平成14年度1次試験解答:経済学・経済政策
設問16
解答:イ
ある企業ないし消費者の活動が市場の取引を得ないで、他の企業ないしは消費者に損害・便益を与える時、外部性が存在するという。
外部性には大きく分けて「正の外部性(外部経済)」と「負の外部性(外部不経済)」がある。
- 正の外部性(外部経済)
- 他の経済主体にとって有利に働く外部性。
- 家の周りに美しい花壇を作れば、近隣の人や通行人が気持ち良くなる。
- 養蜂業者が果樹栽培業者の果樹の授粉を促進する。
- 言語・電話・パソコンなどのコミュニケーション手段は、共通にもっている人が増えるほど有用性が増す。
- 負の外部性(外部不経済)
- 他の経済主体にとって不利に働く外部性。
- 工場の有害な排煙が住民の健康や自然に悪影響を与える。
- ガソリンの消費によって地球温暖化が進み、将来の世代に悪影響を及ぼす。
- 喫煙によって煙草の嫌いな人に不快を与える。
(ア) | ある企業の商品が急激に売れはじめたので、その企業の労働賃金が上がった。これは、当該企業の労働者が外部性の効果を享受したことを意味する。 →×:商品や労働賃金の向上は市場を通してなされる。よって外部性とは関係ない。 |
(イ) | インターネットの利用者が増えたので、利用者の便益が逓増した。これは、ネットワークの外部性と呼ばれるもののひとつである。 →○:正しい。インターネットの利用者が増えることでEメールなどを送る相手が増え便利になる。これは市場取引外の外部経済である。 |
(ウ) | 風上の企業A が汚れた煙を排出したので、風下のクリーニング店B の費用が増大した。これは、外部経済の内部化と呼ばれるもののひとつである。 →×:外部経済の内部化とは、外部経済・不経済を税等により是正することをいう。ここでは外部不経済が働いており、内部化(是正)されていない。 |
(エ) | 企業X の操業時の音量が大きいために、隣の商店Y の利益が減少した。これは、外部性にはあたらない。 →×:公害は外部不経済という外部性が存在していることである。 |
設問17
解答:ウ
(ア) | 違法な価格カルテルが発覚した場合、カルテルのメンバー企業に対しては、原価の公表が義務付けられている。 →×:公正取引委員会は、価格の引上げの理由について報告を求めることができるが、 原価の公表は義務付けられていない。 |
(イ) | 企業が独占禁止法に違反して他社に損害を与えた場合、公正取引委員会は、損害額と同額の課徴金の支払いを命じなければならない →×:課徴金の支払い義務は生じるが損害額と同額とは限らない。 |
(ウ) | 市場が「独占的状態」にある場合、公正取引委員会は、必要ならば、企業分割(「営業の一部の譲渡」)を命ずることができる。 →○:旧国鉄や 旧電電公社などが民営化されるとき、そのまま民営化されれば独占企業につながるので企業分割を命じた事例がある。 |
(エ) | わが国の独占禁止法では、持株会社の設立は、いかなる条件のもとでも許されない。 →×:持ち株会社とは、他の会社を支配する目的で、他の会社の株式を保有する会社のこと。持株会社には、純粋持株会社(主たる事業を持たず、株式の所有を通じて他の会社の事業活動を支配することを目的としている会社)と事業持株会社(自らも主たる事業を営み、かつ他の会社の事業活動を支配することもおこなっている会社)がある。 純粋持株会社は、事業支配力が過度に集中する恐れがあるとして、独占禁止法によって禁止されていたが、1997年6月に改正され解禁された。また、子会社が金融機関に限定されている金融持株会社も同年12月に解禁された。 |
設問18
解答:エ
産業連関表(Input Output Table:I-O表)とは、産業関の相互依存関係を、生産要素を投入する側と生産物を産出する側との関係で分析するための表である。
縦方向に見ると、表頭の各産業がその製品を生産するのに要した費用の構成(投入)が分かる。
横方向に見ると、表側の各産業が生産した商品の販路構成(産出)が分かる。
設問19
解答:エ
(ア) | 限界費用は、生産量が0とy*の間では逓減し、y*より大きい場合は逓増している。 →×:限界費用とは生産量を1単位増加させた時の費用の増加量のことである。限界費用は、点Fまでは逓減しているが、その点を越えると今度は逓増を始める。限界費用が低下から上昇に代わる点Fを変曲点という。 |
(イ) | 固定費用は0である。 →×:生産量がゼロの場合にも費用 がかかっているので固定費用は0ではない。 ![]() |
(ウ) | 生産量がy*より大きい場合には、「規模の経済性」が働いている。 →×:規模の経済性が働くということは、生産量の増加とともに平均費用が低下してなけらばならない。y*より右側(大きい場合)には、生産量が生産量が増えても費用は低下していないので、「規模の経済性」は働いていない。 |
(工) | 短期平均費用は、生産量が0とy*の間では逓減し、y*より大きい場合は逓増している。 →○:正しい。短期平均費用はグラフでは原点0と短期の総費用曲線STC上の点を結ぶ直線の傾きで表される。この傾きは、生産量が0とy*の間では逓減し、y*より大きい場合は逓増している。 |
設問20
解答:イ
(ア) | A点で平均費用曲線と限界費用曲線が交わるので、A点が操業停止点を表す。 →×:A点で平均費用曲線と限界費用曲線が交わるので、A点が損益分岐点を表す。 |
(イ) | B点での数量未満では固定費の回収ができないので、B点が操業停止点を表す。 →○:B点での数量未満では固定費の回収ができないので、B点が操業停止点を表す。 |
(ウ) | C点で限界費用が最小となるので、C点が操業停止点を表す。 →×:限界費用の最低点と操業停止点には関係性はない。 |
(工) | C点で限界費用が最小となるので、C点が損益分岐点を表す。 →×:限界費用の最低点と損益分岐点には関係性はない。 |