平成15年度1次試験解答:経済学・経済政策
設問11
解答:設問1:エ 設問2:ア(a とc)
(設問1)
流動性の罠とは、利子率が極めて低水準であり、誰も貨幣以外の資産を持とうとしない状況の事である。この場合、いかなる人も債権よりも貨幣を選択するので貨幣需要は無限大になる。すなわち貨幣の需要曲線(流動性選好表)は水平となる。
a | 大多数の人は、利子率が将来上昇するという期待を持っている。 →○:利子率が極めて低水準であるため将来利子率が上昇するという期待を持っている。 |
b | 大多数の人は、利子率が将来上昇するという期待を持っていない。 →×:利子率が極めて低水準であるため将来利子率が上昇するという期待を持っている。 |
c | 流動性のわなに陥っている場合、金融政策の有効性は期待できない。 →○:流動性のわなに陥っている場合、金融政策は無効である。 |
d | 流動性のわなに陥っている場合、財政政策の有効性は期待できない。 →×:流動性のわなに陥っている場合でも財政政策は有効である。 |
設問12
解答:ア
傾きが緩やかな需要曲線ほど価格弾力性は大きくなる。逆に、傾きが急な需要曲線ほど価格弾力性は小さくなる。
すなわちD1、D2ではD1の方がD2に比べて傾きが緩やかなので価格弾力性は【@:大きくなる。】
また、5%の消費税の効果であるが、課税は供給曲線を税率分のみ上方に移動させるだけで、需要曲線は【A:シフトしない】。よってアが解答である。
設問13
解答:イ
生産者余剰は、赤色の部分となる。
30×30 | = | 450 |
2 |
で求めることができる。
また、元の総余剰のうち、数量30よりも右の領域は、死荷重(総余剰の減少分)である。数量30を需要曲線に代入すると、価格は70(100-30=70)となる。そこで死荷重は次の式で求めることができる。
(70−30)×(50−30) | = | 400 |
2 |
よって解答は(イ)@:450、A:400である。
設問14
解答:ア
SCPパラダイムのS は市場構造(Structure)、C は市場行動(Conducts)、 P は市場成果(Performance)の頭文字である。
- 市場構造(Structure)
- 市場の性質を規定する様々な要因
例)市場に存在する企業数、市場集中度、参入障壁の高さ、製品差別化の程度など - 市場行動(Conducts)
- 市場における企業の行動
例)価格・省さん決定、投資・研究開発、広告・販売促進活動など - 市場成果(Performance)
- 産業の成果
例)産業の収益性、アウトプット量の成長、雇用、技術進歩など
産業組織論では基本的に、市場構造→市場行動→市場成果というように、市場構造が市場行動を決め、それがさらに市場成果を決めるという考え方をする。
よって解答はアである。
設問15
解答:ア
【 @ 】:限界代替率とは、「第2財の消費を1単位減少させたときに、効用を一定に保つ為に必要な第1財の増加量」のことである。直線の無差別曲線であるので、両財の関係は完全代替的であり、限界代替率は一定である。
【 A 】:最適消費点とは、「予算制約の下で効用を最大化するような消費点」のことである。A、B、C、Dのどの点も予算制約線上に位置するので予算制約は満たしている。しかし、各点を通過する無差別曲線(赤い線)を描くと分かるように、点Aが効用を最大化しているので、 点A が最適消費点である。
よって解答はアである。
←問題に戻る