トップページ企業経営理論トップページ過去問題 >平成19年度問題

平成19年度1次試験問題:企業経営理論

設問6

 企業の業績に影響を与える業界の環境や構造、そして戦略に関する説明として、 最も不適切なものはどれか

【解答群】
(ア) 業界の需要や費用の構造が企業の戦略に支配的な影響力をもつ場合、ライバル企業間の売上規模の差異は見られなくなり、それら企業の業績は比較的類似なものになる。
(イ) 高収益を続けている企業は、同業他社に比べて創業の早い段階から独自な製品や技術による強固な市場を築くとともに、技術開発を怠らず、新製品を連続的に生み出す傾向がある。
(ウ) 多角化の目的のひとつは売上規模の拡大にあるが、新規市場での高い収益を維持する仕組みや参入障壁の構築に注意しないと、同業他社の追随を招きやすい。
(工) 他社と同じ市場を選択しても、自社のあらゆる活動を目的合理的に見直し他社と異質な環境適応の仕組みを構築することで独自性を発揮できる。

解答を確認する

設問7

 近年、薄型テレビやデジタルカメラなどのエレクトロニクス分野では、技術開発力のある大企業ばかりでなく、中小企業も巻き込んで活発な技術開発や製品開発の競争がみられる。そのような動向に関する説明として、最も不適切なものはどれか

【解答群】
(ア) 技術開発力が不足するために技術競争を回避せざるをえない企業は、標準化した技術や中間財を利用して、価格を武器に市場ニーズに直結した商品開発に特化して、参入障壁の高い強固な市場地位を確立できる。
(イ) 技術革新をめぐる競争が製品の性能アップ競争として展開される場合に、性能を数値目標化して開発を進めると、数値目標が目に見えやすくなるのでライバル企業の追随を受けやすくなる。
(ウ) 製品のキーデバイスを外部調達して大量安価に製品を供給できる仕組みを。国際的な水平分業によって実現できれば、世界的に市場シェアを高めて、コスト・リーダーシップを握ることが可能になる。
(工) 製品の性能アップ競争が激しくなると、顧客による性能対費用の評価も厳しくなるので、企業の収益性は悪化することになる。

解答を確認する

設問8

 近年、多くの産業で、技術革新の進展や顧客ニーズの変化のスピードアップにと もなって、製品のライフサイクルが短縮化する傾向が見られる。これに対応すべく 企業のイノベーション活動は活発化している。そのような戦略対応に関する説明と して、最も不適切なものはどれか

【解答群】
(ア) 一般に、新製品開発のイノベーションが先行して、生産工程のイノベーションがそれに続くことが多いが、時間の経過とともにイノベーション・プロセスは洗練・精密化され、やがてイノベーションの発生頻度は低下するようになる。
(イ) 営業部門が保有する固有の市場情報を製品イノベーションに用いるには、技術部門と営業部門との密接な連携が重要であるが、それぞれの部門には価値観の違いや固有の情報処理特性があるので、交流には時間やコストをかけた努力が必要になる。
(ウ) 業界主流の製品を供給している企業は、技術イノベーションに注力しすぎて、当該製品をしばしば消費者の求める製品の性能から乖離した高性能製品にしてしまうことがある。
(工) 業界で市場シェアの高い有力な製品をもつ企業では、現有市場の顧客ニーズを重視するあまり、自社のこれまでの技術と異質な新規技術への取り組みが後手に回り、しばしば次世代技術に乗り遅れることが見られる。
(オ) リード・ユーザーは現有製品を自分好みに改良しようとする傾向が強いので、このユーザの情報に基づいて開発した製品は、一般ユーザーを対象に行う市場調査情報に基づいて開発された製品に比べて、改良型製品になりやすい。

解答を確認する

設問9

 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
 @日本企業が海外への直接進出を始めた1960年代から1970年代には、欧米の企業と異なる海外直接投資の特徴がみられた。現在ではそれらの特徴も薄らぎ、日本企業はグローバルな事業展開を目指すようになっている。そして親企業の海外展開にともなって、系列の中堅・中小企業も海外進出することは最早当たり前になってきた。さらに、AASEANや中国などへは中堅・中小企業が独自に進出することも珍しくない
 しかし、東アジアではB日本の中堅・中小企業が得意とする分野で現地企業の技術水準が上昇してきており、分業関係が複雑化していることに注意しておかなければ ならない。

