平成26年度1次試験解答:財務・会計
設問21
解答:イ
システミック・リスクとは、個別の金融機関の支払不能等や、特定の市場または決済システム等の機能不全が、他の金融機関、他の市場、または金融システム全体に波及するリスクのことをいいます。 金融システムにおいては、個々の金融機関等が、各種取引や決済ネットワークにおける資金決済を通じて相互に網の目のように結ばれています。
このため、一箇所で起きた支払不能等の影響が、決済システムや市場を通じて、またたく間にドミノ倒しのように波及していく危険性があります。
システミック・リスクが現実のものとなった場合には、多くの決済が混乱に陥り、企業や個人の経済活動に悪影響が及ぶことになります。このため、日頃からシステミック・リスクを小さくしておくことが重要です。
(ア) | 先物価格と現物価格との差が理論値からかい離することにより損益が変動するリスク。 →×:先物価格と現物価格との差は、「ベーシス」といい、このベーシスが理論値から乖離することによるリスクを「ベーシスリスク」という。 |
(イ) | 市場全体との相関によるリスクであり、分散化によって消去できないリスク。 →〇:適切である。 |
(ウ) | 市場で取引量が少ないために、資産を換金しようと思ったときにすぐに売るこ とができない、あるいは希望する価格で売ることができなくなるリスク。 →×:流動性リスクの説明である。 |
(工) | 取引相手に信用供与を行っている場合に、取引相手の財務状況の悪化や倒産に より利払いや元本の受取が滞ってしまうリスク。 →×:デフォルトリスクの説明である。 |
設問22
解答:ウ
オプション取引において、買う権利のことをコール・オプション、売る権利のことをプット・オプションという。
(ア) | 金利が高ければコール・オプションの価値は高く なる。 →〇:金利が高くなれば行使価格の現在価値が低下する。したがって、コール・オプショんの場合、実質的に行使価格が低下して価値は高くなる。 |
(イ) | 他の条件が一定であるとき、原資産の価格が高ければコール・オプションの価値は高くなる。 →〇:コール・オプションは、権利行使価格で原資産を買うことができる権利であるから、原資産価値が上昇すれば、コール・オプションの価値も上昇する。 |
(ウ) | 他の条件が一定であるとき、原資産の価格変動性が高ければコール・オプショ ンの価値は低くなる。 →×:コール・オプションの場合、原資産価格が上昇すると本源的価値(本質的価値)が高くなるで、オプションの価格は高くなり、原資産価格が下落すると本源的価値(本質的価値)が低くなる。したがって、コール・オプションの価格は低くなる。 |
(工) | 他の条件が一定であるとき、行使価格が高ければコール・オプションの価値は低くなる。 →×:コール・オプションの場合、権利行使価格が高くなれば利益をあげる可能性が減少するため、オプションの価値は低下する。 |