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平成19年度1次試験解答:経済学・経済政策

設問6

解答:エ

【 A 】 デフレーションが生じると貨幣価値が高まる。その結果、債務者にとっては実質的な負担が増加することになる。反対に債権者にとっては債権の実質的価値が高まることになるので、債務者から債権者への所得再分配を生じさせる。
【 B 】 消費者が将来的に物価の下落を予想すれば、今は我慢して将来購入した方が得と考えるようになる。その結果、購入を控えることになる。
【 C 】

失業の定義は次のものである。よって【 C 】には、循環的失業がはいる。

  • 構造的失業: 産業構造の変化に伴い、企業側の求める人材と求職者とが合致しない状況での失業
  • 循環的失業: 景気の変動に伴って生じる失業で、需要不足失業とも呼ばれる。
  • 摩擦的失業: 労働力が地域間や産業間で移動した時に発生する失業。一時的な失業とされている。

よって設問を埋めると次のようになる。

 デフレーションは需要の減退によってもたらされ、貨幣の実質価値を高める効果を持ち、【A:債務者から債権者】への所得再分配を生じさせる。また、人々が【B:物価の持続的下落】を予想すれば、支出を手控えることになり、デフレ・スパイラルに陥り、不況をさらに悪化させることがある。需要の減退が生じている場合、「需要不足失業」とも呼ばれる【C:循環的失業】が観察され、需要拡大政策の発動を通じて失業の解消に努めることが要請される。

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設問7

解答:

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設問8

解答:イ

(ア) 貨幣数量説と完全雇用を前提とすれば、名目貨幣供給が増加しても実質貨幣供給は不変であるが、利子率の低下を通じて投資を刺激する。
→×:貨幣数量説とは、社会に流通している貨幣の総量とその流通速度が物価の水準を決定しているという理論である。この理論では貨幣需要は国民所得のみに依存する。(利子率には関係ない)
(イ) 貨幣数量説と完全雇用を前提とすれば、名目貨幣供給の増加はそれと同率の物価の上昇を引き起こし、貨幣の中立性が成立する。
→○:正しい
(ウ)

公定歩合の引き下げ、売りオペ、外貨準備の増加はハイ・パワード・マネーの増加を通じて貨幣供給量を増加させる。
→×:ハイ・パワード・マネーとは、中央銀行が直接供給している貨幣量のことである。

公定歩合の引き下げ
公定歩合を引き下げることにより民間金融機関が中央銀行より多くのお金を借りることになるので、ハイハイ・パワード・マネーは増加する。
売りオペ
中央銀行が保有する有価証券や手形を売却して、通貨を市場から中央銀行に還流させ金融を引き締めるので、ハイ・パワード・マネーは減少する。
外貨準備の増加
外国為替市場において中央銀行が外貨を購入するのだから、ハイ・パワード・マネーは増加する。
(エ) 流動性選好理論では、所得の増加によって貨幣の投機的需要が増加すると考える。
→×:流動性選好理論は、利子率と貨幣の投機的需要の関係を説明するためのものである。すなわち所得と貨幣の関係については言及していない。
(オ)

流動性選好理論では、利子率の低下によって貨幣需要が減少すると考える。
→×:流動性選好理論では、利子率の低下によって、貨幣の需要は増加すると考える。

■利子率が低下した場合

  1. 債券の価格が低い
  2. 将来的に債権の価格が上昇する可能性が高い
  3. 再建を需要し、貨幣への需要が少ない。

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設問9

解答:エ

金利平価説とは、外国為替レートの決定要因を説明する概念の一つで、為替レートは自国通貨と外国通貨の金利の差によって決定されるという説である。

(ア) アメリカの利子率が日本の利子率より高いとしても、現実の為替レートが円高・ドル安の方向に動けば、日本の金融資産に投資することが有利になる。
→×:アメリカの利子率が日本の利子率より高いかつ現実の為替レートが円高・ドル安の方向に動けば利子裁定均衡が成立するので、日本の金融資産に投入することは有利とならない
(イ) 左辺は日本の金融資産への投資に伴う収益率、右辺はアメリカの金融資産への投資に伴う収益率であり、左辺が右辺より大きければ、日本への投資が増加し、為替レートは円安・ドル高になる。
→×:左辺が右辺より大きければ日本への投資が有利になるので、アメリカからドルや円が流入することとなる為、円高・ドル安になる。
(ウ) 日本の金融緩和は、国内利子率を低下させて為替レートを円高・ドル安の方向に変動させる。
→×:国内利子率を低下させることで、アメリカにドルや円が流出することとなる為、円安・ドル高の方向に変動させる。
(エ) 予想為替レートが円高・ドル安の方向に動けば、現実の為替レートも円高・ドル安の方向へと動き、予想の自己実現が見られる。
→○:金利平価説では、予想為替レートが円高・ドル安(円安・ドル高)の方向に動けば現実の為替レートも円高・ドル安(円安・ドル高)へと動き、予想の自己実現が見られる。

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設問10

解答:エ

(ア) AKモデルでは、限界生産力逓減の生産関数を仮定し、貯蓄率や全要素生産性の変化が経済成長の要因になることを明らかにしている。
→×:AKモデルでは、Y=AK(Y:国民所得、A:生産技術、K:資本ストック)という生産関数が仮定される。国民所得は資本ストックとともに増大する。
(イ) ITの普及によって低インフレや高成長が生じたという「ニュー・エコノミー」を説明するものとして内生的経済成長論が確立され、技術進歩を内生変数(モデル内で説明される変数)として扱う。
→×:内生的経済成長論は、ニュー・エコノミーを説明するものとして確立されたものではない。
(ウ) 新古典派経済成長論は、1人当たりの産出量が持続的に上昇することを明らかにしているが、内生的経済成長論は、それが長期的には一定の水準に収束することを証明している。
→×:説明が逆である。内生的経済成長論は、1人当たりの産出量が持続的に上昇することを明らかにしているが、新古典派経済成長論は、それが長期的には一定の水準に収束することを証明している。
(エ) 内生的経済成長論では、教育、知識、人的資本、研究開発が経済成長に果たす役割を重要視している。
→○:AKモデルにおける資本ストックであるKは、狭義の物的資本だけではなく、人的資本、社会的インフラストラクチュアなどを含む広義の資本を意味する。

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