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平成25年度1次試験問題:経営法務

設問16

 中小企業診断士であるあなたと顧客である会社役員A氏との以下の会話を読んで、下記の設問に答えよ。

A 氏 「うちの製品は国内での販売は頭打ちなのだが、なぜかB国からの注文は結構あってね。」
あなた 「B国は今まさに工業化が進み、御社の製品はまだまだ必要になりますからね。」
A 氏 「それで今までは日本から製品を直接輸出していたのだが、B国に進出し情報収集や営業のためにうちの若手を送り込みたいと思っているのだよ。」
あなた 「まずは駐在員事務所や支店の設立など、B国への進出形態による法制度を確かめないといけませんね。」
A 氏 「それと税制も気になるんだよ。うちがB国に支店を作りそこから売上を計上した場合、税金は今と比べてどうなるのかな。」
あなた 「B国の税制は調べないとわかりませんね。しかし逆に考えて、例えば外国法人が日本で支店を設置し、御社と同じような製品を本国から輸入して日本の顧客に販売して利益を得た場合、どうなると思いますか?」
A 氏 「日本で稼いだ利益には日本で税金をとってもらわないと不公平だな。」
あなた 「そうなのです。もう少し詳しくいうと、外国法人が日本国内に支店を持っている場合は、日本で行った事業からの所得に対して課税が行われるのです。支店のような事業を行う一定の場所のことを□   □と呼びます。Aさんもお聞きになったことがあると思います。」
A 氏 「□   □ね。どこかで聞いたことがあるな。つまり、うちも支店を出せば□   □とされてB国で課税されることになるのかな。」
あなた 「そうなる可能性が高いですね。さらに厄介なのは、実は日本の税制では、海外支店の所得も日本国内の支店の所得も合算して課税されるのです。つまり、日本で設立された法人は、その法人の世界中の所得を課税の対象とする制度をとっているのです。」
A 氏 「えっ。それじゃ二重に税金がかかってしまうじゃないか。」
あなた 「そういう問題を解決するために、国家間で租税条約を締結して二重課税を回避する仕組みを構築しているのです。ただ、これはすべての国と締結されているわけではなく、内容もかなり複雑なので具体的には専門家に相談することをお勧めします。」

(設問1)
会話の中の空欄に入る語句として最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) PA(Public Address)
(イ) PD(Project Development)
(ウ) PE(Permanent Establishment)
(エ) PR(Public Relations)

(設問2)
会話の中の下線部の租税条約の特徴に関する記述として最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 租税条約は国際間の課税実務を調整するため世界各国で共通である。また、国内法と租税条約が異なる場合の適用は国内法が優先する。
(イ) 租税条約は国際間の課税実務を調整するため世界各国で共通である。また、国内法と租税条約が異なる場合の適用は租税条約が優先する。
(ウ) 租税条約は国家間で締結するので複数の租税条約が存在し、その規定は租税条約ごとに異なる。また、国内法と租税条約が異なる場合の適用は国内法が優先する。
(エ) 租税条約は国家間で締結するので複数の租税条約が存在し、その規定は租税条約ごとに異なる。また、国内法と租税条約が異なる場合の適用は租税条約が優先する。

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設問17

 合同会社の特徴に関する記述として最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 合同会社では、会社法で規定する機関として社員総会と代表社員の設置が必要であり、日常業務は代表社員が担い、重要な意思決定は社員総会の決議による。
(イ) 合同会社では、定款に記載することによって、出資額が少ない社員に対する損益分配の割合を増やすように定めることができる。
(ウ) 合同会社では、定款で業務執行社員を定めて一部の社員を業務執行から除外することができる。逆に社員ではないが経営能力に優れた人を業務執行社員とすることもできる。
(エ) 合同会社には資本金の概念がない。このため会社設立にあたって必要な設立登記のための登録免許税を納付する必要がない。

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設問18

 会社分割(吸収分割を前提とする)と事業譲渡の相違に関する記述として最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 会社分割では吸収分割契約の内容を記録した書面又は電磁的記録を本店に備え置かなければならないが、事業譲渡ではこのような制度はない。
(イ) 会社分割では適法に債権者保護手続を経ることで対象事業の債務を移転させることができるが、事業譲渡では個々の債権者から同意を得ずに債務を移転させることができる。
(ウ) 会社分割では分割会社が取得している許認可は承継することができないが、事業譲渡ではそれを承継することができる。
(エ) 会社分割では分割承継資産の対価として承継会社の株式を発行しなければならないが、事業譲渡の対価は金銭に限られる。

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