平成18年度1次試験問題:財務・会計
設問11
次の<語群>に示されたアルファベットは企業買収に関わる略語であり、<説明群>はそれらの意味を説明したものである。最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
<語群> | |||||||
@LBO | AMBI | BMBO | CTOB |
<説明群> | |
a | 株式公開買い付けといわれ、買収企業が被買収企業の株式について、買付期間、買付株数、買付価格を公表して、不特定多数の株主から株式を獲得する方法である。 |
b | 企業の子会社や事業部などの経営者が、ベンチャーキャピタルなどから資金調達して新会社を興し、当該子会社を買収したり、事業部の譲渡を受けること。 |
c | 買収企業が、被買収企業の資産を担保として資金調達し、当該企業を買収すること。 |
d | ベンチャーキャピタルなどの投資家が企業を買収し、被買収企業に経営者を送り込むこと。投資家はこれにより、被買収企業の価値が高まり、キャピタルゲインを得られると期待している。 |
【解答群】
(ア) @−b A−a B−c C−d (イ) @−b A−a B−d C−c (ウ) @−c A−b B−d C−a (エ) @−c A−d B−b C−a
設問12
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
デリバティブには、先物(フューチャー)やオプションなどがある。先物は、所定の原資産を将来の一定時点(満期日)に所定の価格で売買する契約である。なお、@先物と類似しているものに先渡し(フォワード)がある。
また、オプションとは、所定の原資産を将来の一定時点にあるいは一定時点までに、所定の価格で売買する権利を意味する。オプションには【 A 】・オプションと【 B 】・オプションがある。前者は原資産を売却する権利であり、後者は原資産を購入する権利である。また、将来の一定時点にだけ権利行使ができるオプションは【 C 】型と呼ばれ、将来の一定時点までならばいつでも権利行使できるオプションは【 D 】型と呼ばれている。
オプションをヘッジ目的で利用するケースを、次のような株式オプション(株式を原資産とするオプション)で考えてみよう。
S社は、Z社株式を1株1,000円で1,000株購入した。Z社株式の株価が将来値下がりする可能性に不安を感じたS社は、その損失を限定するために、Z社株式1,000株を原資産とするプット・オプション(1株の権利行使価格900円で、3カ月後を限月とする)を同時に購入した。このプット・オプションは満期日にだけ権利行使できるタイプであり、オプション価格はZ社株式1株につき 60円であった。次表は、満期日におけるZ社の株価別にS社の損益を表している。なお、利息や取引手数料等は無視し、オプション損益にはオプション価格を含め、△は損失を示している。
このように、現物株の所有とそれに対応するプット・オプションの所有からなるポートフォリオの損失は、最悪の場合でも△【 H 】万円に限定される。他方、 このプット・オプションの売り手にとっては、オプションの利益は最大で【 I 】万円に限定される。
(設問1)
文中の下線部@について、先物と先渡しに関する説明として、最も不適切なものはどれか。
【解答群】
(ア) 先物では、先物価格の変動に基づき日々値洗いが行われるが、先渡しでは受渡日に清算されるのが一般的である。 (イ) 先物と先渡しは、所定の原資産を将来の一定時点に所定の価格で売買する契約という意味では同じである。 (ウ) 先物は相対取引あるいは店頭取引として行われるが、先渡しは取引所で取引される。 (エ) 先物も先渡しも投機目的で利用することができる。
(設問2)
文中の空欄A〜Dに入る語句の最も適切な組み合わせはどれか。
【解答群】
(ア) A:コール B:プット C:アメリカ D:ヨーロッパ (イ) A:コール B:プット C:ヨーロッパ D:アメリカ (ウ) A:プット B:コール C:アメリカ D:ヨーロッパ (エ) A:プット B:コール C:ヨーロッパ D:アメリカ
(設問3)
本文中に示した表の空欄E〜Gに入る最も適切な数値の組み合わせはどれか。
【解答群】
(ア) E: 900 F:30 G: 8 (イ) E: 900 F:40 G: 6 (ウ) E:1,000 F:30 G: 8 (エ) E:1,000 F:40 G: 6
(設問4)
文中の空欄H、Iに入る最も適切な数値の組み合わせはどれか。
【解答群】
(ア) H:10 I: 6 (イ) H:10 I:10 (ウ) H:16 I: 6 (エ) H:16 I:10
設問13
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
金利計算の方式は、大きく分けると@単利方式と複利方式に分けられる。金利計算は、単に利息の計算に用いられるだけではなく、財務の世界では、資産価値を評価するためなどにも用いられる。数値例を示してみよう。ただし、計算は下表の年金現価係数表を用いる。また、税金はないものとする。
