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平成21年度1次試験解答:経営法務

設問11

解答:イ

(ア) C社は、X氏の了承を得て倉庫に備えつけた汎用的な建具を残して引越費用を削減したいとしても、C社とX氏間の賃貸借契約に特段の定めがない場合、X氏から「残しても良い」旨の同意がない限り、C社は入室した当初と同様の状態にするためのコストを負担しなければならない。
⇒×:C社は、建具を撤去する必要はない。X氏に対して造作買取請求権を行使して時価での買取りを請求することもできる。
(イ) 現在のC社近隣の賃料相場と比べてC社の賃料が著しく高くなっている場合、C社が支払っている現在の賃料を下げる方法には、X氏と交渉することのほか、法律に基づき、C社はX氏に対し裁判を起こして賃料を下げるように請求することもできる。
⇒○: 借地借家法第32条において、建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。
(ウ) 引越しするには、次の賃貸借契約締結の際に保証金を引越先のオーナーへ支払うこととなっているが、C社は、建物明渡後に返還される保証金から未払い賃料を相殺するようにX氏に請求することができるので、期間満了時まで賃料の支払いを止めて、引越先の保証金を準備することができる。
⇒×:C社とX氏間の賃貸借契約に基づき、C社は賃料支払義務をオフから支払いを止めることはできない。
(エ) 本件賃貸借契約の契約書には、更新について「更新料を支払った場合に更新できる」と規定があるだけで、特段の記載がない場合、C社が更新時期の2カ月以上前にX氏に対して更新をしない旨を通知しないときは、自動的に5年間契約が更新される。
⇒×:賃貸人の側から更新時期の2カ月以上前にX氏に対して更新をしない旨を通知する必要はない。

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設問12

解答:イ

(ア) 本コンテンツについて、E社の請求があるときは、原則として、E社に対し配信した実績を証明する資料を開示する義務がある。
⇒×:著作権法上の義務ではなく当事者間の契約上の義務である。
(イ) 本コンテンツについて、原則として、その著作者である第三者やE社の指示にしたがい、著作者名を表示し、あるいは、表示しない義務がある。
⇒○:正しい。
(ウ) 本コンテンツについて、自社の提供するサービスを通じて音楽コンテンツを取得したユーザーが、取得したデータを不正に利用しないように、データに技術的な保護手段を講じて管理する義務がある。
⇒×:データに技術的な保護手段を講じて管理する義務はない。
(エ) 本コンテンツについて、ユーザーが不正使用したことが発覚した場合、E社の請求があるときは、原則として、配信したユーザーに関する情報をE社に開示する義務がある。
⇒×:配信したユーザーに関する情報をE社に開示する義務はない。

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設問13

解答:イ

部 長 「Z氏を推薦してきたY社に『早急に新しいシステムがほしいので、来月から始めたいね』と言ったら、すぐに【A:業務委託契約】書を持ってきたよ。でもね、すべて先方の責任として、だけれども当社の指示はきちんと守るように、うちの社員と同様に使えるよう、交渉したいなぁと思うのだけど。」
あなた 「それは、【B:労働者派遣契約】書ではないのですか。」
部 長 「ちがうね。何かまずいの。」
あなた 「Y社は派遣業者として届出や許可がある業者なのですか。」
部 長 「うーん、わからないねー。」
あなた 「Y社に届出や許可がないのであれば、Y社との契約は【C:請負契約】などであることが必要ですから、相手方に一定の裁量を与えなければダメですよ。」
部 長 「どうして。」
あなた 「【B:労働者派遣契約】は法律で労働者を保護するためにさまざまな規制があります。これを脱法するために【C:請負契約】書にして対処しようとする企業があります。この契約書のタイトルは『【A:業務委託契約】書』になることもあります。ただ、これらは偽装請負や偽装委託などといって、違法な行為になります。」
部 長 「ああ、聞いたことがある言葉だね。そんな悪いことをする会社に思えなかったけど。」
あなた 「【C:請負契約】といえるためには、Z氏がその作業を遂行するにあたり、その遂行方法に関する指示その他の管理をY社が行い、Y社が自らの責任で御社に仕事完成物を納品することが必要になります。ですから、契約書もY社に管理権限があることになっているのでしょうし、実態もそうでなくてはなりません。就業場所が御社ということですと、就業規則なども他の社員と同じように守ってもらいたいでしょうし、なかなか難しそうですね。」
部 長 「それでは、このままだと当社は基本的にわざわざY社を通じてZ氏を管理しなくてはならないということなんだね。」
あなた 「そのとおりです。ですから、御社がパート社員のようにZ氏を使いたいのであれば、Y社が届出や許可を受けている派遣業者か確認しなければならないと思います。」
部 長 「適法な派遣業者か確認して、【B:労働者派遣契約】の関係にしてもらうほうがよいということですね。」
あなた 「そのほうがコンプライアンスにかなうと思いますよ。」

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設問14

解答:ウ

和訳すると、次のようになる。

本ソフトウェアの使用又は使用不能について発生した損害については、ABC社は責任を負わない。

いかなる場合においても本ライセンス契約によって発生するABC社の責任の総体は、本ソフトウェアに対して実際に支払われたXYZ社からのロイヤルティーの金額を超えることはない。

(ア) XYZ社が、本条に基づいてABC社に対して損害賠償を請求する場合は、本ソフトウェアをABC社に返却しなければならない。
⇒×:損害賠償を請求する場合は、本ソフトウェアをABC社に返却しなければならない規程の記述はない。
(イ) 本条がすべて大文字により規定されている理由は、法的な効果と関係なく、単に、ABC社のXYZ社に対する取引上の良心に基づき、目立つように記載されたものである。
⇒×:本条がすべて大文字により規定されている理由は、ABC社が法的な利益をうけるためである。
(ウ) 本条の規定は、ABC社がXYZ社に提供した本ソフトウェアを原因として損害が発生した場合における、ABC社の損害賠償責任の範囲を規定している。
⇒○:正しい。
(エ) 本ソフトウェアの性能がABC社と合意したレベルに至っていない場合、XYZ社は、本条に基づいて、ABC社に対し実際に支払ったライセンス料を返金してもらうことができる。
⇒×:ライセンス料の返金に関する記述はない。

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設問15

解答:イ

(ア) A社は、B社との間で契約を締結していないことから、B社に生じた損害を一切賠償する必要はない。
⇒×:A社の担当者はB社が先行着手していることを把握しており、A社はB社に対して納品がサービス開始の日程に間に合うかということを何度となく確認しているのだからA社は、B社に対して損害賠償責任を負う。
(イ) A社はB社に対し、契約締結の準備段階における信義則上の注意義務に基づいて、B社が実際に当該機器の開発・製造のために調達した部品の代金の全部又はその一部を賠償しなければならない。
⇒○:正しい
(ウ) A社はB社に対し、契約を締結しなかったという債務不履行責任に基づいて、実際にB社がA社に当該機器を販売した場合に得られるべき利益を賠償しなければならない。
⇒×:A社とB社には契約関係は成立していない。契約関係の締結しなかったことについて債務不履行責任とはならない。
(エ) A社はB社に対し、その代表者が刑事訴追を受けたという不法行為責任に基づいて、B社の生じた損害を賠償しなければならない。
⇒×:A社の代表者が刑事訴追を受けたことはB社に対する不法行為ではない。

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