平成25年度1次試験問題:経営法務
設問16s
法の適用に関する通則法の下で、準拠法に関する記述として最も適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) 債権譲渡の債務者その他の第三者に対する効力は、債務者の住所地法が準拠法となる。 (イ) 日本に事務所のある外国法人と従業員との雇用契約に当該外国法を準拠法とする規定がある場合、当該従業員に日本の労働基準法の規定の適用は認められない。 (ウ) 日本に事務所のある外国法人と日本の消費者との契約の約款に当該外国法を準拠法とする規定がある場合、日本の消費者に日本の法令によるクーリングオフは認められない。 (エ) 法律行為の成立及び効力は、当事者による選択がなければ、当該法律行為当時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法が準拠法となる。
設問17
外国会社が日本において取引を継続して行うこと営業活動を計画している。この場合、会社法上留意すべき事項に関する記述として最も適切なものはどれか。
【解答群】 (ア) 外国会社が日本において営業活動を行う場合には、外国会社の登記が必要である。この場合には、日本における営業所を設置しその住所を登記しなければならない。 (イ) 外国会社が日本において営業活動を行う場合には、外国会社の登記が必要である。この場合には、日本に住所を有する代表者を最低名定め登記しなければならない。 (ウ) 外国会社が日本において営業活動を行う場合には、外国会社の登記が必要である。これは、これから行う営業活動の準備として、もっぱら市場調査や情報収集を行うだけの場合でも同様である。 (エ) 外国会社が日本において営業活動を行う場合には、当該国の法律に従うため、日本の会社法は適用されない。
設問18
公私混同が激しく株式会社の存続を危うくする代表取締役Aを解職して、代表権をはく奪したい。さらにAを取締役から解任したい。この場合の記述として最も適切なものはどれか。なお、当該株式会社は取締役会設置会社であり定款による別段の定めがないことを前提とする。
【解答群】 (ア) 代表取締役Aを解職して代表権のない取締役にするには、株主総会において議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行わなければならない。 (イ) 代表取締役Aを解職して代表権のない取締役にするには、取締役会において議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、出席取締役の過半数の決議によらなければならない。 (ウ) 取締役Aを解任するには、株主総会において議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行わなければならない。 (エ) 取締役Aを解任するには、取締役会において議決に加わることができる全取締役が出席し全員の同意によって行わなければならない。
設問19
以下のあなたと社長の会話の中の空欄AとBに入る語句の組み合わせとして最も適切なものを、下記の解答群から選べ。
社長 | : | 「先日アドバイスをもらって銀行に提出したA の実績がどうなっているか、説明を求められているのだが。」 |
あなた | : | 「銀行の担当者も内部での説明義務があるのですよ。」 |
社長 | : | 「説明義務?何を説明するのかな。」 |
あなた | : | 「御社は債務超過が続き、借入金のリスケジュールをしてもらっていますよね。銀行としては、金融庁の金融検査マニュアルに基づいて、御社の債務者区分を破綻懸念先にしているかもしれません。」 |
社長 | : | 「破綻懸念先。冗談じゃない。そうなるとどうなるの?」 |
あなた | : | 「破綻懸念先に対する貸付金は不良債権として取り扱われます。」 |
社長 | : | 「不良債権!とんでもない。今は少し苦しいけど新しい取引先も増えてきて、来年からは業績も好転するのに。」 |
あなた | : | 「それを示すのがA なんです。担当者はそれが合理的で実行可能であれば、その区分を破綻懸念先ではなくB としてよいからなのです。」 |
社長 | : | 「担当者にはうちの状況は理解してもらっているとは思っているが、進捗についてももう少し話しておいたほうがよいな。」 |
【解答郡】 (ア) A:経営改善計画 B:要確認先 (イ) A:経営改善計画 B:要注意先 (ウ) A:資産売却計画 B:要確認先 (エ) A:資産売却計画 B:要注意先
設問20
株式上場のメリット、デメリットに関する以下の文章の空欄A〜Cに入る語句の組み合わせとして最も適切なものを、下記の解答群から選べ。
株式を上場すると株式の流動性が高まり、A 市場において公募によるB などにより直接金融の道が開かれ、資金調達の円滑化・多様化を図ることができる。また、会社の知名度や信用力の向上もメリットといえる。
しかし一方では、上場後は誰でも上場企業の株主になることができるため、C によって経営権を脅かされるリスクが生じる。さらに投資家保護のため、証券取引所の規則や金融商品取引法に基づく企業内容の開示などの新たな負担
が増加するというデメリットもある。
株式上場を決断するためには、このメリットとデメリットを十分に検討する必要がある。
【解答郡】 (ア) A:発行 B:株主割当増資 C:内部告発 (イ) A:発行 B:時価発行増資 C:買占め (ウ) A:流通 B:株主割当増資 C:買占め (エ) A:流通 B:時価発行増資 C:内部告発