たとえば、半年後から半年ごとに3万円ずつの利息を受け取ることができる残存期間3年の既発社債、額面 100万円を購入しようとするとき、割引率が年8%であったとしたら、この社債の現在価値は、【 A 】万円と計算される。したがって、この社債の価額がこれより高ければ購入を控え、これ以下であれば、購入してもよいであろう。
もう一つの例を考えてみる。あるリース会社が100万円の機械を購入し、5年間他社にリースしようとしている。この資産の耐用年数は5年で残存価額はゼロである。また、減価償却は残存価額をゼロとした定額法を用いる。リース会社の要求利益率は年6%である。この機械購入後1年後から毎年1回同一日に均等額のリース料を受け取るとするとき、この年間のリース料はいくらとするべきであろうか。このリース料の最低額は【 B 】万円でなければならない。
(設問1)
文中の下線部@についての説明として、最も不適切なものはどれか。
(ア) | 元金、利率、貸付期間が同じであれば、満期時元利合計額は、1年複利方式の方が単利方式より必ず大きくなる。 |
(イ) | 単利方式では、元金と金利が一定であれば、満期時利息額は計算期間(貸付期間等)の長さに比例する。 |
(ウ) | 単利方式は、元金に対してのみ利息が付与される。 |
(エ) | 複利方式は、1年に何回利息を元金に組み入れるかにより、1年複利、半年複利などがある。 →○:複利方式は、1年に何回利息を元金に組み入れるかによっり、「1カ月複利」「半年複利」「1年複利」がある。条件が同じ場合は「1カ月複利」が最も効率的である。 |
(設問2)
文中の空欄Aに入る数値を求めるための最も適切な式はどれか。
【解答群】
(ア)100× 4.62+3×4.62
(イ)100×(4.62−3.99)+3×4.62
(ウ)100× 5.24+3×5.24
(エ)100×(5.24−4.45)+3×5.24
(設問3)
文中の空欄Bに入る数値を求めるための最も適切な式はどれか。
【解答群】
(ア)100÷4.21
(イ)100÷4.58
(ウ)100÷4.92
(エ)100÷5.42
設問14
次の資料より求められる最も適切な株主資本(自己資本)額を下記の解答群から選べ。
株主資本利益率 | 16% | |
売上高利益率 | 2% | |
総資産回転率 | 2回 | |
総資産額 | 1,000万円 |
【解答群】
(ア)160万円
(イ)250万円
(ウ)320万円
(エ)500万円
設問15
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
設備などの投資決定において、まず重要なことは、その投資を実施することから生じる将来のキャッシュ・フローを予測することである。
たとえば、新製品投資において、ある年度の損益が表1のように予測されたとする。このとき実効税率を40%とすると、この年度の税引き後キャッシュ・フローは【 A 】万円と予測しなければならない。
※期首・期末にたな卸資産はない。
また、取替投資のような場合は、現行のキャッシュ・フローと、取り替えることによるキャッシュ・フローとの差額(差額キャッシュ・フロー)で考えればよいときもある。表2は現行設備(旧設備)を新設備に取り替えるかどうかの資料を示してい
る。また実効税率は40%とする。この資料によれば、新設備に取り替えるときの投資額(税引き後差額キャッシュ・フロー)は【 B 】万円と算出される。
投資のキャッシュ・フローは長期にわたって生じるため、経済的変化の影響を受けやすい。キャッシュ・フローの変化の大きさをリスクと呼ぶが、このリスク分析にはいくつかの方法がある。【 C 】は、最初に定めた条件を変化させて、
キャッシュ・フローがどの程度変化するかを見る方法である。また、キャッシュ・フローのリスクを生じさせる要因(変化要因)を確率変数と見なして、キャッシュ・フローの確率分布を見いだす方法として【 D 】と【 E 】がある。前者は、逐次的に投資決定が行われるような場合にも適用される。
キャッシュ・フローの予測とリスク分析が行われると、そのリスクをどのように評価するかが問題となる。【 F 】は、各年度のキャッシュ・フローの期待値をリスクの程度に応じて、低く見積もる方法である。また、【 G 】は、リスク・プレミアムだけ割引率を大きくして、投資を評価する方法である。
(設問1)
文中の空欄Aに入る最も適切な数値はどれか。
【解答群】
(ア)90
(イ)120
(ウ)140
(エ)150
(設問2)
文中の空欄Bに入る最も適切な数値はどれか。
【解答群】
(ア)348
(イ)352
(ウ)400
(エ)448
(設問3)
文中の空欄C〜Eに入る最も適切な語句の組み合わせはどれか。
【解答群】
(ア) C:感度分析 D:シュミレーション E:デシジョン・ツリー (イ) C:感度分析 D:デシジョン・ツリー E:シュミレーション (ウ) C:シュミレーション D:感度分析 E:デシジョン・ツリー (エ) C:シュミレーション D:デシジョン・ツリー E:感度分析
(設問4)
文中の空欄F、Gに入る最も適切な語句の組み合わせはどれか。
【解答群】
(ア) F:確実性等価法 G:内部利益率法 (イ) F:確実性等価法 G:リスク調整割引率法 (ウ) F:収益性指数法 G:内部利益率法 (エ) F:リスク調整割引率法 G:確実性等価法