平成17年度1次試験解答:財務・会計
設問11
解答:イ
資産と負債の増減に関するキャッシュの増減は次のようになる。
- 資産の増加(減少):現金の減少(増加)
- 負債の増加(減少):現金の増加(減少)
a | 売掛金の増加は、現金の減少をもたらす。 →○:売掛金(資産)の増加は、現金の減少をもたらす。 |
b | 買掛金の減少は、現金の増加をもたらす。 →×:買掛金(負債)の減少は、現金の減少をもたらす。 |
c | 支払手形の増加は、現金の増加をもたらす。 →○:支払手形(負債)の増加は現金の増加をもたらす。 |
d | 棚卸資産の減少は、現金の減少をもたらす。 →×:棚卸資産(負債)の減少は、現金の増加をもたらす。 |
設問12
解答:設問1:ア 設問2:エ 設問3:イ
(設問1)
企業価値(株主価値)を帳簿価値によって評価するには、次の式で求めることができる。
企業価値=総資産(簿価)-総負債(簿価)
よって【 A 】は、
5、000万円(当期貸借対照表の資産総領)-1、000万円(負債総額)=4,000万円
が入る。
また市場価値によって評価するには、次の式で求めることができる。
企業価値=総資産(時価等)-総負債(時価)
よって【 B 】は、
6、000万円(個別資産の当期時価評価総額)-1、000万円(負債時価評価総額)=5,000万円
が入る。
よってアが解答である。
(設問2)
16、000円(予想EPS)×500株(当期末発行済株式総数)=8,000,000
8,000,000÷10(要求利益率)=8,000
よってエが解答である。
(設問3)
トービンのq理論 とは、アメリカの経済学者ジェームズ・トービンが提唱した投資理論であり、トービンのqは株式市場で評価された企業の価値を資本の再取得価格で割った値として定義される。トービンのq理論は次の式で求めることができる。
q= | 企業の市場価値 |
現在の市場ストックを買い換える費用総額 |
※企業の市場価値=企業の株価の総額+負債の総額
企業の株価の総額=予想株価×当期末発行済株式総額
- 企業の市場価値を求める
=1,6000円(予想株価)×500株(当期末発行済株式総数)
=80,000,000(企業の株価の総額)
=80,000,000(企業の株価の総額)+10,000,000万円(負債総額)
=90,000,000 - 現在の市場ストックを買い換える費用総額を求める
=60,000,000(個別資産の当期時価評価総額) - qを求める。
90,000,000 =1.5 60,000,000 - qが1より小さい場合、市場は企業を過小評価しているといえる。一方、qが1より大きい場合、市場は企業を過大評価しているといえる。
設問13
解答:設問1:エ 設問2:エ
(設問1)
【 A 】は、与えられた公式 E(Ri)=Rf+[E(Rm)-Rf]×βiに、
Rf | : | 4% |
E(Rm) | : | 5.00% |
βi | : | 0.8 |
を代入する。E(Ri)=4+[5-4]×0.8=4.8(%)
よって【 A 】には4.8が入る。
【 B 】も同様に、与えられた公式 E(Ri)=Rf+[E(Rm)-Rf]×βiに、
E(Ri) | : | 6.0 |
Rf | : | 4% |
E(Rm) | : | 5.00% |
を代入する。
6.0=4+[5-4]×βi
6.0=4+βi
βi=2
よって【 B 】には2が入る。
よって解答は(エ)A:4.8 B:2.00である。
(設問2)
a | 個別証券のリスク・プレミアムは、市場ポートフォリオのリスク・プレミアムを
当該個別証券のベータ係数で除したものに等しい。 →×:個別証券のリスク・プレミアムは、市場ポートフォリオのリスク・プレミアムを 当該個別証券のベータ係数で掛けたに等しい。 |
b | 個別証券のリスク・プレミアムは、すべての個別証券について等しくなる。 →×:個別証券のベータ係数は証券によって変わる。 |
c | 個別証券のリスク・プレミアムを当該証券のベータ係数で除したものは、市場ポートフォリオのリスク・プレミアムと等しい。 →○:正しい。 |
d | 個別証券のリスク・プレミアムを当該証券のベータ係数で除したものは、すべての個別証券について等しくなる。 →○:正しい。 |
よって解答は エである。
設問14
解答:エ
加重平均資本コストとは、複数の資金調達源泉がある場合、調達源泉別のコストの総額が資金調達の総額に占める割合のことである。加重平均資本コスト(WACC)は次の式で求めることができる。
加重平均資本コスト | = | 自己資本×自己資本のコスト+他人資本(負債)×他人資本(負債)のコスト |
自己資本+他人資本(負債) |
0.09×8,000+0.06×4,000 | = | 0.08⇒8.0% |
8,000+4,000 |