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平成17年度1次試験解答:経済学・経済政策

設問11

解答:イ

 生産量の増加とともに平均費用が逓減するとき、規模の経済性が働いているという。従って、平均費用を計算することで、規模の経済性が働いているか検討することができる。
 平均費用は、次の式で求めることができる。

AC(average cost:平均費用) C(総費用)
Q(生産量)

各選択肢を上記の式にあてはめると、

(ア)C=A
AC
より、
AC

となる。従ってQの増加によりACは低減するので規模の経済性が働くケースである。
(イ)C=
AC
より、
AC
AC

となる。従ってQの増加に関係なくACは一定であるので、規模の経済性が働かないケースである。
(ウ)C=A+
AC
より、
AC A+
AC

となる。従ってQの増加によりACは低減するので規模の経済性が働くケースである。
(エ)C=A+bQ2/3
AC
より、
AC A+bQ2/3
AC bQ-1/3
となる。従ってQの増加によりACは低減するので規模の経済性が働くケースである。
→詳細解説ページ

また、別の解答方法として、原点から費用曲線に直線を引き、傾きを見る方法もある。

平成17年度問題11の解説

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設問12

解答:イ

 逆選択(アドバースセレクション)とは、情報の非対称性が存在する状況では、情報優位者(保持している情報量が多い取引主体)は情報劣位者(保持している情報量が少ない取引主体)の無知につけ込み、劣悪な財やサービスを良質な財やサービスと称して提供したり、都合の悪い情報を隠してサービスなどの提供を受けようととするインセンティブが働く。
 そのため、情報劣位者は良質な財やサービス、契約相手などを選択しようとするのであるが、結果的にはその逆の選択が行われているかのような状況に陥ってしまうことがある。
 すなわち逆選択は契約の前に発生する。

 モラルハザードとは、ある制度や契約の中で仕事をする人が、その制度や契約があるがためにおこす怠業のことである。本来は保険業界で使われていた用語である。保険によって危険を回避できるという事実が、被保険者の損害回避行動を阻害する(保険契約において、危険回避のための手段や仕組みを整備することにより、かえって人々の注意が散漫になり、危険や事故の発生確率が高まって規律が失われる)という現象をさす。
 すなわちモラルハザードは契約後に発生する。

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設問13

解答:ア(aとb)

範囲の経済性とは、異なる複数の事業の共有可能なコストを一元化することにより、企業全体の経営の効率化を図ることである。

電力会社において、配電サービスと送電サービスを別々に行うよりは一緒に行った方がコストが軽減される場合、範囲の経済性が存在するといえる。
→○:配電サービスと送電サービスを同時に提供することで、コストが軽減されるので、範囲の経済性が存在する。
異なる製品の生産で共通コストがある場合に、それらの生産を一緒に行うことで、 範囲の経済性を実現することが可能である。
→○:異なる製品の生産で共通コストがある場合、それらの生産を一緒に行うことで、コストが軽減されるので、範囲の経済性が存在する。
自然独占が成立する場合、範囲の経済性が存在するといえる。
→×:自然独占とは、制度などの人為的な要因ではなく経済的な要因によって、規模の経済が働くとき、自然に発生する独占を指す。初期投資が莫大な鉄道会社や電力会社、郵便事業が自然独占の代表的な例である。
 すなわち範囲の経済性ではなく規模の経済性が存在する
通信会社において、限られた地域の通信サービスと長距離通信サ−ビスを一緒に行うよりも別々に行った方がコストが軽減される場合、範囲の経済性が存在するといえる。
→×:範囲の経済性とは、複数の事業の共通可能なコストを一元化することによって効率化を図ることであり別々に行った方がコストが軽減される場合は範囲の経済性は存在しない

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設問14

解答:ア

企業Aが均衡値(クールノー均衡値)より多く生産すれば、その生産量に対応する企業Bの最適な生産量は、企業Aの生産量よりも少なくなる。
→○:企業Aが均衡値(クールノー均衡値)より多く生産すれば(※上記図のX1で生産)、その生産量に対応する企業Bの最適な生産量(※上記図のY1で生産)は、企業Aの生産量よりも少なくなる。
企業Aが均衡値(クールノー均衡値)より多く生産すれば、その生産量に対応する企業Bの最適な生産量は、企業Aの生産量よりも多くなる。
→×:aを参照  
企業Aが先に均衡値(クールノー均衡値)より多く生産すれば、その利潤は企業Bが獲得できる最大の利潤より大きく、先行者利益が存在する。
→○:先導者である企業Aがクールノー均衡値より多く生産すれば、追従者である企業Bよりも大きな利益を上げることができる。
企業Aが先に均衡値(クールノー均衡値)より多く生産すれば、その利潤は企業Bが獲得できる最大の利潤より小さい。したがって、先行者利益が存在しない。
→×:cを参照

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設問15

解答:エ

まず、期待収入を求める。期待収入は、各状態における収入額と確立を掛け合わせて足し合わせたものになる。

売上収入
(単位:万円)

起こりうる確率 期待収入
0 50% 0×0.5 5万円
100 25% 100×0.25 25万円
200 20% 200×0.25 40万円
600 5% 600×0.05 30万円
コスト計 95万円

次に期待利潤を求める。

この施策を行った場合にかかるコストは100万円であるから、期待利潤は95万円−100万=−5万円である。

期待利潤(期待値)とリスク選好の関係は次のようになる。

リスク選好 詳細 期待値との関係
リスク愛好者 リスクを利用して大きな利益の可能性を追求する者 期待値の正負に関わらず行動する可能性がある。
リスク中立者 どちらにも属さない者 期待値がゼロより小さい場合、行動しない。また期待値がゼロより大きい場合、必ず行動する。
リスク回避者 リスクを嫌う者 期待値がゼロもしくはゼロより小さい場合行動しない。また期待値がゼロより大きい場合、行動する可能性がある。
(ア) この企業がリスク愛好的である場合、そのリスク選好度にかかわらず、この施策を行わない。
→×:この企業がリスク愛好的である場合、そのリスク選好度にかかわらず、この施策を行う可能性がある
(イ) この企業がリスク回避的である場合、この施策を行う。
→×:リスク回避的の場合、期待値が-5の施策は行わない
(ウ) この企業がリスク中立的である場合、この施策を行う。
→×:リスク中立的の場合、期待値が-5の施策は行わない
(エ) この企業がリスク中立的である場合、この施策を行わない。
→○:リスク中立的の場合、期待値が-5の施策は行わない。
(オ) この企業がリスク中立的でも、回避的でも、この施策を行う。
→×:リスク中立的でもリスク回避的でも、期待値が-5の施策は行わない

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