平成21年度1次試験問題:経済学・経済政策
設問1
次の付加価値に関する文章中の空欄に入る最も適切な数字を下記の解答群から選べ。
(1) 農家による「オレンジ」の生産が40万円であった。ただし、生産に必要とされる中間生産物などの投入費用はゼロとする。このうち、飲料メーカーに30万円分を卸し、残りの10万円分を消費者に販売した。
(2) 飲料メーカーは農家から仕入れた30万円分の「オレンジ」で、「オレンジジュース」50万円分を生産した。
(3) スーパーマーケットは飲料メーカーから50万円分の「オレンジジュース」を仕入れ、消費者への「オレンジジュース」の販売が60万円であった。
(4) このとき、付加価値の合計は【 A 】万円に等しい。
【解答群】
(ア) |
60 |
(イ) |
70 |
(ウ) |
80 |
(エ) |
90 |
(オ) |
100 |
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設問2
下図は、世界の輸出市場に参加する労働力人口を表したものである。この図によれば、新興工業国の経済発展とともに、世界の輸出に関わる労働力人口は、25年間で約4倍の伸びを示している。しかし、このうち、日本への輸出に関わる労働力人口の増加は約2倍の伸びにとどまっている。このため、少子化が加速する日本国内では、グローバル化の効果を活用していないことが指摘される。
下図と関連して、次の文章中の空欄AおよびBに入る最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
少子化が加速し、労働が相対的に希少な日本では、グローバル化の効果として【 A 】が生じ、それに伴い、国内においては【 B 】圧力が掛かると考えられる。

【解答群】
(ア) |
A:労働集約財の輸出拡大 |
B:賃金の引き上げ |
(イ) |
A:労働集約財の輸出拡大 |
B:賃金の引き下げ |
(ウ) |
A:労働集約財の輸入拡大 |
B:賃金の引き上げ |
(エ) |
A:労働集約財の輸入拡大 |
B:賃金の引き下げ |
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設問3
下図は、最終需要項目1単位の増加がどれだけ生産を誘発するかを、大企業と中小企業に分けて表したものである。この図から、民間消費や公的固定資本形成の拡大による生産誘発効果は、大企業よりも中小企業のほうが大きいことがわかる。
しかし、近年、中小企業が依存する民間消費は伸び悩み、それが中小企業の利益率を低下させていることが指摘されている。その理由として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a |
家計部門の所得は急速に増加しているが、公共事業の縮小に伴う景気へのマイナス効果が生じている。 |
b |
正規雇用から非正規雇用への雇用形態のシフトに伴い、賃金を押し下げる要因が作用している。 |
c |
賃金が下降傾向にあり、家計部門の所得の伸び悩みから消費拡大のスピードが緩慢になっている。 |
d |
労働市場が逼迫し賃金は上昇傾向にあるが、家計部門の貯蓄の増大が著しい。 |
【解答群】
(ア) |
aとb |
(イ) |
aとd |
(ウ) |
bとc |
(エ) |
bとd |
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設問4
次の均衡GDPの決定および変動に関する文章を読んで、下記の設問に答えよ。
右の図は、均衡GDPの決定を表したものである。
いま、総需要ADが消費支出C、投資支出I、政府支出G、貿易収支(輸出Xマイナス輸入M)から構成される経済モデルを想定する。
AD=C+I+G+X−M
また、消費関数、投資関数、輸入関数はそれぞれ、
C=C0+c(Y−T0)
I=I0−ir
M=M0+mY
として与えられる。各記号は、Y:GDP、C0:独立消費、c:限界消費性向(0<c
<1)、T0:租税収入(定額税)、I0:独立投資、i:投資の利子感応度、r:利子率、M0:独立輸入、m:限界輸入性向(m>0、c>m)である。なお、政府支出G、輸出Xは与件であり、おのおのG=G0、X=X0とする。利子率も与件であり、r=r0とする。
このとき、総需要線は
AD=C0+c(Y−T0)+I0−ir0+G0+X0−M0−mY
である。
他方、図中の45度線はY=ADを描いた直線である。
ここで、@総需要線ADと45度線の交点において生産物市場が均衡し、均衡GDP
はY*の水準に決定される。A独立投資や輸出などの変化は乗数効果を通じて、均衡GDPの水準に影響を及ぼすことになる。

(設問1)
文中の下線部@について、総需要線ADの説明として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a |
総需要線の傾きは、限界貯蓄性向と限界輸入性向の差に等しい。 |
b |
政府支出の拡大と増税が同じ規模で実施された場合、総需要線の位置は変わらない。 |
c |
投資の利子感応度がゼロの場合、利子率が低下しても総需要線の位置は変わらない。 |
d |
独立輸入の増加は、総需要線を下方にシフトさせる。 |
【解答群】
(ア) |
aとb |
(イ) |
aとc |
(ウ) |
bとc |
(エ) |
bとd |
(オ) |
cとd |
(設問2)
文中の下線部Aについて、輸出の変化に伴う外国貿易乗数として最も適切なものはどれか。
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設問5
次の景気動向指数に関する文章中の空欄AおよびBに当てはまる最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
景気動向指数は、景気の現状分析や見通し、景気の局面や転換点の確認を行う上で有効な指標である。このうち、先行系列は景気の予測に用いられ、【 A 】、東証株価指数などが含まれる。一致系列は景気の現状を見る上で活用され、生産指数(鉱工業)、【 B 】、中小企業売上高(製造業)などが含まれる。さらに、遅行系列は景気の局面を把握するために用いられ、常用雇用指数(製造業)などが含まれている。
【解答群】
(ア) |
A:稼動率指数(製造業) |
B:新設住宅着工床面積 |
(イ) |
A:実質機械受注(船舶・電力を除く民需) |
B:稼動率指数(製造業) |
(ウ) |
A:新設住宅着工床面積 |
B:実質機械受注(船舶・電力を除く民需) |
(エ) |
A:有効求人倍率(除学卒) |
B:実質機械受注(船舶・電力を除く民需) |
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