸出関連売上)÷小売業売上で算出される。この比率が大きいほど、流通経路が多段階であるといえる。一般に日本の流通構造は多段階であることが問題視されている。よってウが解答である。
(設問2)
(ア)外資系小売業者の参入
→○:外資系小売業者の参入がみられる。その結果、競争が激化し小売業者が減少する。また競争激化によって、リードタイムの短縮、小口発注等が求められることとなる。
(イ)情報化の進展
→○:情報化の発展によって物流コストの削減やサポートの強化が図られる。
(ウ)中小卸売業者の連携の増加
→×:中小卸売業者の連携は卸売機能の強化を図り、流通の合理化になるので中小卸売業者の機能を制約する要因ではない。
(エ)零細小売業者の減少
→○:零細小売業者の減少によって、販売先数が減少し、機能の弱体化がみられる。
←問題に戻る