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平成15年度1次試験解答:経済学・経済政策

設問16

解答:エ

 以下に選択肢の各用語の説明と中立財に関する説明を記す。

上級財(正常財)
所得の増加で消費量が増える財
中立財
所得の増加で消費量が変わらない財
下級財(劣等財)
所得の増加で消費量が減る財
ギッフォン財
自らの価格が上昇(低下)したとき消費量が増加(減少)する財
※設問では、価格の変化は考えていないので、無関係である。

 図の接点E、E1、E2から第1財は所得の増加とともに増加し、第2財は減少している。したがって、第1財は上級財、第2財は下級財である。よって解答はエである。

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設問17

解答:エ

 サンクコスト(埋没費用)とは、とは、事業に投下した資金のうち、事業の撤退・縮小を行ったとしても回収できない費用のことである。サンク・コストが小さいほど、その市場への参入が活発に行われる。逆にサンクコストが大きいほど、市場への新規参入を抑制される。
 設問の場合、土地自体は売却可能であるのでサンク・コストではない。また、土地取得にかかる費用の1割である不動産取引費用は回収不可能なのでサンク・コストである。土地代が下落した場合、土地取得にかかる費用の1割である不動産取引費用も低下する。すなわちサンク・コストの低下をもたらす。また土地価格の下落はサンク・コストを引き下げている為、新規参入を招く可能性が大きくなる。
 よって解答はエである。

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設問18

解答:イ

【 @ 】:
 需要の価格弾力性とは、1%価格が変化したときに、需要が何%変化するかを表す概念である。
 需要の価格弾力性は次の式で求めることができる。

需要の価格弾力性 需要量の変化率
価格の変化率
需要量の変化率 600-200 =2
200
価格の変化率 100-50 =0.5
100

すなわち

2 = 4
0.5

よって【 @ 】には、【4】が入る。

【 A 】:
 独占企業の利潤最大化条件は、限界収入=限界費用となるように生産量を決める。価格はその生産量での需要価格となる。また価格>限界費用が成り立つ。よって、Aには、【より大きい】が入る。

よってイが解答である。

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設問19

解答:ア(a とc)

代表的な、複占(寡占)のモデルとしては、次のものがある。

モデル 内容
クールノーモデル
  • 企業は生産量を戦略変数とする
  • 他企業の生産量を所与として、両企業とも自社の数量を最適化して行動する
ベルトランモデル
  • 企業は価格を戦略変数とする
  • 他企業の価格を所与として、両企業とも自社の数量を最適化して行動する
シュッタッケルベルグモデル
  • 企業は生産量を戦略変数とする
  • 一方が大企業で能動的に生産量を決め、他方が大企業の生産量を所与として、受動的に自社の生産量を決める

※戦略変数とは、利潤を最大化する際に決定する変数のことである。

他企業の価格を所与として、両企業とも自社の価格を最適化して利潤最大化しようと競争しているとき、この競争による均衡をベルトラン・ナッシュ均衡という。
→○:上記より正しい
他企業の生産量を所与として、両企業とも自社の数量を最適化して利潤最大化しようと競争しているとき、この競争による均衡をベルトラン・ナッシュ均衡という。
→×:他企業の生産量を所与として、両企業とも自社の数量を最適化して利潤最大化しようと競争しているとき、この競争による均衡をクールノー・ナッシュ均衡という。
一方が大企業で能動的に生産量を決め、他方が大企業の生産量を所与とし、受動的に自社の生産量を決めるとき、この競争による均衡をシュタッケルベルク均衡という。
→○:上記より正しい
一方が大企業で能動的に価格を決め、他方が大企業の価格を所与とし、受動的に自社の価格を決めるとき、この競争による均衡をシュタッケルベルク均衡という。
→×:一方が大企業で能動的に生産量を決め、他方が大企業の生産量を所与とし、受動的に自社の価格を決めるとき、この競争による均衡をシュタッケルベルク均衡という。

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設問20

解答:ア

(ア) 既存4社には、内部補助の効果があったと考えられる。
→○:正しい。内部補助とは、企業の提供する財が複数の場合、あるいは活動している地域が複数の場合に、ある財や地域における損失を別の財・地域における収益によって賄うことである。すなわち既存の4社は他の路線で得ている収益によって値下げによる損失を補っていたと考えることができる。
(イ) 既存4社の価格引き下げ行動によって発生した競争は、ヤードスティック競争と呼ばれる。
→×:ヤードスティック競争とは、地域独占企業の価格やコスト構造を公表させ、一般の人やマスコミなどに他の地域独占企業と比較できるようにすることによって、価格低減やコスト削減のための企業努力を促す競争促進政策である。
(ウ) 新規に参入した企業が設定した価格は、参入阻止価格と呼ばれる。
→×:参入阻止価格とは、価格戦略の一つで、後発の企業が同種の市場に参入が困難となるよう政策的に低く設定された価格のことである。新規に参入する企業が設定する価格ではない。
(エ) 新規に参入した企業が設定した価格は、ラムゼイ価格と呼ばれる。
→×:ラムゼイ価格とは、企業利潤がゼロ(収支均衡)となる制約の下で総余剰が最大となる価格である。いわゆる、平均費用と等しい価格設定はラムゼイ価格(ラムゼイ料金またはラムゼイ最適)となる。

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