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平成21年度1次試験解答:経営法務

設問6

解答:ア

(ア) 実用新案法における考案には、方法の考案も対象となっている。
⇒○:実用新案法は、物品の形状、構造または組み合わせに関して考案の保護および利用を図ることにより、その考案を奨励し、それにより産業の発達に寄与することを目的とした法律である。法案の考案は対象となっていない。
(イ) 特許法における発明及び実用新案法における考案には、ニュートンの万有引力の法則のような発見や自然法則を利用していない人為的な取り決めは該当しない。
⇒×:特許法における発明とは自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものであり、ニュートンの万有引力の法則のような発見や自然法則を利用していない人為的な取り決めは対象とならない。
(ウ) 特許法における発明には、物の発明ばかりではなく、方法の発明も対象となる。
⇒×:特許法では発明を物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明,方法の発明,物を生産する方法の発明に分類している。
(エ) 特許法における発明は技術的思想の創作のうち高度のものをさしているが、実用新案法における考案については高度という限定はなく、技術的思想の創作の程度のいかんを問わない。
⇒×:実用新案法における考案には高度のものという限定はない。

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設問7

解答:ア

(ア) B社の特許権に係る特許出願の時点で、すでに御社がB社の特許と同一の方法により苛性ソーダの製造を行っていたことを立証できれば、B社の特許権が存続していても将来にわたり苛性ソーダの製造方法を実施する権利があります。 
⇒○:B社の特許権に係る特許出願の時点で、A社は苛性ソーダの製造・販売を行なっているのだから先使用権が認められる。
(イ) B社の特許権は、平成17年(2005年)5月に出願されており、まだ特許出願日から20年を経過していないため、現在でも有効に存続していることから、すぐに製造・販売を中止し、市場に出回っている御社の苛性ソーダを回収しましょう。
⇒×:B社の特許権に係る特許出願の時点で、A社は苛性ソーダの製造・販売を行なっているのだから先使用権が認められる可能性がある。A社がすぐに、製造・販売を中止し、市場に出回っている御社の苛性ソーダを回収する必要はない。
(ウ) 御社が用いている苛性ソーダの製造方法が、B社の保有する特許権に係る特許発明の技術的範囲に属するか否かの判定を特許庁に請求するのがよいと思います。
⇒×:特許権に係る特許発明の技術的範囲に属するか否かの判定を特許庁に請求しても法的拘束力はない。また判定までに時間を要する。
(エ) 御社は、B社の特許権に係る特許出願前から苛性ソーダの製造方法を実施していたので、B社の特許権に係る特許発明は特許出願前に公然実施された発明に該当するとして特許無効の審判を裁判所に請求して、B社とのライセンス交渉を行うことがよいと思います。
⇒×:特許無効の審判は特許等に請求する必要がある。

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設問8

解答:ウ

(ア) 御社の実用新案権に係る登録実用新案と競争会社Y社の製造・販売に係るシャープペンシルの構造が同一であるか調べる必要があります。 
⇒○:まずはシャープペンシルの構造を調べる必要がある。
(イ) 実用新案権の存続期間は、特許権の存続期間より短く、実用新案登録出願の日から10年で終了するので、実用新案登録出願の日がいつだったかを確認することが必要です。
⇒○:実用新案権の存続期間は、実用新案登録出願の日から10年である。権利の存続期間の確認が必要である。
(ウ) 実用新案権は、特許権と同様に排他的独占権の性質を有しているので、特許庁の審査官が作成した実用新案技術評価書を提示しなくても、競争会社Y社の製造・販売の中止を求めることはできます。
⇒×:実用新案権においては、権利行使の条件として実用新案技術評価書を提示した警告を行うことが義務づけられている。
(エ) 当初3年間分の登録料は、実用新案登録出願時に一時に納付されていますが、実用新案権は、第4年分以降の各年分の登録料を特許庁に納付しないと消滅しますから、確認が必要です。
⇒○:実用新案権は、設定登録時に納付した登録料に引き続き、第4年以降の各年. 分の登録料を期限内に納付することにより存続される。

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設問9

解答:エ

商標権に関する問題である。

(ア) 御社の商標○○とD社名義の登録商標○○とは、同一の商標であり、御社の商標登録出願に係る指定商品「クッキー」とD社名義の商標登録に係る指定商品「みそ、菓子」とは同一若しくは類似の関係にあるため、意見書を提出しても仕方がないと思います。 
⇒×:C社尾の商法登録出願は認められる可能性があるので意見書は提出するべきである。
(イ) 御社の商標○○に関しては意見書を提出しても商標登録を受けることはできないと思いますが、御社の商標○○が、その出願前から製造・販売していた商品「クッキー」について使用された結果、何人かの商品であることを需要者の間で広く認識することができるに至っている場合であれば、D社の登録商標の存在にもかかわらず、その使用を継続することができると思います。
⇒×:D社の商標権を優先するべきであり不正競争防止法による保護は認められない。
(ウ) 御社の商標○○は、その出願前から製造・販売していた商品「クッキー」について使用された結果、何人かの商品であることを需要者の間で広く認識することができるに至っている場合であれば、D社の商標登録に対して登録無効の審判を請求して、当該登録無効の審判の審決が確定するまで審査の中止を審査官に求める旨を記載した意見書を提出するのがよいと思います。
⇒×:D社の商標登録に対して登録無効の審判をしてもD社の登録手続きには瑕疵がなく無効と判断されることはない。
(エ) 御社の商標○○をその製造・販売に係る「クッキー」について商標登録を受けるためには、指定商品「菓子」についてのD社の商標登録を取り消すことが必要です。D社の登録商標○○は指定商品「菓子」について使用されていないようですので、D社の指定商品「菓子」についての商標登録に対して不使用を理由とする取消審判を請求して、当該取消審判の審決が確定するまで審査の中止を審査官に求める旨を記載した意見書を提出するのがよいと思います。
⇒○:正しい。

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設問10

解答:イ

(ア) 秘密保持契約において相互に開示したデータや情報について、契約終了後、開示した当事者の請求に基づいてそれらを破棄または返却するなどの条項を設けなくとも、開示した当事者は受領した当事者に対し、所有権に基づきデータ・情報の破棄又は消去を請求できる。
⇒×:秘密保持契約において相互に開示したデータや情報について、契約終了後、開示した当事者の請求に基づいてそれらを破棄または返却するなどの条項を設けるべきである。仮に設けなかった場合、所有権に基づきデータ・情報の破棄又は消去を請求することはできない。
(イ) 秘密保持契約は、共同開発が本格化した場合に締結される共同開発契約等の本契約とは別個に締結されるものであるから、本契約とは別途、秘密保持の対象となるべき情報が授受される期間や当該情報の秘密を保持すべき期間などの条項を定めることができる。
⇒○:正しい。
(ウ) 秘密保持契約は、秘密を保持すべき義務を課すものであるが、故意又は過失により秘密を開示されたことによって生ずる損害が明確に立証できないためにいわゆる紳士協定であるともいわれ、相手方が万一契約違反をした場合であっても、他の法令に違反しない限りは相手方に対し何ら権利を主張できない。
⇒×:相手方が万一契約違反をした場合には債務不履行責任を問うことは可能であり紳士協定ではない。
(エ) 平成17年(2005年)に改正された新不正競争防止法により、共同開発を目的として開示された情報について、情報を受領した当事者に対し5年間秘密保持義務が課されたので、あえて秘密保持契約を締結する必要はない。
⇒×:5年間秘密保持義務が課すような明文規定はない。

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