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平成14年度1次試験解答:経済学・経済政策

設問1

解答:イ

 各用語の説明を下記に記す。

(ア) J カーブ効果
→×:為替レートが変動したとき、その効果が現れるまでタイムラグがあり、短期的には予想される方向とは逆の現象が起こること。例えば、円安になれば、日本からの輸出価格が低下し、輸出が伸びて貿易黒字が大きくなるはずだが、その反対に貿易赤字が増えることがある。この現象のことである。
(イ) クラウディングアウト
→○:「押し出す」という意味で、政府による国債の大量発行が民間の資金調達と競合を起こし、金融市場が逼迫して金利を上昇させ、民間の資金調達が阻害される現象のことである。赤字財政を賄うために国債を発行する場合、その増発は国債価格を下落させ、利子率(国債価格)を上昇させる。これが社債などの利子率に波及するので、民間投資の減少を引き起こす、つまり民間の投資が押しのけられるという悪影響がでる。
(ウ) 投資の乗数効果
→×:投資の増加が国民所得に与える効果のことである。
(エ) リカードの等価定理
→×:減税のために国債を発行しても、将来はその償還のために増税されることになるので、効果は同じとなるという定理である。

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設問2

解答:ウ(bとd)

通貨危機の原因として、b の「持続的な財政赤字」とd の「対外債務の増加」が挙げられる。

持続的な経常収支黒字
→×:経常収支は赤字の国が多かった
持続的な財政収支赤字
→○:財政収支は持続的な赤字の国が多かった。
対外債務の減少
→×:多くの国は財政赤字に苦しみ、それを対外債務で補っていた
対外債務の増加
→○:多くの国は財政赤字に苦しみ、それを対外債務で補っていた。

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設問3

解答:ウ(bとc)

マンデル・フレミング・モデルに関する問題である。

 マンデル=フレミング・モデルでは、2つのケースで政策の効果が異なる。

  変動相場制 固定相場制
資本移動がない 金融政策有効、財政政策有効 金融政策無効、財政政策無効
資本移動が自由 金融政策有効、財政政策無効 金融政策無効、財政政策有効

 設問では、通貨・経済危機に瀕した発展途上国に関して問われている。通貨危機の原因の一つが途上国からの急激な資本の流出にあったことから、資本移動が自由に行われると考えることができる。

固定相場制下では、金融緩和政策の方が財政拡張政策よりも景気浮揚効果が大きい。
→×:資本移動が自由な国の固定相場制下では、金融政策は無効である。
固定相場制下では、金融緩和政策の方が財政拡張政策よりも景気浮揚効果が小さい。
→○:資本移動が自由な国の固定相場制下では、金融政策は無効である。また財政政策は有効である。
変動相場制下では、金融緩和政策の方が財政拡張政策よりも景気浮揚効果が大きい。
→○:資本移動が自由な国の変動相場制下では、金融政策が有効である。また財政政策は無効である。
変動相場制下では、金融緩和政策の方が財政拡張政策よりも景気浮揚効果が小さい。
→×:資本移動が自由な国の変動相場制下では、金融政策が有効である。また財政政策は無効である。

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設問4

解答:ウ

 フィリップス曲線とは、経済学において名目賃金上昇率(あるいわ、インフレ率)と失業率のトレードオフの関係を示したものである。つまり、失業率が低い時には、名目賃金上昇率が高く、失業率が高い時には、名目賃金上昇率が低いという関係である。
 すなわちエコノミストは、(ウ)失業率とインフレーションの関係を実証しようとしていると考えられる。

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設問5

解答:ウ

 各用語の説明を下記に記す。

 セーフガードとは、WTO(国際貿易機関)協定や GATT(ガット)の特例に基づく緊急輸入制限のことである。ある輸入品が急増し、自国の競合産業に重大な被害を及ぼすか、あるいはその恐れのある場合、国内市場の攪乱を防止するために、当該輸入品に対して輸入制限、あるいは禁止を行うことのできる緊急措置のことをいう。

 代替財とは、ある商品の価格が上昇(下落)したときに、価格に変更がないにも関わらず需要量が増加(減少)するような商品である。たとえば、バターとマーガリン、コーヒーと紅茶、米とパンなどがそれに該当する。

 補完財とは、ある商品の価格の上昇(下落)により価格に変更のない他の商品の需要量が増加(減少)するような商品である。たとえば、パンとバター、シャープペンシルと替え芯、パソコンとソフトなどがそれに該当する。

(ア) A国におけるこの製品の生産者
→×:A国におけるこの製品の生産者は、市場価格が上昇することによって利益を受ける
(イ) A国におけるこの製品の代替財の生産者
→×:A国におけるこの製品の代替財の生産者は、当該製品の市場価格が上昇することによって代替材に対する需要は高まるので利益を受ける
(ウ) A国におけるこの製品の補完財の生産者
→○:A国におけるこの製品の補完財の生産者は、当該製品の市場価格が上昇し、需要を減らしている為、補完財も需要を減らすことになる。すなわち、不利益を受ける。
(エ) この製品をA 国に輸出するB 国以外の第三国の生産者
→×:この製品をA国に輸出するB国以外の第三国の生産者は、B国からの輸入制限あるいは禁止措置によってライバルが減ることになるので、利益を受ける

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