(設問1)
 文中の下線部@で指摘されている日本企業の海外への直接進出の特徴に関する 説明として、最も不適切なものはどれか

【解答群】
(ア) 高度成長期の日本企業の基本戦略は、拡大を続ける巨大な国内市場への対応にあったため、海外進出よりも輸出による海外市場開拓を志向する傾向が強かった。
(イ) 電機産業では商社のあっせんで現地パートナーの工場や施設を利用したり、現地の工場団地に入居したりして初期投資を節約しながら海外進出するといった商社参加型の進出が多くみられた。
(ウ) 日本企業の海外子会社は本国志向が強く、現地人の幹部登用が少なく、日常業務では日本語が多く使われるなど、現地への適応は欧米に比べて遅れた。
(工) 米国が先進国のヨーロッパにまず初めに海外直接投資したこととは対照的に、日本企業は東南アジアや中南米諸国など発展途上国への海外直接投資が数多く試みられた。

(設問2)
文中の下線部Aのような進出の理由として最も適切なものはどれか。

【解答群】
(ア) 近年、進出企業の多いベトナムでは、外資優遇策、低廉な工業用地、質の高い勤勉な若い労働力などが外資を引き付けているが、概して産業インフラが十分に整っていない場合が少なくない点に注意が必要である。
(イ) これらの地域では既に多くの日本企業が進出しているので、それらの企業を通じて原材料や中間財のほとんどすべてを必要な量だけ安価に現地調達でき、また、現地国にも供給企業が多数存在するので、安定した操業を確保できることが進出の魅力になっている。
(ウ) 中堅・中小企業では商社をパートナーにした海外進出が多く見られるが、これは商社を通じて不足する海外進出ノウハウを補完できることや、自前で現地市場情報を直接に入手したり、海外進出のノウハウを習得できるなどのメリットがあるからである。
(工) 東アジアでは急拡大する現地市場が外資に開放されているが、注目の集まる中国では流通網が整っているのでそれを利用したマーケティング活動が可能であることが、中堅・中小企業の中国進出に拍車をかけている。

(設問3)
 文中の下線部Bのような状況に関する説明として、最も不適切なものはどれ か

【解答群】
(ア) 現在の中国の電機分野をみると、台湾企業等の指導を受けて、金型製作や圧縮・押出・射出成形の技術が急速に向上し、日本の技術水準を上回ってきたため、この領域への日本からの進出ができなくなった。
(イ) 現地企業との分業関係が発展しにくいのは、自社の技術やノウハウの漏洩(ろうえい)防止への拘泥、取引先が日系企業であることなどのためであるが、その結果日本企業の現地との交流が乏しく、現地化が遅れる要因になっている。
(ウ) この地域の電子組立・実装技術は高度であり、コンピュータなどの電子機器については世界の生産センターになりつつあるが、すり合わせ技術タイプの自動車については先進国の技術指導を受け入れる段階にある。
(工) 日系企業は現地で一貫生産体制をとることが多く、工程分業をする場合でも日系企業をパートナーに選択する傾向が強いが、台湾や韓国の企業は現地企業との取引関係を強めながら、現地化を推進している。

解答を確認する

設問10

 発展している新興の産業分野を見ると、業界独特の機会が存在しており、それを 活用することによって企業は他社を上回る業績をあげることができる。そのような 業界の機会に関する説明として、最も不適切なものはどれか

【解答群】
(ア) 業界の発展の初期段階で先行する企業は、競合する他社よりも早く累計生産量を積み増すことができるので、コスト優位よりも製品の差別化を追及できる。
(イ) 新興市場の不確実性が高い場合、後続企業は新規分野への参入の意思決定を遅らせて、ビジネスの機会が確実になるとただちに量産体制を整えて市場に参入すれば、先発企業に比べてコスト優位を発揮できる可能性が高くなる。
(ウ) 成功に結びつく経営資源を業界に知れ渡る前に入手することによって、持続可能な競争優位を獲得して、模倣に対する障壁を築くことができる。
(工) 先行企業が特許取得によって得られる利益機会は、早期投資に見合う収益が不確実である場合、必ずしも大きくなるとはいえない。

解答を確認する

Copyright(C)Katana All right reserved.