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平成14年度1次試験解答:経済学・経済政策

設問11

解答:ア(aとb )

 IS曲線とは、財市場を均衡させるような国民所得と利子率の組合せを描いた曲線のことである。

減税
→○:減税は一般的には消費を増加させる為、貯蓄を減少させる効果がある。このとき貯蓄が投資を下回るので、需要側が供給側を上回る。よって、この需要の大きさに見合うように企業は生産を増加させる。これは利子率が不変の下での所得の増加を意味するので、IS 曲線の右方シフトを引き起こす。
公共投資の増加
→○:政府が公共投資を増やせば、IS 曲線の右方シフトを引き起こす。
マネーサプライの増加
→×:マネーサプライの増加はLM曲線には影響を与えるが、IS曲線には影響を与えない。
利子率の上昇
→×:IS曲線をシフトさせるのは国民所得と利子率以外の要素である。

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設問12

解答:エ

【解答群】
(ア) 公定歩合をゼロにする。
→×:公定歩合とは、中央銀行(日本では日本銀行)が、一般の銀行(市中銀行)に融資する際の金利である。公定歩合で融資を受けるには担保が必要である。平成の大不況下では、公定歩合政策よりも無担保で貸出ができる「ゼロ金利政策」で、民間に大量に資金供給する政策が採られるようになった。ゼロ金利政策とは関係ない。
(イ) 短期プライムレートをほぼゼロにする。
→×:短期プライムレートとは、銀行が信用力の高い一流企業に短期に(1年以内の期間)貸し出すときの優遇金利のことである。ゼロ金利政策とは関係ない。
(ウ) マネーサプライの伸び率をほぼゼロにする。
→×:マネーサプライ(通貨供給量)とは金融機関と中央政府を除いた経済主体(一般法人、個人、地方公共団体等)が保有する通貨の合計のことである。 ゼロ金利政策とは関係ない。
(エ) 無担保コールレート(オーバーナイト物)を実質的にゼロにする。
→○: ゼロ金利政策とは、日本銀行が市場に資金を大量に供給して、無担保コールレート(民間金融機関が短期的な資金をお互いに貸し借りする市場の利子)を実質的にゼロにすることである。

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設問13

解答:イ

(ア) 面積a
→×:消費者余剰(消費者が得る儲け)である。
(イ) 面積b
→○:生産者余剰(企業が得る儲け)である。
(ウ) 面積(a+b)
→×:社会的総余剰(消費者余剰+生産者余剰)である。
(エ) 面積(a−b)
→×:該当する余剰はない。

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設問14

解答:エ

(a) ある財A の需要曲線は、右下がりであるという。この曲線の接線の傾きが急なところでは、ゆるやかなところより、財A の需要の価格弾力性は大きい。
→×:傾きが緩やかなところでは価格弾力性は大きく、傾きが急なところは価格弾力性は小さくなる。
(b) ある財B については、顕著な製品差別化が認められるという。この財の需要の価格弾力性は、ほぼ無限大であると考えられる。
→×:財Bは、顕著な製品差別化が認められるので、価格弾力性が非常に小さいと考えられる。価格弾力性が無限大とは、ほんのわずかな価格上昇でも需要量がゼロになることを意味する。
(c) ある財C は、ある価格のときに、需要の価格弾力性が「1より大」であるという。 この場合、財Cの売り手は、価格を引き上げることによって収入が減少するものと予想しなければならない。
→○:一般に、需要の価格弾力性と生産者の収入との間には、次の関係が成立する
需要の価格弾力性 生産者の収入
需要の価格弾力性が1より大 価格が上昇(下落)すると生産者の収入は減少(増加)する
需要の価格弾力性が1 価格が上昇(下落)しても収入は変化しない
需要の価格弾力性が1より小 価格が上昇(下落)すると生産者の収入は増加(減少)する

(d) ある財D には、密接な代替財が存在するという。このとき、財D の需要の価格弾力性は、代替財が存在しない場合よりも大きい。
→○:ある財D に密接な代替財が存在すれば、この財の値上げは代替財に需要を奪われ、D 財の需要量は大きく減少する可能性が高くなる。すなわち需要の価格弾力性は代替財が存在しない場合よりも大きくなる。

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設問15

解答:イ(aとc)

 HHI(ハーシュマン・ハーフィンダール指数)は、市場の集中度を測る指標のひとつである。
 HHI は、各企業のマーケットシェアを二乗したものの総和として算出される。この指数が大きいほど、市場集中度が高いと判断される。

(例)
・独占市場の場合のHHI
1002=10,000
・寡占市場の場合のHHI(3社のシェアが70%、20%、10%の市場I)
702+202+102=5,400
・完全競争市場の場合のHHI(10社が10%ずつシェアを分け合っている市場)
102+102+102+102+102+102+102+102+102+102=1,000
HHI は、各企業のマーケットシェアを二乗したものの総和として算出される。
→○:HHI は、市場に参入している企業の市場占有率(%)を二乗し、すべての企業における総和を求めたものである。HHIの定義そのものである。
市場構造が完全競争市場に近づくと、HHI は無限大に近づく。
→×:市場構造が完全競争市場に近づくと、HHI は無限大に遠のく
HHI は、一般に各産業の企業規模の分布状態を反映している。
→○:HHI は、該当市場における企業規模の分布を考慮した集中度の指標となっている。
企業数が一定の場合には、マーケットシェアの企業間格差が大きくなると、HHI は小さくなる。
→×:企業数が一定の場合には、マーケットシェアの企業間格差が大きくなると、HHI は大きくなる
よってイが解答である。

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