平成18年度1次試験解答:経済学・経済政策
設問1
解答:ア
- GNP(Gross National Product:国民総生産)
- 生産者あるいは労働者がその国の国民であるかどうかにかかわらず、その国の領土内で生産された財(商品)やサービスの価値額を計上したものである。
- GDP(Gross Domestic Product:国内総生産)
- 生産される場所が国内であるか外国であるかにかかわらず、その国の国民が生産した財やサービスの価値額を計上したものである。
(ア) | GNPは、GDPに「海外からの要素所得受け取り」を加え、そこから「海外への要素所得支払い」を差し引いた値に等しい。 →○:正しい。GNP=GDP+「海外からの要素所得受け取り」−「海外への要素所得支払い」で算出することができる。 |
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(イ) | アメリカ人の演奏家が日本での演奏活動によって所得を得た場合、それは日本のGNPに合まれる。 →×:アメリカ人の演奏家が日本での演奏活動によって所得を得た場合は、日本の国土で取得した所得なので日本のGDPには含まれるが、日本のGNPには含まれない。 |
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(ウ) | 実質GDPは、名目GDPにGDPデフレーターを掛けた値に等しい。 →×:GDPデフレーターは次の式で求めることができる。よって実質GDPは、名目GDPをGDPデフレータで割った値に等しい。
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(エ) | 日本人の大学教授がアメリカでの教育活動によって所得を得た場合、それは日本のGDPに合まれる。 →×:日本人の大学教授が教育活動によって得た所得なのでGNPには含まれる。しかし、日本国内での経済活動から得られる所得ではないので、日本のGDPには含まれない。 |
よって解答はアである。
設問2
解答:オ(bとd)
a | 1980年代前半、アメリカでは、レーガノミックスによって財政赤字が拡大し、低金利と強いドルを指向した政策が採用され、それを反映して為替レートは円安・ドル高に推移した。 →×:レーガノミックスとは、1980年代前半、アメリカのレーガン大統領の大型減税、財政拡張、規制緩和によって消費の活性化を図った政策である。高金利と強いドルを施行した政策が採用された。 |
b | 長期的に見ると、実際の為替レートは、貿易の対象となる財のウェイトが高い卸売物価に基づく購買力平価に収束する傾向にある。 →○:設問の図より為替ルートの実勢値は卸売物価に基づく購買力平価に収束する傾向にある。 |
c | 1990年代半ばには、最高の円高水準を記録したが、大半の日本製品は依然として強い価格競争力を維持し、自動車の対米輸出自主規制が設定された。 →×:1995年4月、円は円高が進み1ドル=80円を割り込んだので前半部分は正しい。しかし自動車の対米輸出自主規制は1990年代半ばではなく、1981年〜1983年に設定された。 |
d | 内外価格差は、貿易の対象とならない財・サービスのウェイトが高い消費者物価に基づく購買力平価と実際の為替レートとの格差によって側ることができる。 →○:内外価格差とは、同一の商品(あるいは商品群)を国内および国外で購入し た場合の価格の差である。内外価格差は一般的には購買力平価÷為替ルートで求めることができる。 |
よって解答はオである。
設問3
解答:イ
グラフ | 分類 | 特徴 |
Aのグラフ | 国内生産 | 減少傾向から近年は横ばいで推移している、最も高い台数を示している。 |
Bのグラフ | 輸出 | 自動車の輸出は近年好調であり、微増している。 |
Cのグラフ | 海外生産 | 自動車メーカーは米国、東南アジア、近年では中国など世界各国での現地生産に活発に取り組んでおり、毎年増加している。 |
Dのグラフ | 輸入 | 自動車輸入台数は一貫して低い。 |
よって解答はイである。
設問4
解答:設問1:エ 設問2:エ
解説省略
←問題に戻る設問5
解答:ウ
空欄である【 A 】〜【 B 】を埋めると次のようになる。
最近の日本経済ではデフレ脱却の兆候が見られ、2006年3月、金融の量的緩和政策が解除されるに至った。そもそも金融の量的緩和は、2001年3月以降に採用され、日本銀行は金融市場における操作目標を、それまでの【A:短期金利】から【B:日銀当座預金残高】に切り替えるというものであった。これに伴い、金融の量的緩和を図る手段として、【C:買いオペ 】が採用された。
【 A 】:バブル崩壊時、日本の公定歩合は0.5%という低水準であり、これ以上、公定歩合をさげることはできなかった。そこで日本銀行が目をつけたのが短期金利であった。短期金利を引き下げることで短期の資金需要を増加させようとしたのである。
【 B 】:短期金利の引き下げだけでは効果をもたらさなかったので、金融市場における操作目標をこれまでの短期金利から日銀当座預金に切り替えた。すなわち日本銀行の当座預金残高量の調節によって金融緩和を行うというものである。
【 C 】:買いオペとは、買いオペレーションの略で、日本銀行が金融市場から債券や手形を購入することを通じて、資金の市場流通量(ハイパワードマネー)を増やそうとする公開市場操作手法である。